↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の能力は『以心伝心』全部丸聞こえですわ。【第1章100話完結済】  作者: 黒砂 無糖
初めての学園生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
81/150

婚約と言われても  

 アズ兄様により、私は何も知らされていない週末の予定を聞かされた。


「今週末、両親と共にシュピネル家に赴くことが決まりました」


 ——思った以上に早いわね


 私は、行動の早さに驚いてはいたけれど、婚約は知っていたので、特別思うことはない。


 お腹がいっぱいになっていたので、私はぼんやりしながらお茶を飲んでいた。


「ティト、貴女は嬉しくないの?」


 リリお姉様から急に尋ねられ、私は何のことを言われたのかわからず


「え?何がですか?」


 と、リリお姉様に聞き返してしまった。


「ティト、あなた、自分の婚約の話なのに、随分興味がないのね……もしかして、アズールが相手なのが嫌なの?」


 リリお姉様は、アズ兄様を見ながらそう尋ねてきた。


 ——ちょっと、何でそうなるのよ


 アズ兄様は、リリお姉様の言葉にショックを受けたような表情をしている。


「リリお姉様!アズ兄様が嫌だなんて、そんなことあるわけないですわ。ご心配なく」


 私は自分の話には、あまり興味が持てないだけだ。


「でも……普通ならもう少し、感激とか喜びとか、色々あるでしょう?」


 リリお姉様は、なおも食い下がってくる。


「リリ様、ティトはまだ幼いですし、実感が湧かないのだと思いますよ。あまり周りが騒がない方がいい」


 ヘルグ兄様が助け船を出してくれた。


 ——さすがヘルグ兄様、助かるわ。


「リリ様、仲良くなったとはいえ、何でも自分と一緒だと思わない方がいい。ティトと俺は今のまま仲良くやれたらそれでいいんだ」


 アズ兄様、よく私のことを理解してるわ。


「でも、ティトが嫌がって見えたなら、今後気を付けなければならないな」


 私が嫌がっているように見えたなら、気をつけなきゃダメね……


 確かに、関係が良好に見えなかったら、余計な横槍が入りかねないわ。


「リリお姉様、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。先日、父から聞いたばかりなので、まだ実感が湧かないのだと思います」


「アズール様、大変失礼しましたわ。決してアズール様に不満なわけではありませんのでご心配なく。今後、態度に気をつけますわ」


 ヘルグ兄様から始まり、私とアズ兄様双方から、意見を言われたリリお姉様は、顔の前で手を振りながら


「私ったら、余計なことを言ってしまってごめんなさい!決してふたりのことを否定したり、疑ったわけではないのよ」


 リリお姉様は、慌てながら言葉を続けた。


「……私、婚約に浮かれているから。ティトもそうだったらいいなって思ったの。でも、あまりに平然としていたからつい」


 リリお姉様は、自分の発言が恥ずかしいのか顔を赤くして、ユング王子をチラチラ見ながら素直な気持ちを語ってくれた。


「リリお姉様は、ユング王子のことが、昔からずっと大好きだったのだから、浮かれるのは当たり前だと思いますよ?」


 私は、あえてリリお姉様が王子を好きだったことを強調してみた。


「ティト!そ、そんなこと……」


(やめて!ユングが聞いてるわ!!)


 リリお姉様は、真っ赤になって否定しようとしていたけれど、


「リリ!君は、前から僕のことを?そうだったのか……あぁ、もっと早くに気付いていれば、リリとの時間をもっと作れたのに」


 ——ユング王子に火がついてしまったわ


 王子はリリお姉様の肩を掴むと、周りを全く気にせず、二人で向き合うと話し始めた。




「……お邪魔ですよね?」


(今のうちに、私は逃げちゃダメかな?)


 私は即座に、アズ兄様とヘルグ兄様に念話をつないだ。


「ここは、ふたりにした方がいいね」


(待て、俺も行く。ヘルグ、お前は?)


「ユング王子、我々は先に出ています。部屋を出る前にご連絡ください」


(こんなところに置いていくなよ。俺も行くに決まってるだろ!)


 私達は、3人でそっと部屋を出て、サロン近くの中庭に向かった。


 歩いている最中に、アズ兄様が魔力のペンの防音魔法を発動させていた。


「……びっくりしました。まさか、あんなに素直になるなんて思いませんでしたわ」


 3人で中庭にあるガーデンテーブルを囲む椅子に座り、話を再開した。


「ユング王子も、今日は朝から、今までではあり得ないくらいしっかりしていたよ?」


 ヘルグ兄様も、今までの状況に色々思うことがあったのだろう。


「ユングは基本的に、リリのことがなければ優秀だからな。リリの好意がユングにあるなら、もうバカなことをする必要がなくなったんだ」


 アズ兄様は、優しい顔でユング王子のフォローをしている。


「それにしても、ユング王子、リリ様を意識して、かなりかっこつけてるよな?」


 ヘルグ兄様がクスッと笑いながら言う。


「バカ、そんなこと考えていたら後で笑うぞ!ヘルグは後ろだからバレないけど、俺は隣だから、笑いを堪えるのが大変なんだ!」


 普段の立ち位置では、ヘルグ兄様は護衛なので、基本的にユング王子の後ろにいるわね。


 アズ兄様達、いつも笑いを堪えているの?


「ねえ、普段は、笑っちゃダメなの?」


 私は、たとえ王子相手でも、確実に笑っているだろう2人を見る。


「学園内で、ユングの立場は下げれないからな。周りに人がいなければ笑うけど、頑張って王子を気取るなら、俺達は耐えるしかない」


 アズ兄様とヘルグ兄様の立場は、友人とはいえなかなか複雑みたいね。


「ところで、アズールとティトの婚約は、今週末には正式に決まるのか?」


 ヘルグ兄様によって、急に話が私の婚約の話題にシフトした。


 私は自分の事だけど、いまいち状況が掴めていなかったので、アズ兄様の方を見た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。