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私の能力は『以心伝心』全部丸聞こえですわ。【第1章100話完結済】  作者: 黒砂 無糖
第1章 始まりのお話

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意気投合

「僕は、ヘルグラウ・フェルトシュパートだ。さっきは庇えなくてごめんね?」


 銀灰色の髪に、スモーキーグリーンの少し垂れ目な瞳を持つ彼は、耳が垂れた犬のような表情をしている。


「気にしないでください。謝らいでください。私はティーフロート・シュピネルです。庇おうとして下さり、ありがとうございました」


 色合いといい、雰囲気も優しい少年だ。


「お父様はとても強そうでしたね。見ていてとても素敵でした」


 さすが総帥様ね?


「ありがとう!さっきいたのは僕の父で、軍の総帥なんだ。かっこいいだろう?」


 お父様みたいな騎士になりたい。と言っていただけの事はあるわね。


「ヘルグラウ様も学園を通じて、騎士を目指されるのですか?」


 憧れてるなら目指すわよね?


「そうだね、騎士科を受講予定だよ。他にも興味があるものはやるかな。学園では通学期間が重なるね、会えるのを楽しみにしているよ」

「あと、敬称は要らないよ。僕は偉くないし、それに、そんなに歳は違わないだろ?君は、今いくつなんだい?」

 

 ——学園って何年間なのかしら?


「えっと……(7歳で倒れたから今は8歳?)先日、8歳になった?」

 

 ——多分あってるわよね


「なんで疑問…まだ8歳になりたてかな?僕は10歳だから、2つ年上だね。僕は今年から学園に通うんだ。今日もそのために来たんだよ」


 ——残念ながら10歳に見えないです。


「お兄様の2つ下なんですね?お身体がとても大きいから、お兄様と同じくらいかと思ってました……ごめんなさい」

 

 ちょっと失礼だったわね。


「はは、僕にとっては体が大きいのは誉め言葉だよ。ありがとう、ティーフロート嬢」

 

 ——あしらい方が10歳じゃないわ。


「“嬢”というほど洗練されておりませんわ。むずむずしちゃいますから。ティトでいいです」


 嬢はもっと大人になってからでいいですわ。


「ティトか。可愛い響きだね? 僕のことも、ヘルグラウでいいよ」


 ——何だか既にスマートな紳士ね


「それはちょっと生意気すぎます……そうね、ヘルグ兄様はどうかしら?」


 なんだかお兄さんぽいし。


「いいね、その呼び方。妹ができたみたいで嬉しいな。ティト、僕の通学用の空間魔法のカバン一緒に選んでよ。後、これからよろしくね」


 ——ヘルグ兄様10歳にして中々やるわね?


「よろしくお願いします、ヘルグ兄様」


 シスコンのお兄様には、“お兄様”と呼ぶ相手が増えたこと、知られない方がいいわよね?


 そう考えながら、ヘルグ兄様と握手をした。


 


「いつまでも立っていないで、こちらにお座りなさいな。一緒に選びましょう」


 お母様から声がかかったので、二人でソファに並んで一覧を見る。



「いろいろあるのですね?」


 一覧には様々なデザインの鞄がある。


「そうだね、見た目だけでなく、それぞれ機能が全然違う。シュピネル様、学園に通うのにお勧めなのはどれになりますか?」


 ヘルグ兄様はお父様に尋ねた。


「君は、お父上と同じ道を行くんだよね?騎士科だと遠征もあるし、討伐した証明部位もあるだろうから……っと、予算は聞いたかい?」


 遠征もあるんだ? 実践的なんだな。


「父は細かいことは気にしない性格なので、きっと今日も『一番いいやつをくれ』としか言わないと思います」


 ヘルグ兄様は、眉間に皺を寄せ考え込み

 

「予算はあってないような物かと……でも、後で、母に怒られそうなので程々がいいです」


 ヘルグ兄様は、情けない顔になった。


 ——この人、多分苦労人タイプだわ。


「ヘルグラウ君は、持ち物はマメに整理整頓するタイプかな?」


 父は、一覧を見ながらヘルグ兄様に尋ねた。


「神経質になる程まめではないと思いますが、整頓は嫌いじゃないです」


 お父様が、ふむと一覧に目を向ける。


「であれば、自然修復と時止めはありで容量はそこそこだな。この部屋ぐらいの大きさがあれば、比較的大きな物でも入るだろう」


 ——この部屋の大きさ?


「大型の魔物の場合は、皆で協力して解体するだろうし、屋敷サイズはいらないかな」


 ——屋敷サイズの荷物とは?


「鞄には、そんなに大きなサイズもあるのですか?屋敷ごと入れるのかしら?」


 私の隣から、プッと笑う声がした。


「ティト、流石に屋敷は持ち上がらないんじゃないかな?建物の基礎が埋まってるし」


 ——むむっ、バカにされてるわね?


「移動出来る屋敷にしたら、入るのではないですか?それなら便利そうですわ」


 前世には、移動出来る家が有りましたよ?


「ティト? 確かにそれがあれば旅の途中便利だが、護衛がしっかりいなければ襲われやすくないかな?」


 お父様の指摘は確かだけど……


「王族なら……使えそうですわね?」


 護衛が周りに付くだろうし?


「……伝えてみよう。屋敷サイズの鞄は、この商会のように、商品を運搬する人達向けだよ」


 大型のトラックみたいな感じなのね?


「一般的な使い方では無いが、稀に整理整頓が苦手な人が『出すのが面倒』で使っているよ」


 ゴミ屋敷になるタイプには有用ですね……


 ——何でも放り込むんだろうな


「ヘルグ兄様、笑いすぎです!」


 横を見たら、隣でずっと笑っている。


「ごめん、発想が予想外だったから。シュピネル様、先程の内容でお願いします。後は見た目ですよね。ティト、どれが良いと思う?」



 私は、ヘルグお兄様と「あれがいい」「それはどうだ」と意気投合してデザインを選んだ。


 

 ***



「……随分相性が良いのではないか?」


「そうね、年齢的にも良さそうですわ。後は本人達次第かしら?」


「……ティトにはまだ早くないか?」


「学園に入る迄に決める方もいましてよ?」


「せめて、学園の三年生位迄は待っても良いのでは……あの年頃は心が変わるだろう?」


「だから、本人達次第と言っているでしょう?何を焦っているのですか、今からそんなでは困りますよ?」


 なんて、お父様とお母様が話し合いをしていたなんて、私は全く知りませんでした。



ここまで読んで頂きありがとうございました。

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