じゃあ神様に聞いてみようっ!
なんか朝起きたら襲撃が終わっていた。
どうやらハングリー精神の高い子供たちを舐めてたら痛い目に合うようだ。
ここの子供たち、なんだか頼りになりすぎるよ!?
「「メアちゃん、おはよー!!」」
今日も元気いっぱいの子供たち。うんうん!
やっぱり子供は元気にはしゃいでなきゃ駄目だよね!
朝ご飯を用意するから、ちょっと待っててね?
「「わーい、今日もご飯が食べられるー!!」」
食事が出来る事に、感謝を忘れないのは大切な事だ。
特にここの子供たちは、その事をよーく知っている。
だから毎回、手を合わせてありがとうの気持ちを込めている。
「「メアちゃん、いつもありがとう! いただきまーす!!」」
どうやら感謝の気持ちは、私へのありがとうも含まれていたようだ。
ちょっと気恥ずかしいね、えへへー♪
**
食事を終えた私たちは、作戦会議をする事にした。
「はやく領主の奴をブッ飛ばしに行こうぜー?」
「だからブッ飛ばした後をどうするんだって話だろ?」
「領民たちが全員、協力してくれるのなら混乱も少なくなるんですけど……」
「味方を増やすか? 変革後もスムーズに統治が出来るようにさ」
なんだか味方を増やす方向で行くみたいだ。
でも、私たちが下手に関わればその人たちも襲撃の対象になってしまうのでは?
ちょっと難しい問題だよね。
「メアちゃんはどうするべきだと思う?」
「うーん、まずは変革後に新しい統治者を誰にするのか。次に、その統治者の認知度を領民に予め広げておく事、かなぁ? あと、今の領主を近い内にブチ倒す事を事前に宣告しておくのも大事になるかな?」
前世の現代知識も含めて、トータル的に最も混乱が少ない方法を模索するとこれがベストになってくると思う。
いきなり領主が潰されて、何処の誰かも知らない人が統治者に成り変わっても、混乱は避けられないと思う。
大事なのは新しい統治者が誰なのかを領民に事前に予め広めておく事と、変革を前もって知らせておく事じゃないかな?
「「「………………」」」
ん? どうしたの、みんな??
変な表情して、顔を見合わせてさ。
「なあ、この子ほんとに5才児なのか?」
「隣の5才児を見てみろ、ふぇぇ…としか言ってないぞ?」
「メアちゃんは天使ですから、人間の枠で考えるのがそもそも間違いなのでは?」
なにやらブツブツと話し合う3人。
だから私は中身少女なんだって言ってるのに、未だに信じてないのかな?
お母さんなんかは純粋に私の頭を撫でながら「メアは賢いのね!」って誉めてくれてるよ。
うんうん、やっぱりお母さんは器が大きいね。みんなもこれくらい柔軟なのが大切だと思うよ?
「それで、作戦はまあそれで良いとして、誰が新しい統治者になるんだ?」
「ギルドマスターに押し付けたらいいんじゃね? 適任だろ」
「ギルマスにはギルマスで、ギルド内での仕事があるし、何よりあんなジジイじゃ領民の支持票は稼げないぞ?」
「メアちゃんが統治者になれば、きっと熱烈な支持者が殺到すると思う」
「私? いや私は5才児だよ? 幼女だよ? 無理じゃない?」
「メアちゃんなら行けます、むしろ行かせますっ!!」
なんだかかんだか議論が白熱していく私たち、ヒートアップしてゆく小さな会議場。
私はマリーさんの猛烈なプッシュを回避するので精一杯だよ!
そこに激しい論戦を繰り広げている私達を見守っていたお婆ちゃんが口を開く。
「そこの、聖母様が適任ではないでしょうか?」
聖母様と呼ばれたお母さん。その姿に皆の視線が一斉に集中する。
そんなお母さんは、慈愛に満ちた表情で私の頭を優しく撫でていた。
ヒートアップしていた会議からは一歩退いて見守っている感じだ。
まあ私もお母さんなら、民を治める者として適任だと思う。
「王妃様なら、問題ないな」
「そうか? 自己主張がちょっと物足りなくねぇか?」
「失礼な物言いは止めなさいよ。まあ私はメアちゃん推しですけどね?」
1:2でどうやら反対意見が優勢のようだ。私の票も含めると2:2か。
お婆ちゃんの意見も加えると2:3になるけど、ちょっと弱いかな?
あと誰か一人、お母さんを推してくれる人がいないかな。
「そもそも聖母様って何なんだよ? 神様にでも認められたのか?」
「天使の母親なんですから、べつに間違いはないでしょ?」
「王妃様は王妃様なのだが…… まぁその辺は神様に聞かないと分からないな」
なるほど、神様に聞く、か…… そういえばここ、教会だったよね?
祈りを捧げたら神様の声が聞こえて来たりしないかな?
たしか私のステータスには「女神の加護」とかあったはず。
あの加護があるのならば、もしかして。あるいは……
教会には祈りを捧げられるように、十字架が置かれている。
小さいながらも、女神像だってちゃんと設置されている。
此処は確かに、人々が神様に祈るための場所で、その為に作られた空間。
「メア……?」
私はお母さんの手を取って、教会の女神像の前に向かっていく。
加護がある事を意識すると、それに応えるように光が溢れてくる。
この感覚、あの女神様と一緒にいた時に似ている……
「今から、神様に聞いてみるよ。お母さんの事、それから。これからのことで、何かアドバイスがないか……」
「メア? あなたは、一体……」
私が祈りを捧げると、白い光が一層増して辺りを包んでいった。
後ろの方ではその光景を見て、マリーさんや子供たちが急に大慌てをしている。
「ちょ、神様に聞くって何だぁっ?!」
「まじかよ、本当に神様に聞くのかよっ!?」
「メアちゃん、やっぱりメアちゃんは本物の天使だったのねっ!」
「「神様の声が聞けるの? スッゴーイ!!」」
教会なんだから、祈りを捧げたら届くはずだよ?
私は意識を集中し、女神様とのコンタクトを試みようとする。
思えばあの時、転生時に会話して以来だなぁ。こうして女神様と向き合うのも。
──メア、お久しぶりですね。
「お久しぶり、元気にしてました? 女神様っ!」
その声が聞こえた途端、なんか後ろの人たちが大騒ぎしてから皆一斉に跪いてしまった。
そんな堅苦しい事、この女神様は望んでないと思うんだけどなぁ。
それに、私は覚えているよ?
この女神様は案外、ケチなんだって事をねっ!




