表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の能力は『以心伝心』全部丸聞こえですわ。【第1章100話完結済】  作者: 黒砂 無糖
第2章 思春期のお話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/113

なんだかなぁ……


「ティト様、おはようございます」


 教室に入ると、先に席に着いていたオランジュが明らかにイライラしている。


 ——オランジュ、周りが怖がってるわ。


「おはよう、オランジュ。顔が険しくなっているわよ」


 その顔は令嬢というか、女性騎士が戦地で警戒しているみたいに見えるわ。


「……失礼いたしました」


 オランジュは、下を向きため息を吐くと、気持ちを切り替えて顔を上げた。


 ——淑女の仮面を貼り付けたのね?


 さすがオランジュだわ。


「オランジュ、朝から騒いでいましたけど、大丈夫でしたか?」


 ティーゼフとのやり取りは見ていたから、理解はできるけど……


 ——少し、神経質じゃないかしら?


「朝から騒いでしまい申し訳ありません。なんて言うか……彼の方を見ると、どうしてもイライラしてしまって」


 オランジュも、本当なら感情的にはなりたくないのか、力無く目を伏せた。


「どうしてティーゼフに対してだけ、そんなに苛立ちがあるのか聞いてもいいかしら?」


 風紀委員になってから、声を荒げて怒ったことは今までにはないわよね?


「このままでは、グランディエラ家の家名に傷がついてしまうかと思って……」


(グランディエラ家の品位が下がるのは、ティト様にご迷惑がかかるのと同義よ!)


 オランジュは小声で話しているけど……


 ——心の声が貫通してきたわ


「そうだったのね……」


 気にしてくれるのはありがたいけど、このままではオランジュが不利になるわ。


「……ティーゼフ様の振る舞いは、過去の自分を見ているみたいで嫌なんです」


 オランジュはポツリと言葉を溢した。



 ——それが本音ね?



「他の生徒にも同じ感覚なのかしら?」


 ティーゼフにだけは、過剰に反応しているわよね?



 ——嫌い……ではないのよね?


 もう少し、仲良くなれないなかしら?



「いえ。他の生徒は注意すれば嫌な顔はしますけれど、私には黙って従いますから、声を荒げたことはございませんわ」


 オランジュは、キリッとした表情で私に真っ直ぐ伝えてきた。



 ——オランジュは圧があるからなぁ



「……風紀委員は嫌になりませんか?」


 頼もしいけど……辛くないのかな?


「……生徒達から、陰で悪役令嬢と呼ばれているのは知っております。でも、私は風紀委員として正しいことをしているだけですわ」


 オランジュは、ツンとして澄ました態度をしているけど……


 ——強がっているだけよね?


「ひとりで頑張りすぎじゃないかしら?」


 他にも風紀委員はいるけど、オランジュほど頑張ってないわ。


「私のような過ちを犯してはダメです。未然に防がなければなりませんわ」


 その思いは、オランジュの優しさから来ているのだろうけど……


 ——頑なになっているわね。


「オランジュ。もう少し力を抜きなさい」


 私はわざと上級貴族らしい話し方をして、オランジュに命令した。


(ティト様が私に命令を?!)


 オランジュは私の態度の急変に驚き、目を見開いて心の声を貫通してきた。


「貴方の評価が下がる方が、私は悲しいわ」


 オランジュが私を信じてくれているなら、私が止めてあげなきゃダメよね?


「ティト様……はい。以後言動には気をつけますわ。ありがとうございます」


(私のためにお言葉を下さるなんて!やっぱり素晴らしい方だわ。ダリエとロアに共有しなくっちゃ)


 オランジュは感動に涙ぐみながら、教室に入ってきたばかりのダリエとロアに、


 視線をロックオンしていた。



 ***



 午前の授業の後半から魔法学の授業があるため、ひとりで教室移動をしていたら……


「あれぇ?ティト様じゃん」


 ティーゼフが、令嬢の壁を掻き分けてこっちに向かってきた。


 ティーゼフやめて……


 ——周りの目が怖いわ。


 ティーゼフに押しのけられてよろけた令嬢から、ガッツリ睨まれたけど……



 ——あなたを押し除けたのはその男よ?



「……ご機嫌よう。教室移動中ですので、失礼しますわ」


 私は関わりたくないので、軽く挨拶をして足早に通り過ぎたつもりだったのに……


「え、教室移動なの? ならそこまで俺も一緒に行くよ」


 そう言って、ティーゼフは横に並んで歩き出した。


「貴方ね……ティーゼフ、もう少し周りを見た方がいいわよ?」


 私は、ティーゼフの空気の読めなさ具合に呆れてしまい、ため息が出てしまった。


「何それ? ティト様の説教?」


 私がどう感じようが、ティーゼフはお構いなしなようね……


「分かってないようね? アズール様やヘルグラウ様も貴方を気にかけているわよ」


 ——何を考えているのかしら?


 行動と距離が読めなさすぎるので、私はしぶしぶ能力をオンにした。


「ふーん……ねぇ、それより、今日俺と一緒にランチしようよ」


(二人とも俺を気にしてくれていたんだ……でも、今更変わったって遅いよな)



 ——あら?二人への想いはあるのね?



「随分と急ですわね? でも、私は約束があるから無理ですわ」


 さすがに、婚約者を差し置いて他の令息とランチは無理よ。



 ——感性がズレてるわ。



「えー、じゃあ、明日は?」


(アズール様の婚約者なら、色々と話してみたいんだよな)


 ——アズ兄様と一緒ならいいかしら?



「……アズール様に聞いてみます」


 アズ兄様はきっと「放っておけ」と言いそうよね……


「えー、アズール様は要らないよ」


(オランジュなら連れてきて欲しいな)


 ——え? 


 オランジュを御所望なの?


「……二人だけでは、流石に無理ですわ」


 ——ああ、もう。


 ハッキリと口に出して言ってくれたら、オランジュにこだわる理由を聞けるのに……


「やっぱり無理かぁ。なら、お友達も一緒なら良い?」


(オランジュをぜひ連れてきて欲しいな!)


 ティーゼフ貴方……


 オランジュに近づきたいだけじゃない!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ