表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の能力は『以心伝心』全部丸聞こえですわ。  作者: 黒砂 無糖
学園生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/100

私の婚約よね?

 ヘルグ兄様の質問に対して、アズ兄様は、淡々と説明をしていく。


「勇者資料館に行った日に、ティトのご両親から確認されたろ?あの日の夜、シュピネル卿から父に連絡があったんだ」

   

 お父様は、私に話をした後すぐに、グランディエラ家に連絡をしたようだ。


「だからティトとの婚約は、週末にまとまる。

 登下校を共にするほど仲が良いならと、親が先走り、以前シュピネル家に打診したからね」


 アズ兄様が、ちょっと困った顔をしている。

どうやら、親が勝手に打診したようだ。


「なんだ、アズールから親にお願いしたんじゃないのか?」


 ヘルグ兄様は、意外だと目を見開いた。


 私も、アズ兄様が言い出したと思ったわ……


「違うよ、俺は婚約するならティトが良いけど、できるなら、ゆっくり決めたかったんだ。ただ……」


 アズ兄様も、私と同じように考えたのかもしれない。


「ただ?何があるのか」


 ヘルグ兄様は、アズ兄様の歯切れの悪さに、気に留めている。


「親に、カフェでのことを報告したら……

『お前は、早急に婚約した方がいいだろう』と

 既に打診もしたと、その時言われたんだよ」


 アズ兄様は、力なく笑った。


「なんか、両家ともずいぶん急いでないか?」


 ヘルグ兄様は、私も気になっていることをアズ兄様に尋ねていた。


「まあ、カフェでのこともあったし、普段から令嬢に囲まれてうんざりしていたから……

 家の両親は、気にしていたみたいなんだ。

 俺が、女性が苦手なことも知ってる。

 ティトは特別だから、俺の気が変わらないうちに、さっさと決めたかったみたいだよ」


 アズ兄様のご両親は、即断即決するくらいには、相当気を揉んでいたようね……


「昨日のことが引き金だったのか……まあ、アズールは、昔から令嬢に囲まれていたし、ご両親も相当心配していたんだな」


 ヘルグ兄様は納得していたけれど、やっぱり、なんとなく腑に落ちないわね。


 先程から、私の婚約の話をしているけど……


 なぜ、基本的に、私以外の人達だけで話が進んでいくのかしら?


 貴族の結婚は、家同士の契約みたいな物。


 でも……


 もう少し嫁ぐ側の、私の意見を聞いてくれても良いのではないかしら?


「婚約するのは、私とアズ兄様なのに、親が勝手に話を進めるのは……どうかと思うわ」


 私は、なんだかモヤモヤしていたので、つい本音を言ってしまった。


「なんだ?ティトは、婚約に反対なのか?」


 ヘルグ兄様はびっくりしているし、アズ兄様はショックを受けている。


「だって、私の場合、まるで決定事項のように言われたわよ?週末のことも、何も聞いてなかったわ」


 アズ兄様は、ちゃんと知っていたのに……


「……ティトは……俺が相手だと、嫌?」


 アズ兄様が、恐る恐る確認してくる。


「嫌ではないわ?ヘルグ兄様を除くと、選択肢に上がったのはユング王子よ?

 さすがに私、王妃にはなりたくないわ」


 アズ兄様も、ヘルグ兄様も、私の婚約に選択肢が少ないことは、わかっていたみたいだ。


 2人そろって、同情の目を向けてきた。


「……今は、ユングよりはマシってこと?

 俺、もう少し頑張らなきゃな」


 アズ兄様は、苦笑いをしていた。


「ティト、せめて言い方を……まあ、ティトだしな……」


 ヘルグ兄様は、がっくり項垂れて、アズ兄様の肩をぽんと叩いた。


「なによ、婚約するなら、アズ兄様が一番マシだってことは、本当でしょう?」


 なんで2人とも、私をそんなに残念な子を見るような目で見るのよ……


「ティトが嫌じゃないなら、それでいいよ。どんな形であれ、ティトの一番になれたんだ。今はそれで満足するよ」


 アズ兄様は、ひとりで納得している。


「ご両親が、婚約のことをティトに細かく言わなかったのは、すでにアズールと仲が良いのを知っていたからだろう?

 ティトの気持ちを、蔑ろにされたわけじゃないと思うよ」


 ヘルグ兄様にフォローされ、ちょっと気持ちが落ち着いた。


「私の婚約は、アズ兄様なら大丈夫です。

 ……別に、相手に文句はないのです。

 何も知らなかったのが、嫌なだけですわ」


 自分のことは、自分で決めたかっただけよ。


「ご両親は、貴族の結婚をまだ理解していないと考えて、年齢的にもティトに決断させるには早いと考えたんじゃないか?」


 アズ兄様にも、ヘルグ兄様と似たようなことを言われ、ハタと気付いた。


「……よく考えてみたら、私、まだ10歳だったわね」


 子供に、人生の決断は任せられないわよね。


「とりあえず、2人が合意してるんなら、それで良くないか?俺の勘だと、2人はそのままうまくいくよ」


 ヘルグ兄様にそう言われたら、納得するしかないわ。


「うまくいくならいいわ。それより、カフェで会った令嬢は、どうなったのかしら?」


 今日は、朝お見かけしなかったし、気になっていたのよね。


「彼女は、自宅謹慎してるんじゃないかな?思い込みが激しそうだし、逆恨みされても困るから、今回は大事にはしなかったよ」


 アズ兄様的に、自宅謹慎だけでも、我儘な令嬢にはつらく感じるだろうと言っていた。


「それでも、プライドの高い令嬢には、温情ある対応でも、厳しいと感じるだろうね」


 ヘルグ兄様から、今後彼女には警戒した方がいいと言われた。


「学年が違うし、大丈夫じゃないかしら?」


 たかが恋愛脳な令嬢くらい、どうにでもなるのでは?と、私は考えていたけど……


「いや、あのタイプは、プライドが傷つけられると、罪を認めたくないと、他害に走るから、厄介になりやすいんだ……」


 アズ兄様は、対応には慣れているのか、先を思ってうんざりしていた。


「あの令嬢に、ティトが逆恨みされるか、よくわからないイチャモンで、俺に責任が来る可能性があるから……婚約を急ぐことになったんだよ」


 早急に、希望を打ち砕くべきだ、ということらしい。


「なんか、面倒ね?」


 私は素直に、面倒くさいと思った。


「すごく……煩わしいよ」


 アズ兄様は、目に見えて疲れ果てていた。


「2人が婚約してしまえば、あの令嬢がいくら騒いだところで、誰も耳を傾けないだろうね」


 正式な肩書きがなければ、余計な噂が広がりやすい。だからこそ、先手を打つそうだ。


 私の人生を、親から勝手に進められることになったし、まったく、迷惑な話だわ。


「我が家は、訳あって、とりあえず正式に決まるまでは、従者にも秘密です。ソフィアだけには伝えましたが、口止めしてますわ」


 シュト兄様に、バレなければいい。


「あー、ティトのお兄様か……バレたら邪魔するよなぁ……」


 ヘルグ兄様は犠牲者だからか、よくわかっている。


「ま、今週末のことだから、大丈夫だろう」


 アズ兄様は、気楽に考えているが……


「アズ兄様、シュト兄様は、いろいろ、かなりヤバいので、気をつけてくださいね?

 何があったら、すぐに私に教えてください」


 私は、いずれ会うことになるシュト兄様に気をつけるよう、アズ兄様に伝えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ