失ってから初めて気付く、髪の毛の大切さ
「うわあああっ! ハゲは嫌だっ、ハゲは嫌だぁーっ!!」
「頭を燃やさないでくれ! 頼むから、髪の毛だけはやめてくれーっ!!」
「幼女こわい、幼女こわい、幼女こわぃ……」
返り討ちにした兵士達の頭の髪の毛を、順番に燃やしていく。
喚いたり騒いだり大声出したり、うるさい連中である。黙って燃やされればいいのに。
この人達は私のお母さんを拐おうとした。
子供である私の目の前で。
ならばその子供が自分の母親を拐おうとしてきた相手に、許すわけがないでしょ?
常識的に考えたら、そんな事ぐらい普通に分かるよね?
「メア、命だけは取ったらダメよ?」
お母さんがこんなにも慈悲深いから、頭を燃やすだけで済ましてあげてるんだよ?
自分が拐われそうになったというのに、この寛大な処置。
感謝して頭のツルハゲと共に、精魂を詰め込んで反省してくればいいよ。
「うわぁ、あの幼女えげつないな……」
「最近、町にハゲが増えてきたなと思ってたら、こういう事だったのか」
「兵士の奴等、一般人に混じって俺らを監視してたりするからな。でもこれで見分けが付きやすくなったぜ!」
「しかしあの幼女、かなり強いな…… あれならもしかして、本当に領主にも勝てるんじゃね?」
町の人々の反応は様々だ。
私としては、革命が現実的だと分かってくれたらそれでいいと思うよ。
この町はいい加減、変わらなくちゃいけないのだから。
そして私は、ここで切り札を一つ切る事にした。
「町の皆さん、私は聖女で、どんな怪我や病気でも治せます! もし怪我や病気をしている人がいれば、今ここで私が治療します! お金も対価も要りません、苦しんでいる人がいれば私の元に来てください!」
私のこの声掛けに、町の人たちが一層と大きくざわめき始める。
だけどそこには迷いや躊躇、疑惑や戸惑いなどがあるようだ。
様子を窺いながら遠巻きに見ているだけで、中々近寄ってきてはくれない……
そしてそんな中、私の呼び掛けに対して一斉に反応する男達の声がっ!
「「おれたちのハゲを治してくれ~っ!!」」
いや、お前たちかよっ!!
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「やった~! ハゲが治った! 奇跡だぁー!」
「まさか本当に治ってしまうとは…… あなたが髪か!」
「失われた毛根、髪の毛まで再生されるとは、とんでもない魔法だぜっ!」
「これでまた町を歩ける…… ああ、失われて初めて気付く、髪の毛の大切さ!」
大喜びの兵士たち、うんうん、良かったね!
やっぱり髪の毛は大切だよね! 失くしたら困るよね?
うん、それじゃ…… また頭を刈ろうか?
「治った所でおめでとう。では、再び燃やすので覚悟してね?」
「「えっ……!?」」
あはは。全く、私があなたたちをそんな直ぐに許すわけないでしょ?
人の母親を拐おうとしていて、そんな簡単に許されるとでも思ったの?
なんなら私はあなたたちの家族を拐ってあげてもいいんだよ?
「ぎゃあああっ! また燃やされるー?!」
「せっかく元に戻ったのに、こんなの無慈悲すぎるーっ!?」
「うわあああ、もうハゲは嫌だっ、もうハゲは嫌だぁあーっ!!」
「どうして何故、1度治したぁあ?! この幼女、悪魔だぁーっ!!!」
「う、うわぁ…… あの幼女、まじでヤべぇな……」
「強くて可愛いくせに、まるで容赦が無い……」
「上げて救っておいて、また再び落とす…… これぞまさに、鬼畜の所業っ!!」
「でも兵士たちの行いを考えれば、あれも当然の報いなのかもな……」
こうして私の最凶幼女伝説は幕を開けたのだった……
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「大人しく反省するなら、今度こそ本当に治してあげてもいいけど?」
「「「はいぃぃ、何でもしますから治してくださいぃ!!」」」
「じゃあもう領主には従わない、そしてこれからは町の人々のためにゴミ拾いでも何でもやって誠心誠意に尽すことっ! いい?」
「「「はいぃぃ、分かりました幼女様ぁ!!」」」
「ヤベぇ…… 幼女がハゲ軍団をなんか従えてやがる……」
「あの幼女に手を出したら駄目だ、なんかヤバい事になるぞ」
「ハゲ軍団に讃えられてる幼女…… 絵面的にカオス過ぎるってば……」
「あなたたちは今現在、人ではなく種族:ハゲだという事を自覚しなさいっ!」
「「「嫌ですぅーっ! もうハゲは嫌ですぅーっ!」」」
「人間の地位に再び復帰したければ、頑張って町の人達に貢献しなさいっ!」
「「「心を入れ替えて頑張りますぅぅ! 人間に復帰するために頑張りますぅっ!!」」」
「町民からの評判が良くなれば、その時こそ頭のテカテカをフサフサに戻しますっ!」
「「「うわああぁ、幼女様! ありがとう幼女様! 幼女様バンザーイっ!!」」」
こうしてハゲ軍団を改心させた私は、無事(?)に初日の演説を終えたのだった!




