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私の能力は『以心伝心』全部丸聞こえですわ。【第1章100話完結済】  作者: 黒砂 無糖
初めての学園生活

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魔王の討伐?しませんよ。

 アルゼが私を賢者だと言うけど、私には神の啓示なんて来なかった。


 ——違うのではないかしら?


「私は賢者ではあるけど、きっと勇者パーティじゃないわ。だって、神の啓示が来るのでしょう?そんなのなかったわよ」


 アルゼは魔眼だから、何か見えてるのかな?


「ティト様は、元々『以心伝心』と『賢者』の

 能力を二つ持ってますよね? 後から賢者が覚醒したんじゃないの?」


 アルゼは、私の能力は、後から生えたと思っていたみたいね。


「能力診断で私が覚醒した能力は二つだよ?『以心伝心』と『賢者』魂2つ分だった」


 この話は、まだ誰にも言ってないや……


 でも、アルゼには隠せないわよね?


 もしかして、前世の私が生きていたら、賢者として召喚されたのかな?


 ——それは、面倒そうだから嫌だわ。


「魂二人分か……なら、どちらの能力が、前世の能力なの?」


 アルゼは、首を傾げた。


「『賢者』が前世よ」


 皮肉よね……本当に賢かったら、あんな目に遭う事はなかったのに。


「やっぱりそうなんだ。本来なら、ティト様は前世からの転移だったかもしれないわね」


 ——やっぱりそう考えるわよね。


「アルゼもそう思う?でも、なぜ私には神の啓示がなかったのかしら?」


 他の人たちにはあったのかな?


「うん、なんでだろう? 賢者だから自分でわかるだろうって、女神様が横着したのかな?」


 いや、それはちょっと酷くないかな?


「だとしたら、ずいぶん雑な扱いね? まぁでも、能力そのものが、賢者って言いきってるからやっぱり気付けってことかな?」


 まあ、ズバリそのもの賢者だものね。


「賢者って賢い者って書くじゃない?もし、本人が賢くなかったら、一体どうするつもりだったのかしら?アルゼはどう思う?」


 私は別にそんなに賢いわけじゃないわ。


「いや、そもそも賢くなかったら、さすがに、賢者には選ばれないんじゃない?」


 ——確かに。


 馬鹿じゃ難しいか……


「それもそうね。でも賢者って何するの?」


 あまりイメージがわかないわ。


「何か、ティト様に特別な能力がある?」


 私は目をつぶって、自分の能力を調べる。


「特にないわ?強いて言うなら、本来以上に頭が働く位かしら。あと、支援系の魔法が得意みたい……全く使ってないけど」


 いろいろ覚えたら便利なのかな?


 でも、魔法を下手に使うとばれちゃうか。


「賢者……ティト様は戦略とかじゃない?」


 まあ、直接の戦力ではなさそうね?


「そうか、予定を立てたり、どうやって倒すか考えたり、仲間の能力高めたり?そんな感じかな?……やらないけどね」


 勇者パーティなんて目立つ事、お断りします。


「それを言ったら、私だってやらないわよ?」


 あ、アルゼもお断りなんだ?


「ここだけの話、魔王は勇者パーティーじゃなきゃ倒せないって訳じゃないのよ」


 アルゼはパーティーに参加する気はないからか、丸投げするための情報を教えてくれた。


「え、そうなの?」


 なら、なんで召喚したんだろう?


「そうよ、私の義兄なら倒せるわ。だから私は今まで勇者パーティの魔法使いである事を、ひたすら隠して生活してきたんだもの」


 確かに身内に倒せる人がいたなら、黙っておきたくもなるわね……


「でも、メンバーに会ってしまったら黙ったままは無理よ。ちゃんと参加を断りたいし、そもそも同じ日本人なら話もしたかったもの」


 ——あぁ、その気持ちはよくわかるわ。


 私も、こちらで元日本人に会ったら、絶対に声掛けちゃうわ。


「アルゼは、魔王討伐に対して、何もするつもりはないのよね?」


 参加しない仲間がいるのは助かるわ。


「何もやらないわ。私はこの世界で生まれたけど、自分の事で手一杯よ。私より強い魔法使いなんて沢山いるし……」


 魔法使いも賢者も普通なら、勇者が人外レベルで強いのかしら?


「それこそ不味くなったら、真っ先に義兄の特殊部隊が動くわ。戦神、大魔神、大魔導師、守護神がいるんだから問題ないでしょう?」


 そんな強い人がいるなら、私達のような非力な女子が、集って勇者パーティに参加する意味あるとは思えないわ。


「これって勇者以外は、私とアルゼと、後は聖女でしょう?女性ばかりじゃない。実は私達、ハーレム要員じゃないわよね?」


 ——よくある物語みたいな。


「フェルゼンの聖女には、実は会ってるのよ。私が迂闊ですぐに転生者とバレたわ。ヴィントに帰る時、また立ち寄ってみようかな……」


 ——アルゼは聖女に接触していたのね?

 

 もしかしたら、アルゼは勇者パーティーの繋ぎ役を兼ねているのかもしれない……


 聖女も気にはなるけど、勇者パーティーに参加しないのであれば、目立ちたくないなら関わらない方がいいかもしれない。


「ヴィントに戻るって、アルゼの所属はこちらの国じゃないの?」


 行ったり来たりしているのかしら?


「私の本拠地はヴィントよ。ツァオバライ商会はアウスヴェーク家が立ち上げてるのよ」


 ——あ、そういえばそうでした。


 アウスヴェーク家のお嬢様だってこと、前世に引っ張られて、うっかり忘れていたわ。


「私は本部で作られた商品を届けたり、デアマギアから要望を聞いて作成してるのよ」


 アルゼは、商会本部からの視察も兼ねているのかもしれない。


 建前としての優秀な養女が成り立つくらいだから、かなり有能なんだろうな。


「国を渡るなんて、アルゼのお兄様も、アルゼも有能なのね?」


 移動するだけでも大変なのに。


「私は大した事ないわよ?アウスヴェーク家は有能揃いだけどね。時間が遅くなって来たし、私、そろそろ帰るわ」


 アルゼは外を見て少し慌て出した。


「何で来たの?」


 ——外に馬車を待たせているのかしら?


「歩きよ?結構近いし」


 アルゼは当たり前のようにに言うけど、


「攫われそうになったばかりなのに、何言ってるの? こんな夜更けに1人歩きは危ないじゃない。うちの馬車で送らせるわ」


 前に襲われたのによく平気ね?


「案外大丈夫よ?認識阻害すれば、私の存在自体が有耶無耶になるし」


 アルゼ、普段からやってるのね……


「私が心配だから、お願いだから馬車で帰って頂戴。とりあえず、魔法使いと賢者は隠す方向でいい?私の事は誰にも言わないでね?」


 一応念押しをしておこう。


「分かった言わないわ。馬車にも乗る。今日は時間くれて、ありがとう感謝してるわ」


 アルゼは防音を解くために、スイッチに手を伸ばした。


「また、お茶しましょう?あと、今日いた2人と、ソフィアには今日の話を伝えてもいいかしら?アルゼに悪いようにはしないと約束する」


 アルゼの手を止めて伝えてる。


「……あの2人は、どんな関係なの?」


 アルゼは少し嫌そうだ。


「私の秘密を知って、共に罪を被る覚悟をした友人。後、ソフィアは私至上主義」


 この3人は、絶対味方にした方がいい。


「賢者のティト様が認めたならそれでいいわ。私はティト様の能力に関する記憶は魔法で封印するわ。うっかり誰かに溢さないために」


 ——アウスヴェーク家に刻まれた陣ね


「私は助かるけど、でも、そうしたらまた他人行儀になるじゃない。それは嫌だわ」


 せっかく同郷の人に会えたのに……


「大丈夫ですよ。次にティト様に会ったら解けるようにしておきますから。魔法は毎回、かけ直します」


 アルゼったら、やっぱり有能じゃない。


「ありがとう。この先、私はアルゼの仲間で味方だから安心してね? また、必ず会いに行くから、その時は時間作ってね」


 お互いに手を取り握手をした後、アルゼは防音を解除した。

お話に出て来る勇者と聖女は、また別の話があります。

もし良ければ、覗いてみて下さいね



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