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私の能力は『以心伝心』全部丸聞こえですわ。【第1章100話完結済】  作者: 黒砂 無糖
第1章 始まりのお話

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私の暮らす国

 私は統合することで、ようやく情報から解放されやっとホッとすることができた。


 意識がまとまった瞬間、シャボン玉のように弾け飛ひ、本来の体に意識が戻った。


 ——まだ馴染まないわ。瞼一つ動かない


 まだ、目覚めるには時間がかかりそうね。


 今のうちに能力を理解しなきゃ……


『能力診断』で理解した能力。


 通常は一人につき一つだけど、私には能力が二つあった。


——これは前世の魂の分よね。


 もしかしたら記憶の箪笥に対して、能力が付いてくるのかもしれないわ。


 もしかして箪笥の性質によって、能力が決まるのかしら?


——能力って、何種類あるのかしら?


 私と前世の記憶がごちゃついているからか、なぜなぜと興味が散らかる。


——思考が子供じみているわね。


 大人の思考があるうちに、現状を理解しなきゃダメだわ。


 私は、一般教養の家庭教師から習った知識を順番に思い出してみる。



***



 ここはゴルドファルベン王国。アレクサンディー山脈とシュタインザルツ海に接している。


 標高が高めに位置する王宮のバルコニーからは、左右にその雄大な姿が見えるとお母様が教えてくれたっけ……


 ——そのうち見るんことになるんだろうな


 標高の高い山脈は常に雪が積もり、雪解けの水が大きな川へ成長して国内を潤している。


 ——豊富な資源と水に恵まれた豊かな国だわ


 山脈に接する国は5国連なっていて、婚姻や資源の供給、人材派遣や教育を通じて、国同士次世代交友を結んでいる。


 ——かなり良好な関係を維持しているわ


 連なる国以外の他国は、国土基本的に船での往来で、造船と海運の技術がさほど高くないのか、決して多くはない。


(王国はアレク教の霊山があるお陰か、他国に比べて、高い能力を授かる者が多いのよね)


 決して大きな国ではないが、他国を圧倒できるほど『多岐に渡る分野で、能力が高い者が存在する』と教本に書かれていた。


 仕事は、技術指導や物資の運搬が盛んで、惜しみなく隣国との関係に活躍できるのよね……


(豊かだからこそできる余裕かもしれないわ)


 欲に目が眩み、力任せに自国だけで抱え込まない辺り、王族や官僚たちはかなり賢い。


(今のところ、国外・国内では取り立てて大きな争いはないけど、国内では多少の派閥争いなどがあるんだっけ?)


 稀に馬鹿な者が、第一王子に暗殺者を投げかけてくると、お父様が言っていたわ。


(王族はフレンドリーで、必要以上に謙った対応を好まないけど、正式な場ではある程度のマナーが求められるのよね?)


 貴族ならマナーは必須だと思うわ。


 「知らないのは家の恥」と、よくお母様から言われているもの。


(立場を利用した高圧的な対応は、基本的に能力不足な人がやることで、スマートではないとお父様も言っていたわね)


 ——王族は、市民の努力を無碍にはしない。


 国の思想は、市民が豊かで市政が安定していれば、さらに国は栄えると考えているらしい。


(高位貴族は、取りまとめに過ぎないと学問で教えているから、とても暮らしやすいのよね)


 国の宗教としては『能力診断』を行った神殿のアレク教がある。


——宗教、歴史と重なっていたわね


 初代王はアレクサンディー山脈一帯の五つの国を収めていた。


(三つ子の王子の後に、二人の王子が産まれたんだっけ?)


——子沢山よね?


 王子が成長した暁に、能力ごとに国として切り取り、無理のない統治をさせたのが五国の始まりだった。


(宗教も同じだから近い国同士、あまり揉めることがないのね)


 アレク教の霊山はゴルドファブレンにある。


 当時、癒しの能力が一番強い末の王子が、霊山の管理を任された。


(この国って、国土は一番小さいけど、資源も人材も豊かなのよね)


 山の中腹には、王族しか入れない霊場もあり、御神体として神が宿る鉱石の塊が祀られているらしい。


もちろん禁足地となっている。


(今は国同士の関係も穏やかで、国内も安定しているから、神経質になって必要以上に心配しなくてよい気もするけれど……)


 ——私の能力はちょっと便利すぎだわ


 なるべく人には知られない方が良いだろうと、大人の思考では考えている。


 ——高い能力は利用される。


(今の私はそうとも限らないと思っているけど、きっと前世では、その考えに至るだけの経験をしたんだろうな)


 実際、私の能力は利用したくもなる。


 ——知らせるの相手は選ばなきゃいけない。


 前世の能力の方は、ちょっと把握し難い能力なのよね……


 私と前世の能力の違いは何だろう?


 二人分あることは、伝えるべきかしら?


(前世の自分の考えは基本秘密にするべきと考えているけど、私としては両親だけには伝えた方が良いと思っているのよね)


 この世界は、家の繁栄が生活に直結するし、派閥や足の引き合いがないわけではない。


——家族が平穏に暮らすために共有したい。


(私は揉め事が嫌いだし、負の感情は疲れるので持ちたくない)


 振り回されるなんて、まっぴらごめんよ。


 自分の能力は、平穏のために使いたいわ!




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