良心が裏切られる事なんて間々あること
☆ 幼女教十戒 ☆
「幼女とは、全てにおいて優先されるべき、絶対の保護対象である!」
「「幼女とは、全てにおいて優先されるべき、絶対の保護対象であるっ!!」」
「幼女の笑顔は、金銀財宝よりも遥かに価値がある、至高の宝である!」
「「幼女の笑顔は、金銀財宝よりも遥かに価値がある、至高の宝であるっ!!」」
「幼女が笑っていられる街を造る事、それこそが社会の基本であり本質である!」
「「幼女が笑っていない街になど、幸せがあるはずも無いっ!!」」
「幼女を庇い、幼女のために生きる、それこそが我ら大人の生きる意味である!」
「「幼女の為になら生きられる、幼女を守る為になら辛い事にも頑張れるっ!!」」
「幼女のためになら命だって賭けられる、幼女の為にならばっ!」
「「命を賭けるならば、幼女の為にこそ命を使ってしまいたいっ!」」
「幼女が幸せそうにしていれば、それこそが我たちにとっての至福である!」
「「我々が幸せを感じる瞬間は、幼女が幸せに満ちている時であるっ!!」」
「幼女を称えよ、幼女こそがこの世で最も偉大な存在である!」
「「人の中で最も守るべき価値ある層は断然に幼女一択であるっ!!」」
「国と幼女、どちらを取るかと言われれば、当然に幼女。それは当然の選択!」
「「そんなの当たり前すぎる、幼女こそが最優先で絶対的な存在であるっ!!」」
「幼女こそが真実であり、真理である。世の理の全てがこれに尽きる!」
「「我々が辿り着いた悟りの境地、それは幼女という世界の真理っ!!」」
「我らの全ては幼女の為にこそ。それこそが我らの生きる道だっ!」
「「我らの全ては幼女の為にこそ。我らの忠誠は幼女の為にこそ使う事をここに誓おうぞ!!」」
わああああっ!とハゲ達を中心に盛り上がる観衆たち。
「幼女教」なる宗教が街を巻き込んでどんどん蔓延してゆく。
誰も止めない、止められない、その勢いは加速してゆく……
「今日は幼女様から決戦の日だと通達があった。お前ら、気合い入れてゆくぞっ!」
「「おおおおっ!! 幼女様の為ならば命も惜しくないぜっ!!」」
心を入れ替えた元・兵士たちが闘志を漲らせていく。
この街は俺らが守るんだ、という意思を持ってして。
準備を進めて、不測の事態に備えていた。
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「こっから先は、レッドさんがまず切り込みに行ってね!」
「俺たちは様子を見て、それから制圧に向かおうっ!」
領主の屋敷の前で、突撃メンバーたちが最終確認をする。
いくら敵の根城であり本拠地とはいえ、いきなり魔法攻撃するわけにもいかない。
中には普通に働いている給仕や料理長などもいるはずだ。
まずは切り込み隊長であるレッドが突撃し、関係ない者は出ていけと叫ぶ。
そこから逃げ出して来る者はこちらで保護する。逃げ出さない者は、とりあえず敵という事で。
何かあればレッドさんごと範囲魔法で吹き飛ばすという段取りだ。
「くそっ、なんでオレがこんな目に…… 毎回毎回、扱いが酷ぇ!」
「それはお前がババ抜きに負けたからだ、諦めろ」
「レッドさんだからこそ出来る、この作戦の適任だと思うけどね」
不死身のレッドという異名を獲得しつつある彼は、そのまま単身で屋敷に突撃していった。
あの彼でなければ万一の範囲魔法で丸ごと吹き飛ばし作戦も容認は出来なかったであろう。
不死身かどうかはさておき、レッドさん以外を範囲魔法の巻き添えにするのはキャラ的にキツイからだ。
「うおおおおっ! 今からこの屋敷を襲撃するぞー!! 関係ない奴は出ていけーっ!!」
屋敷の中からレッドさんの声が響き渡る。
無関係の兵士以外を相手にするつもりはない。
一般人に紛れて領主の片腕とかが逃げ出しても困るけど、領主さえ仕留められたのなら最低限はそれでもいい。
慌ただしい怒号が聞こえる中で、屋敷から外にやってきたのはメイド服の女性だった。
この人はただの給仕で、領主や兵士とは関係ない人だろう。
「はぁ、はぁ…… あなた方が、襲撃にやって来た人たちですか?」
息を切らしたメイドさんが、確認のように目配せしてくる。
私がそうだと頷き、そして傷付けるつもりは無いと手を振ってアピールしてみる。
可憐なメイドさんはそれを見て俯き、手でスカートを摘まんでいた。
「そうですか…… では、メイドによる冥土へのご案内をさせて頂きますねっ」
飛んで来たのは、鋭い針の数多だった。




