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領主のせいで救えない子供たち


広場でお腹を空かせているのは孤児なんだろうか?

きっと日々の生活がどうしようもなく、行き詰まっているのだろう。

よくよく考えたら今の私たちも似たような立場か。


領主が助けてくれないからそうなっているんだろうな。

むしろ領主のせいでそうなってしまった可能性すらある。

もし今の私が何の手助けも能力も無ければ、この子たちと同じ様になっていたのだろう。


私とこの子たちの違いは、たまたま私が能力を持っていたという。ただそれだけの差異でしかない。

なら今ここで恵まれている私は、目の前の恵まれずに嘆いている子供たちを助けてあげるべきなんだ。


「ねえ、あなたたち。もしお腹が空いてるならご飯を分けてあげるけど、どうかな?」


領主の間接的な被害者、或いは直接的な被害者であるならば、この子たちは仲間だ。

仲間なら助けなければいけない。同じ領主に被害を被った者同士。

領主がしっかりしてれば、この子たちはお腹を空かせていないはずだ。


「あの、ご飯。くれるの……?」


まだ幼い、私と同じ5才ぐらいの女の子が遠慮がちに喋ってくる。

私と変わらない歳の女の子が、目の前でお腹を空かせてひもじい思いをしている。

私は無性に悲しくなり、そして領主をブン殴りたくなった。


「パンと果物を分けてあげる。もちろん、後ろの子たちにもね!」


集まってきた数人の孤児たちに、私は食糧を分けていった。

マリーさんから貰った食糧は有限だが、目の前の子たちを見捨てることは出来ない。

大丈夫、食糧くらいなら後でまた何とでも出来るから。


子供たちはわんわんと泣きながら、出された食糧を食べていった。

可哀想に…… よっぽどお腹を空かせていたのだろう。

広場で私たちを見ていた人たちも、目に涙を浮かべながらその光景を見守っている。


「うわあああ!! もうダメだっ、俺も食糧を渡しに行くぞ!」

「おい、やめろ。領主に目を付けられたら何をされるか……」

「知るか! もう領主のやり方には付いていけねえよっ……!」


見ていた人たちの何人かが騒ぎ出し、そしてそれを抑えようとする周りの人々。

そうか、この人たちもまた領主の御触れとやらで手助けを出来ずにいたんだな。

私たちに対する、それのように……


思えば、領主の御達しやらが町に浸透するのが早すぎる気がしていたのだ。

おそらくは過去に何度も同じ事が行われていて、既にもう町全体がその対応に何度も慣れていたのだろう。

その過去を積み重ねてきた結果が、この目の前にいる孤児たちというわけだ。


ここに居てはその内、騒ぎを聞き付けた兵士たちが駆け付けてくるかもしれない。

広場にいる人たちに迷惑を掛けるわけにはいかない。

大丈夫、その気持ちだけは確かに受け取ったよ。


「ねえ、あなたたちの住んでいる場所に案内してもらってもいいかな?」


先程の5才ぐらいの女の子が、遠慮がちに私の手を引っ張って案内してくれる。

こうしてみると、この子と私はまるで同じ年のお友達みたいだ。

いやこの子と私はもう、同じ境遇の同じ仲間同士なんだ。


幼女が幼女を引き連れてトコトコと一緒に歩いていく……

私は周りの人々に軽く会釈し、孤児たちを連れて広場を後にした。



「くそっ、オレたちはなんて無力なんだっ!」

「いっそ、全員で一斉に領主に立ち向かえば……」

「あの子、自分も同じ境遇のはずなのに、食糧を分け与えていたわ……!」

「俺はもう限界だぞ! 領主の奴はブチのめさないと気が済まねぇ!!」



**


「お母さん、勝手なことしてごめんね……」

「いいのよ。むしろ私はメアがとっても誇らしいわ!」


お母さんは私の頭を撫でながら、優しく微笑んでくれる。

どうやらお母さんの方も、この子たちを助けたかったみたいだ。

やっぱり考える事は一緒だね、だって私たち、親子だもんねっ!


「ここが私達の住んでいるお家、だよ……?」


私と同い年の女の子に連れてこられた場所は、古びた教会みたいな場所だった。

離れた立地、石造りの建物…… ちょうど私たちの探している物件に一致した住処だ。


ここなら襲撃を受けても近所迷惑にならないし、石造りだから燃やされる事もないだろう。

だけど、一緒に住ませて貰ったら中に住んでいる子供たちの迷惑になってしまうかな?

やっぱり巻き込むわけにはいかないよね……


「お帰りなさい、ミア。そちらの方々は……?」


年季の入った教会の中に入っていくと、年老いたお婆ちゃんがこちらに挨拶をしてきた。

部屋の中では元気が無く踞っている子や、寝て伏せて動かない子供たちが見受けられる。

これは…… とにかく、早くこの子たちを助けてあげないとっ!

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