俺のせいかもしれない。
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俺は今、非常に居心地が悪い。
隣にはニヤニヤした顔で、人の不幸を楽しむ気でいる王子。
斜め前には、自分がやらかしたかも知れない少女に、会いたかったのに会えなかった過去がある心優しい騎士。
——今、喋らなければ駄目か?
大したことはないはずだ。だが、それが引き金になっていそうだ。
この2人に話すのは何か違う気もするが …
「まあ、とりあえず話してみたら? 王子は離れてちゃんと座って下さい。お茶でも頼みましょうか?」
ヘルグラウが、こちらに気を回してくれているのがわかる。
やっぱり、話した方が早く終わるのか。
本当に、彼は気の回る優しい騎士だな。
従者に頼み、お茶を入れてもらう。ヘルグラウは王子の後ろで「護衛中だから」と立ったままお茶を飲んでいる。
——お茶は飲むのか
王子は、お茶を一口飲んで、
「で、話す気になったか?」
と尋ねてきた。話すしかないらしい。
「本当に大した接触はしていないんだ。俺が噴水のベンチで時間を潰していたら、急に彼女が現れて、2、3言会話しただけなんだ…
その時、何か驚かせてしまったのか、慌ただしく会場の反対側に小走りに行ってしまった。
会場の反対側に行くと、噴水を通らず戻るにはかなり回り道するだろう?
靴擦れしたのはそのせいかもしれない。元々体調が優れなかったなら、疲れて眠ってしまったのも頷ける。
そもそも、噴水には疲れて休憩に来た様だったし。俺があの時、驚かすようなことをしなければ、彼女は階段下で眠るような、危険な失態を犯さずに済んだのでは、と思ったんだ」
一気に喋って、一旦お茶を飲む。
「アズールのせいだな」
ヘルグラウは、さらっと。
「アズールのせいではないか!」
ユングには、責められた。
「だよな、俺のせいだよな……」
不可抗力ではあるが、か弱い少女の足と心を傷つけてしまったこと。
やりきれない気持ちになった。
「でもさ、2、3言で驚かすってどうやったら出来るんだ? 何したんだ?」
ユング、そうだよな?
「そう、それ! 僕も気になってた!」
ヘルグラウ、それは俺が知りたいよ。
「それが分からないんだ。そもそも俺、喋りかけた記憶がなくて」
何だったのだろう?
「喋りかけた記憶ないのに、2、3言話したのか? 何だそれ? その辺詳しく話してよ」
ヘルグラウは話を促した。
「何だったか、俺が知りたいくらいだよ。俺が噴水で時間潰していたのは…まあ、いつものことだけど」
俺が話し出したらユングが邪魔をする。
「アズールが顔合わせの会場で、1人でいたら女の子に囲まれて、モテちゃうもんな!」
モテかは知らんが、囲まれはする。
「王子、煩いです」
ヘルグラウがユングを諭す。
「王子に向かって煩いとは何だ! 失敬な奴だな!」
ユング、話を聞く気があるのか無いのか…。
「王子、今はアズールが話しているから、黙って聞いて?」
ヘルグラウは、譲らずユングを諭す。
「チェッ、わかったよ」
ユングの負けだな?
「ヘルグラウ、ありがとう」
ユングが話の邪魔してきたが、ヘルグラウの勝利だ。
「俺がベンチで噴水を見ていたら、彼女が噴水に近寄って行ったんだ。
その時は、こちらに気付いていなくてさ、何か噴水見ながら喋っていたから、何となく言葉が聞こえて。
『噴水で泳ぐ』とか言っていたから、それは無いなと考えていたんだ」
あの時、口に出した記憶が無いんだ
「そうしたら彼女が、俺の考えに返事をして、ってやり取りを2、3言したんだ。
彼女も『あら?』って言っていたから、想定外だったんだろうな。
偶然だとは思うが、俺は声を出していなかったはずだ。
もしかしたら、うっかりしていたのかもと思ったけど、あれは余りにも不思議だった。
念のために声をかけて謝ったんだよ」
そうしたら逃げられたんだ
「確かに、噴水で泳ぐのは無いな」
王子は言った。だよな? 俺も同じだ。
「噴水は、深さ的に無理だろう?」
ヘルグラウ。深さは関係ないのでは?
やっぱりヘルグラウの感性は独特だな。
「…2人とも、問題はそこじゃないだろう」
2人して「えっ? 」って…なぜ驚く?
「俺は声を出していないんだ。でも会話が出来たんだよ? 驚くなら普通こっちだろ?」
2人とも馬鹿なのか?
「確かに! でも、階段下の眠り姫だしな」
確かに、不思議な娘であるのは理解できるが、
王子の呼び方はどうかと思う。
皆、噴水での彼女の発言はおかしいと感じているようだな。
彼女の頭の中の、冷静な考えと1人で会話していたのかもしれない。
「とりあえず謝るのは良いけど、アズールに責任はギリギリないと思う。
王子の側近から、丁寧に謝罪されるのは、かえって彼女を追い詰めないか? 自分の失態は忘れて欲しいだろ?」
確かに、ヘルグラウ の言う通りそうかもしれない
「学園に入学したらいつか会えるだろ? ヘルグラウも関係しているんだ。
会って謝罪する機会はいくらでもあるさ。
僕はその日を覗くのが楽しみで仕方がないよ」
王子はこちらを見てニコニコしているけど…
絶対に、貴方の居ない時に終わらせますよ?
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