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私の能力は『以心伝心』全部丸聞こえですわ。【第1章100話完結済】  作者: 黒砂 無糖
初めての学園生活

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魂が同郷?

 ツァオバライ商会に到着し、3人で店内へ向かう。何度か3人で出向いているから、店側も慣れた対応だ。


 迎えてくれたのは、商会長のデアマギアだ。


「ようこそおいでくださいました。いつものお部屋へどうぞ」


 案内されて部屋に入り、ソファーに座った。


 コンコン


「失礼致します」


 ノックをして、女性従業員が入って来た。


 珍しいな?と見ていたら


「シュピネル様、私はツァオバライ商会の魔導具士アルゼ・エンゲ・アウスヴェークと申します。どうか、アルゼとお呼び下さい」


 ——あ、この方は


「先日は、人攫いに襲われた所をお助け頂き、ありがとうございました」


 アルゼは膝をつき、深々と頭を下げている。


「そんなに畏まらないでくださいませ。気持ちは受け取りましたから、頭を上げてください」


 それに、直接助けたのは私じゃないわ


 彼女が顔を上げ、私を見た時、


 ——アルゼの時間はピタっと止まった。




「……あの日、取引の為にヴィント国から来てすぐでした。到着して馬車を降りた時に、安心していてつい気を抜いていました」


 アルゼは当日の話を聞かせてくれた。


「守りが薄くなった時に拉致されてしまい……人攫いの目的は分からなかったのですが、後に、国の外の国の人間だと判明したそうです」


 ——国外の人攫いだったんだ……


「どこから調べたのか、私がツァオバライ商会の魔道具技士である事を知り、連れ去り自国で儲ける画策したそうです」


 アルゼが事件の真相を話していた時、


(シュピネル様、私の声聞こえますか?急に申し訳ありません。そのまま聞いてください)


 ——えっ、誰? アルゼ?


(あなたの魂は日本人ですよね?私も同じです。

 私には魔眼があり、貴方の能力を理解し、念話を送っています)


 え? 魂が同郷って……


(聞こえていたら「そうなのね?」と相槌お願いします)


 平然を装い黙って話を聞いていたが、私の動きが一瞬止まったのを、アズ兄様もヘルグ兄様も見過ごすはずはなかった。


「ティト、どうかしたか?」

「何か気に触った?」


 心配した2人が、声をかけてきた。


「……何でも無いですわ」


 2人は私を気にしつつも、口を閉ざした。


「アルゼ、続けて? 人攫いは、この国に関係のない国から来ていたと……そうなのね?」


(聞こえてます。少し2人で話せないかしら? 何か私を連れ出す口実はある?)


(お任せください)


「はい、未だ盗賊団の根城は掴めておりませんが、助けて下さったシュピネル様と侍女のソフィア様には、お礼の品を差し上げたくて」


 気にしなくても良いのに……


「シュピネル様は、我が社の製品をご利用頂いているので、好みのイメージが付きましたが、ソフィア様の好みが分からず……」


 ——話の運び方がお上手だわ。


「不躾なお願いになりますが、本日お急ぎで無いようでしたら、宜しければ、先程工房で準備したので、一度確認頂けませんか?」


 ——いい感じの着地ですわね。


「まあ、それなら工房に行けばいいの?でも、工房を除いてもいいのですか?」


(アルゼ、ナイスです)

(ありがとうございます)


「私の部屋の狭い個人工房なので、全員は一緒には入れないかと……」


(一旦引きます)


「アズ兄様、ヘルグ兄様、ちょっと見て来ても良いですか? 私のペンは預けるので、注文をお願いしてもいいかしら?」


「……いいよ預かる。他に何か必要な物は?」


 私は、アズ兄様にペンを渡した。


 アズ兄様は不信がりつつ請け負ってくれた。


「アズ兄様、このペン以外にも同じ防音機能が欲しいので、何か探して欲しいです」


 保険はいくつあっても良い。


「……大丈夫だと思うけど、何かあったらすぐに呼んでね」


 ヘルグ兄様は勘が働いたのだろう。


 ——何か気付いているかな?


「ヘルグ兄様、心配ありがとう。兄様の大丈夫は安心出来ますわ」


 本当に便利な能力ね?


「アルゼ、じゃあ、いきましょうか?」


(早く。2人に察知されるわよ?)


「か、畏まりました。お手数をおかけして申し訳ありません。よろしくお願いします」


(ごめんなさい、慌ててしまったわ)


(その方が臨場感あるからむしろいいわよ)


 部屋を出て2人で工房に向かう時、デアマギアが急ぎ足でやって来た。


「アルゼ様にシュピネル様? どうかなさいましたか?」


 そうよね、気になるわよね


「デアマギア……先日のお礼をするために、工房にシュピネル様とソフィア様への、贈り物のデザインの確認と調整をしに行くのよ」


 あれ? もしかしてアルゼは、会長のデアマギアよりも立場があるのかしら?


「左様でございましたか。言って頂ければ必要な物を別室にご用意致しますのに……」


 デアマギアは少しだけ渋っていた。


「私が工房を見て見たいと我儘を言ったのです。ご迷惑なら戻りましょうか?工房は前から一度見てみたかったのですが、ダメですか?」


 ——デアマギア、ごめんなさい。


 店としては、裏を見せるのは良く無いのは分かっています。


 ——でも今は2人で話す時間が必要なの。


「ダメだなんて滅相もございません!出過ぎた真似をして、申し訳ありません」


 デアマギアは慌てて頭を下げている。

 

 通常は裏側に貴族令嬢など通さない。本来、謝らなければならないのはこちらだわ。


 デアマギアには申し訳ないけど、あくまでも私の我儘だからと、半ばゴリ押しでアルゼの工房に向かった。




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