勇者パーティーの賢者
見つけてくれてありがとうございます。
更新は不定期になります。出来る時に頑張ります
アルゼに訪ねてきても良いと念話で伝えた後、自室でゆっくり読書しながら待っていたら、部屋の扉がノックされた。
「ツァオバライ商会の、アウスヴェーク様がお越しになられました」
ソフィアが出迎えてくれたようだ。
「はい、どうぞお入りになって?」
カチャリと扉が開くと、ソフィアがアルゼを伴って部屋に入って来た。
「来てくださってありがとうございます」
一旦ご挨拶は必要ね?
「お招き頂き、ありがとうございます」
アルゼは丁寧に礼をした。
「アルゼ、堅苦しいのは嫌よ。座って」
初めから、立場などの面倒事は無しだ。
「……ありがとうございます。ツァオバライ商会をご利用頂きありがとうございました。こちらが商品になります」
アルゼは机の上に、綺麗な布が貼られたクッションケースを開いて置いて見せた。
中には、購入したバングルが入っていた。
「ありがとう。届けてくれて助かったわ」
アメジストのバングル、やっぱり素敵だわ
「ありがとうございます。こちらはシュピネル様へ、私の救助にお力添えを頂いた感謝の贈り物になります。お納めください」
見せて貰った、ライラック色の魔導メモだ。
——嬉しい。早速明日から使おう。
「素敵な贈り物をありがとう。本当に嬉しいわ。明日から使わせて頂くわね」
一旦受け取り、ソフィアに渡した。
明日使う事を伝えたのて、彼女はその二つをライティングデスクの上に置きにいった。
「お気に召して頂けたなら幸いです。そしてこちらは先日助けて下さった、ソフィア様へのお礼になります。お納めください」
アルゼは今度、長細いクッションケースを開き机の上に置いた。
中には、私が選んだ深紅のペンダントトップのネックレスが入っている。
「まあ……ティト様の瞳の色ですわ。こんなに素敵な物……私などが本当に頂いてもよろしいのでしょうか?」
ソフィアは、恐縮しながら私に尋ねてきた。
「それ、通信の魔導具なんですって」
魔導具であることをソフィアに伝えると
「そんなに高価な物を頂くほどの事、私はしておりません!」
ソフィアは慌てて覗いていた姿勢を戻し、
頭を下げてしまった。
「ソフィア様、受け取って下さいませんか?今、ここにいられるのも、ご対応下さったソフィア様のお陰なんです」
アルゼがソフィアを説得しているが、このままでは、時間がかかるだろう。
こちらも時間がないわ
「ソフィア、あまり主人に恥をかかせないでくれるかしら。遠慮し過ぎると返って失礼ですわ」
私がピシャリと言い放つ事で、無益なやり取りに終止符を打つ。
「ティト様、申し訳ありませんでした。アウスヴェーク様、謹んで頂戴致します」
ソフィアは恭しく手に取り、胸に抱いた。
「ソフィア、少しアルゼと二人で話がしたいから、席を外して下さい」
ソフィアは頭を下げて了承し、静かに部屋の外へ出た。
「ティト様こちらを利用しても良いですか?」
アルゼが、スイッチのついた小さな箱を取り出した。
「これは?」
ただのスイッチの箱だわ。
「空間防音装置です」
——普通はこの型なのかしら?
気になるけど、聞くのはまたにしましょう。
「どうぞ」
了承すると、アルゼはスイッチを押して防音を発動した。
「お時間頂き、ありがとうございます」
開口一番から、硬いわね?
「いいの、気にしないで。アルゼ硬いわよ」
私はちょっと拗ねてみた。
「私の立場的に、仕方がないのです」
アルゼは自分の事を話してくれたけど……
私はちゃんと彼女を知りたくて、ズルをして、能力を使って心の声も聞いていた。
「私は、勇者召喚で魂だけが転移した元日本人です。前世の記憶はありますが、自分の事を含め人間関係はすっぽり記憶がありません」
え?人間関係の記憶がないんだ……
「ある日、天啓で勇者パーティーの魔法使いだと聞いて、よく分からなくて、それは隠して生活していました。能力は『真実の瞳』です」
——『真実の瞳』それが魔眼なのかしら?
「私は、アウスヴェーク家の養女です。当主が、魔力の能力が高いと、私を引き取りました」
(実際は平民との間に出来た子ですが、世間体が悪い為、養女というにしたのよね)
——うわぁ、貴族社会闇深いわ……
「当主は、ナトゥーアのハーレム出身の妻との間に息子がいます。義兄は、ヴァルド王国特殊部隊の大魔導師、ペリル・アウスヴェークです」
(異母兄様は私は比較にならないほど違って優秀なのよね……)
——ちょっとややこしいわね
特殊部隊の大魔導師ってかなり有名よね?
「私は養女に迎えられてからも、なかなか貴族には馴染めずにいるのです」
(信用されてないから、アウスヴェーク家に、不都合な事がない様に、陣も刻まれたわ)
陣を刻むって……ちょっと不穏だわ。
でも、あまり余計な事は言わない方がいいのかしら?
「勇者召喚はさておき、アルゼは、実子である事は大魔導師のお兄様には明かさないの? お兄様は立派な方なんでしょ?」
いくら母が平民とはいえ……
「……ティト様、私の思考を読みました?」
アルゼは不服そうに目を細め、こちらを見てくる。
「だって……アルゼ全く心開いてくれなそうだったから、ちゃんと知りたくて」
——だって、仲良くなりたかったんだもん。
「はぁ、分かったわ。ちゃんと喋るから心は読まないで。でも、他の目がある場では無理よ? 一度言葉を崩すと治しにくいんだから」
アルゼは渋々ではあるが、楽にしてくれた。
「アルゼだって、その方が喋りやすいでしょ?丁寧過ぎると意思の疎通が難しいわ。私も前世絡みなら喋り方を変えたいもの」
私だって、釣られちゃうのよ?
「まあね? で、とりあえず一旦、神の啓示の話を進めるけど、私の魔眼がティト様は、転生者で、勇者パーティーの賢者だと言ってるのよ」
うん? 賢者って何すれば良いのかしら?




