だって女神様にちゃんと準備はしろって言われたからね!
「領主様、雇っていた兵士たちがハゲにされて次々と謀反を起こしております!」
「領主様、町の人たちが最近言うことを聞かず、反抗的でございます!」
「領主様、幼女にはお気を付けください。幼女はヤバいですぞ!」
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どうしてこうなった?
この町は私の物。領地も町民も全て私が持つ、所有物に過ぎない。
それが最近では上手くいかず、何もかもが狂い始めている。
「ええい、兵士たちに掛けておった洗脳はどうした? あれがある限り、謀反など起こす筈がないだろう!」
「はっ、それが…… どうやら洗脳を“治療”されているようでして……」
洗脳を“治療”だと? バカな…… 怪我や傷など単純な損傷なら回復魔法で治せる者など幾らでもいる。
だが呪いや洗脳といった状態異常を解除、もしくは治療できる者など相当な高位者でないと不可能だ。
それこそ、宮廷魔術師クラスでも極一部に絞られるぐらいに。
「舐めやがって…… この領は私の物。なぜ貴族が貴族であり、支配者が支配者足り得るのかを、領民どもに今一度知らしめてやらないと……」
兵士たちの洗脳による支配、逆らう者に対する徹底的な鎮圧、搾り取った税による強行策、貧民どもの貧民街への隔離etc.……
領主として盤石の地盤を固めてきたというのに。最近は何かが崩れ始めている。
あとはもう王妃を拐い、洗脳して手駒にしてしまえば、未だに王妃を探し続けている王家に対してでさえ強気に出られるというのに。
あと少しなのだ…… あと少しで、私の支配は完全なる物となる。
王家さえ黙らせたら、それこそ今以上に好き放題に領地を弄れる。
貧民街の住民どもを奴隷にして、奴隷制度を復活させるのも良いかもしれない。
あと少し、もう少しで……
「領主様、『幼女教』なる新興宗教が町で拡大している模様ですぞっ!」
ええい、さっきから幼女、幼女とうるさいわっ!
幼女が一体、なんだというのだ……
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「ほら、君たち、ちゃっちゃと働いてっ!」
貧民街の人たちの生活を改善するための物資、食糧、人員を投入し、ひとまずの処置を施してゆく。
人員であるハゲたちは、街のために精一杯働いてくれている。
彼らは彼らで、心を入れ替えたかのように真面目で誠実になっているようだった。
私は私で、街の中の体調の悪い者や怪我をした者などを随時治療していく。
「よしっ、じゃあ私は一旦帰るから、後は宜しくねっ!」
貧民街の住民たち、ハゲたちに微笑みかけ、それから労りの気持ちを込めて手を振った。
私は翼を広げて、空へと飛び立っていく。
街の上を、上空からぐるりと一周してから帰ってゆく。
「うおおおっ、幼女様! 幼女様バンザーイっ!!」
「天使じゃ、あの子は天使じゃったんじゃっ!!」
「聖女様かと思ってたら、天使様だった…… あばばばっ!」
幼女教なる宗教が、蔓延するのに時間は掛からなかった。
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「ただいまー!! 何か変わった事無かった?」
今の拠点である古びた教会に帰還し、皆の無事を確認してみる。
「メアちゃん、おかえりなさい! お風呂にします? それとも私にします?」
「メア、おかえり! 晩ご飯の方はもうちょっと待っててね!」
「ふええ…… メアちゃん、一緒に遊ぼ?」
「教会の屋根に魔導砲を設置してみたぜっ! 敵を凪ぎ払うのにロマンは必要だろう?」
「ほっほっ、随分と賑やかな拠点じゃのう」
何人かツッコミが必要な人がいるみたいだけど、どうしようか。
とりあえず教会の魔改造を進めているホークさん&レッドさんから話を聞いてみよう。
「魔導砲を運用するに当たって、その必要な分のコストを詳しく」
「一発あたり魔石を数個消費する。消費する魔石の数を増やせば威力も倍増するぞ」
「魔石はこの前大量に手に入れたからな、ギルドに捌き切れないで残ってた分を貰ってきたぜ!」
なんかロマン兵器である魔導砲は、教会要塞計画において絶対に外せないんだとか。
なんだよ、その教会要塞計画って…… この人達、教会を何だと思ってるんだか。
「神様の庇護付きだからな、怖いもんなんてないぜ!」
「いずれは飛行能力を持たせて空翔ぶ要塞にしたい」
ダメだ、こいつら早くなんとかしないと……
いい加減にしないと、神様から罰が当たるぞ?
ここは女神様も直に視ているっていうのに。
『面白そうだから、もっとやれ。私が許可します』
・・なんか聞こえた気がするけど、気のせいだ。
私は何も聞いていない、今のは幻聴だ。いいね?
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ミアちゃんと一緒にトランプをしながら晩ご飯が出来るのを待つ。
なんだかマリーさんが後ろからべったり引っ付いてくる。
その隣では顎髭を擦っているお爺ちゃんが私たちの遊びを見ている。
「ねえ、そういえばなんでお爺ちゃんはここにいるの? ギルドが私たちに協力してるってのがバレるじゃん!」
「ほっほっ、その事なんじゃが…… お主、既に暴れすぎじゃろう? もはや色々と隠すような段階は過ぎておるのじゃ」
なんだか町は既に混迷としていて、ハゲたちを中心に領主に敵対する意思を表している者が次々と現れているんだとか。
そうでなくとも私たちが領主打倒の告知をしたから、何かあった時の準備はそれぞれが備え始めてるみたい。
まあ町の人々が準備をしてくれてるなら、そろそろ決行の頃合いかな?
「ギルドのメンバー達も、決戦に備えて準備しておるぞ。後はお主のGOサイン待ちじゃ」
「そっか、色々とありがとう」
女神様は、単純に領主を倒すだけなら私一人が乗り込むだけでも勝てると言っていた。
だけど、“犠牲を出さない為”にはちゃんと準備をしろとアドバイスしてきた。
おそらく、決戦時には何かが起きるんだろう…… 町を巻き込んだ何かが。
「ところでお主らがやっておる遊び…… それは、何じゃ?」
「トランプの“ババ抜き”だよ、お爺ちゃん知らないの?」
どっかの転生者が持ち込んだのか、女神様が何らかの方法で地球の知識を普及させたのか。
この世界にはトランプがある。
数字は1~13、それとジョーカー。地球と全く同じだ。
これをこの世界に持ち込んだ犯人を突き詰めるのも、面白いかもしれない。
「ババ抜き、か…… 聞いた事があるぞ。“ぽーかーふぇいす”とやらが出来れば楽勝のゲーム、だとな?」
「へぇ、ならお爺ちゃんもやってみる? このババ抜きはそんなに甘くないよ?」
まあ決戦前夜に、みんなで楽しく一時を遊んでみるのも悪くはないよね!
低クオリティでいいから投稿し続ける事が1番大事なんですよ。
そう言ったのに、全然投稿出来てないじゃないですか! あばばばっ!




