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私の能力は『以心伝心』全部丸聞こえですわ。【第1章100話完結済】  作者: 黒砂 無糖
初めての学園生活

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痴話喧嘩と秘密の約束

 ユング王子が、兄宣言なんてしたから……


「ユング王子、一体どういう事ですの?」


 リリお姉様の、スイッチが入ってしまった。


 ユング王子はリリお姉様に、王子は立場がどうのこうのと、ギャンギャン怒られている。



「ティト、こっちで食べよう」


 アズ兄様が、そっとリリお姉様の隣から連れ出してくれた。


「あーなると、かなり時間が掛かるから、先に3人で食事をしよう」


 アズ兄様に連れてこられたのは、サロンの奥にあるソファーのスペースだった。


「準備出来てるよ」


 ヘルグ兄様はすでに察していたのか、3人分の食事の準備を終えていた。


「いつもあんな感じなんですか?」


 流れるように連携した2人を見て、私は思わず尋ねてみた。


「まあ、そうだな」

「だいたいそうだよ」


 いつもらしい。


「お二人をさし置いて、先に食事を済ませても良いのでしょうか?」


 仮にも第一王子だ。


「腐っても王子だが、待っていては我々が干からびるぞ?いつもの事だから気にするな」


 アズ兄様は、さっさと席についた。


 ——さすがに、腐っちゃダメですよ?


「そうそう、アズールの言う通りだよ。それが嫌なら、言い争いを切り上げればいいからな」


 ヘルグ兄様は、お茶まで準備してくれた。


 2人とも状況に慣れているのか、とてもあっさりしているわ。



「いただきます」


 食事を開始しようとしたら、アズールが徐ろに魔力ペンを取り出し、ペンの頭をカチリと鳴らした。


 いつの間にか、アズ兄様のペンの頭が、引っ込むボールペンみたいになっている。


「アズ兄様、魔力ペン改造されたのですか?」


 私のとは違っていますわ。


「ああ、これ、スイッチで切り替え出来る空間防音を付与したんだ。小さくて見にくいけど、範囲も半径1〜3まで選べるんだ」


 よく見たらスイッチの下に、範囲指定ボタンも付いていた。


「凄いな?ただのペンにしか見えない」


 ヘルグ兄様も驚いている。


「3人でいる時に念話を使わずに済むならそれでいいけど、聞こえない中で、話が通じたのがバレた時、言い訳にいいかな思って作った」


 ——この人、なんて賢いのかしら?


「確かに内緒話にもってこいだ。念話で話していて、万が一疑われてもこのせいに出来るな」


 ヘルグ兄様も感心している。


「今日、時間はあるか?帰りにあの2人には内緒で改造しに行かないか?先に作ったのは、現物見た方がいいかと思ったんだ」


 アズ兄様は頭が回るというか、悪知恵が働く

 

 ——手回しが早いな


「賛成ですけど、あの2人を振り切るのは難しくないですか?」


 絶対ついてくるよね?


「いや、今日はユングは王太子教育の日だから大丈夫。リリ嬢は家の迎えがあるはず」


 アズ兄様が言うなら、大丈夫かな?


「いや、多分ティトは、リリ嬢の馬車で送ると言われるから一旦帰宅して。リリ嬢の馬車が帰った後、直ぐ迎えに行くから」


 ヘルグ兄様の『野生の勘』が発動した。


「俺の屋敷もヘルグの屋敷も、ティトの屋敷を越えた場所にあるから、我々の馬車が通り過ぎてもおかしくないしな」


 さすがだわ。バッチリな計画ね。


「いいね、行こう」

「賛成!楽しみですわ」

「一旦、防音切るね」


 アズールがこちらにウインクした後、防音を解除した。



(ティト)


 アズ兄様だ。



(アズ兄様、どうしましたか?)


(ヘルグも繋いでくれる?)


(わかりました、ヘルグ兄様聞こえますか?)


(ん、大丈夫だよ。どうした?)


(アズ兄様が繋げって)


(とりあえず念話で話しながら、食事を進めよう実際に喋ると、食事が進まないから)


(確かに、先に食べる意味がなくなるな)


(特に私は令嬢なので、先程から食事は全く進んでいませんでしたわ)


(だろ?だからこっちにしたんだ。折角だから、ヘルグとティトと話しながら食べたい)


(確かにそうだな、ティト、クラスはどうだ?)


(アズ兄様ありがとう。ヘルグ兄様、クラスの令嬢2人が、私を慕ってくれていました)


(慕う?誰か聞いてもいいか?)


(アズ兄様? ピュリート家のダーリエ様とカルツィート家のロベニア様ですわ)


(ああ、その2人なら問題ない。良かったな)


(ふふふ、アズ兄様何か本当のお兄様みたい)


(そうか?まあ、今はまだそれでいいよ)


(え、まだって?)


(おーい、アズール俺がいるの忘れるなよ?)


(あ、忘れてた)


(……アズ兄様、恥ずかしいです!)


 念話をブチ切ったら、2人ともクスクス笑っている。


 ——絶対揶揄われてるわ!悔しい


「おい‥…お前達だけで何で先に食べてる」

 

 不機嫌な王子が来た。


「ユングがリリ嬢とイチャイチャしていたから、邪魔しちゃ悪いかと思って」


 アズ兄様がしれっと嘘をつく。


「え、イチャイチャ……そう見えたのか?」


 王子が嬉しそうに、軽く頬を染めた。


「誰が‥…こんなポンコツ王子とイチャイチャしていたと?で、王子なら兎も角、私を置いて何でティトと先に食べるのよ?」


 更に不機嫌なリリお姉様がやって来た。


(ティト、頼む助けて。リリをなんとかして)


 アズ兄様だ……


 もう!さっきから、アズ兄様ズルくない?



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