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魔改造された教会


月明かりの下、真夜中に佇む人影が数名……


「おい、この教会はヤベェって。絶対何かあるぞっ!」

「前回襲撃してた奴等は全員返り打ちだったらしいぞ?」

「しかも全員がハゲにされてて、町中を歩けなくされたとか」

「なんでも、幼女が一番ヤバいらしいぞ……」


この兵士たちは、領主に命じられて今回の襲撃に来た者たち。

しかし前回の襲撃の失敗があり、その突撃に躊躇が生まれている。

領主に逆らうわけにはいかないが、ハゲにされるのも嫌である。


「何、心配するな。前は子供と思って油断してたのが失敗だったんだ」

「今回は油断もなく、装備も準備も万端だ。抜かりはない」

「相手が子供だと思うな。特に幼女には警戒しろっ!」

「そうだな。それに、何よりも……」


「「「成功報酬、金貨100枚……ッ!!」」」



あれだけコテンパンにされたというのに、懲りない大人たち。

どうやら今回は油断も隙も無く、準備も万端との事らしい。

果たして彼らは、幼女の魔の手から逃れられるのか?

そして、彼らの頭の頭髪は守り切る事が出来るのか?

それは髪のみぞ知るのであった……



**


まずは先遣隊の一人が様子見の為に教会の敷地に踏み入る。

何も無さそうなので手招きし、残りのメンバーたちも呼び寄せる。

そして人数が集まり、重量に耐えられなくなった所で、その罠は発動した。


……いきなり、地面が陥没した。ズドドーンッ!!と。


「「「うわあああああーっ!!」」」


人間一人だけが乗って落ちる落とし穴など意味が無い。

──落とすなら、纏めて落とせ!! by レッド



叫び声が聞こえてきた所で、子供たちが起き上がったっ!

そして所定のポジションに付き、スタンバイをする。

この教会はもはや、一人の武闘家によって要塞と化しているのだ!


「正面A、スタンバイOK!!」

「後方B、スタンバイOK!!」

「東面C、西面D、スタンバイOK!!」


「「「よし。全軍、撃てーーっ!!」」」


ズバババッ!と射ち放たれる弓矢の嵐っ!

石造りの建物の上段隙間から、兵士の群れの中心に向かってそれは降り注いでいく!

群れているから誰かに当たりやすい! これではまるで格好の的っ!!


「「「ぎゃああああああー!!」」」


一目散に逃げていく兵士たち。とりあえず退避しないと弓矢の的にされてしまう!

退け退けーっ!と怒号が飛び交い、背中を向けてゆく軍団。

初戦の攻防は、どうやら子供たちの方に軍配が上がったようだ……



「ハァハァ…… なんだよアレ! 普通に要塞じゃねえか!」

「あれは、砦を攻め落とすつもりの覚悟で行った方が良いのかもしれんな……」

「でも、弓矢が飛んでくる事は分かったんだ。なら、ちゃんと盾を身構えて進めば行けるだろ?」

「あと、固まるな。固まっていれば的にされちまう。今度はバラけながら行くぞっ!」


懲りない兵士たちは、作戦会議を終え、再び教会に向かっていく。

今度は矢を防ぐ為の盾を持ち、矢を受けない為の姿勢で進んでいく。

一応、彼らも兵士としてそういう訓練は受けているようだった。



バラけた兵士たち、盾を持って亀のように進む兵士たち。

そして、それに忍び寄ってゆく武闘家と戦士の影……

「ぎゃああっ!」「うわああっ!」「あべしーっ!!」……


闇に紛れて至る所で聞こえる断末魔に、兵士たちは竦み上がった。

どうやらバラバラになった所を各個撃破されている様子っぽい。

なんだこれは、これでは…… まるで敵の掌の上で踊らされているかのようではないか!



その時、不意に月明かりが映えて、鐘の音が鳴った。


──ゴーン…… ゴーン…… ゴーン…… ゴーン……


不気味な教会の鐘の音色に、その場の全員が意識を向ける。

よく見ると、月明かりの教会の屋根に、誰かがいる。


それはマリーゴールドのような髪を靡かせた、一人の女性。

メアちゃんのナイトを自称する、火の魔法使い。


「あなたたちは、罪を犯した…… メアちゃんに代わって、私がその頭髪の全てを燃やし尽くすッ!!」


まるで悪夢のような宣告と共に、火の魔法が兵士たちの頭髪を狙って次々と放たれていったっ!

ダウンしている兵士たちは避けることも出来ずに、為すがままに燃やされてゆくだけっ!


まずいッ! ここで倒されるという事は、あの末路が待っているという事っ。

敗北者たちの辿る結末を見てしまった兵士たちは、慌てて逃げ出した!

それを追撃するかの如く、背中を向けた兵士たちに教会から飛ばされる矢の嵐!

倒れた者から順番に頭髪を目掛けて火の魔法が飛んでくるっ!!


「「撤退だ、撤退っ!! 逃げろォーッ!!」」


兵士たちは逃げ出し、散っていった。

どうやら今夜も、教会の襲撃には失敗してしまったらしい……



尚その頃、メアはお母さんに抱かれてグッスリ眠っていましたとさ。

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