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魔法少女として。


ずっと戦い続けていた……

魔法少女になってから、悪の組織という存在を知って、それを砕くために戦い続けてきた。

敵の存在は凶悪で、巨大で、また執拗でもあった。


あの人達には、何世紀にも掛けて成し遂げようとする野望があった。

技術は遥か100年先を行き、研究員は世界中に散らばっていた。

裏から世界を支配し、世界の歴史を操作してきた者たち……


地球の辿ってきた歴史の、何処までが彼等の手のひらの上だったのかは分からない。

たった一人の、少女が立ち向かうには敵があまりにも巨大過ぎた。



切っ掛けは、親友の事故死だった。

大切な友だち、かけがえのない唯一無二の親友。

ずっと一生、側に居て、そして一緒に生きていくのだと思っていた。


その事件は親友の過失による事故として処理され、世間では1日だけの夕方ニュースとして騒ぎは終わった。

だけど、その子の親友であった私にだけは、その親友の過失とやらが出鱈目の嘘である事がすぐに分かった。

この事件は、真相を揉み消されている……


治安国家の事件捜査に介入出来る存在、あるいは治安国家の上層部が揉み消しにくるような何か。

その瞬間、私にとっては世間の全てが敵となり、周りの全てが何一つも信用出来ない状態になっていた。

それまで心を許せていた唯一の友はこの世を去り、もはや私にとっては自分の命などどうでもよかった。


好奇心旺盛で不思議な雰囲気を持っていた赤い髪の親友…… 彼女はあの時に一体何を知ってしまったのか。

事件の真相は何だったのか。

そして、親友から託された『魔法のステッキ』……


──自分にもしもの事があれば、これを使ってっ!



親友が何処からこれを手に入れてきたのか、どんな方法や手段を使ってこれを入手してきたのか。

おそらく自分の死を予感していたであろう彼女は、予め私に切り札を託していた。

それは「願いを叶える力を持つステッキ」…… 私が勝手に魔法のステッキと名付けた物だ。


事件の真相を追い、やがて世界を裏から支配している巨大な組織という存在に私は行き着く。

真相に辿り着いた私は、その敵の巨大さに立ち向える力が必要だった。

戦う力を得るために、試しに願いを叶えるステッキに自身の想いを込めてパワーを生み出していく。

確かにそれは、奇跡のような力を生み出していた。


しかし、自分一人だけの願いには限界があった。

奇跡は生み出せても、その奇跡の規模は些細な物に過ぎなかった。

だから私には、他の人の願いを自分に委ねてもらう必要があった。

もっと多くの、沢山の味方が必要だった


街中を駆け回り、ステッキの些細な奇跡を使ってコツコツと人助けをする日々が始まる。

誰かを助け、困っている人を救う度に、ステッキには願いの力が貯まっていった。

誰かが言い始めた、“あの子は魔法少女だ!”という噂、それが街や街の外に徐々に広がっていった。


可愛い服を着て、媚びた仕草をすればみんなの願いが私に集まり易いことに気付く。

派手にエフェクトを撒き散らし、如何にもな雰囲気で倒すべき敵を倒せば、世間の願いが私に集まり易くなる。

望むがままに魔法少女だと呼ばれ、魔法少女だと名乗り、そして私は敵を『悪の組織だ!』と勝手に名指しして倒していった。


本当は世界の安定のためだとか、バランスの秩序のためだとか。

そんな理由が組織にはあったのかもしれない。

だけど親友を失った私には、そんな事は別にどうでも良かった。

ただ復讐の為だけに、何世紀にも及ぶ組織に対して一人で敵対していった。

相手を悪の組織だと勝手に言い張り、言い掛かりを付けて……


やがて組織も私の存在に無視が出来なくなったのか、本気で相手をし始めるしかなくなった。

その技術力、その遥か100年先の物を、私の打倒の為だけに駆使し始めてくる。

世間ではロボットやらビームやら、遥か未来の技術を使い始める組織に対して、やはり悪の組織だ!と沸き立つ。

私とその組織との激しい戦闘には、一種のエンターテイメント性が生まれていた。


未来の技術を使う組織に対して、媚びたポーズと決め台詞で登場し、可愛い服で派手な魔法を使いながら戦闘していく私は、どんどんと世間の注目を日に日に集めていく。

演出はどんどん過剰になり、そして私は人気を取る事に貪欲であった。

支持が集まり、人気が出る毎に、魔法のステッキにはみんなの願いが集まってきた。


本当は、私はただの復讐者だというのに──。


そして最後の敵、組織の最終最期のボスを倒した時に、私は自分の命を散らした……




「なんだあれは、眩しい光と共に服が変わったぞ!」

「幼女が変身して可愛い服を着ているっ、どういう事だってばよ!」

「なんだあのステッキ、何かヤバい雰囲気が漂ってねぇ?」

「おい、確か幼女には注意しろって誰か言ってなかったか?」


「あの子、もしかしてあの数の兵士たち相手に戦うつもりなの?!」

「オレたちはいつもあの兵士たちの言いなりになっているだけなのに。あの子は戦うつもりなのか……」

「本当に革命を起こすつもりか? この町の領主を相手に」

「俺たちはこのまま黙って見てるだけでいいのか? あんな小さな子までもが兵士と戦おうとしてるっていうのに!」


兵士たちがざわめき、町民たちは迷い始める。

こんな戦闘、こんな周囲の状況なんて、別に何度も乗り越えてきた。

立ちはだかる悪には、魔法少女としての力を見せ付けるだけだ。


「あなた達は、領主の命じるがままに今まで町民たちを苦しめてきた。その報いを受けなさいっ!」


世界が変わっても、私はこうして戦い続けている……

正義を掲げて、尤もらしい事を言って、まるでヒーローの如く。

魔法少女として悪を倒していく。


神様は、本当はどこまでの事を知っているんだろうな。

私には世界中を欺いた罪があるのに。

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