表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/47

応援してくれる人々!!


夜明けと共に、私たちは歩き出す。

お母さんの手を取って、二人で一緒に。


太陽は眩しくて、空気は穏やかだった。

お母さんと一緒に町を歩くのは、私のささやかな楽しみだった。

それが今ようやく叶って、少しばかり嬉しく思う。

……あんな事がなければ、今はもっと浮かれた気分だったのだろうな。



私たちは、以前マリーさんと買い物をした事のあるお店に辿り着く。


「すみません、果物を売ってくれませんか?」

「お嬢ちゃん、すまねぇ。あんたらには物を売るなっていう、領主の御達しが来ててな……」


どうやら例の領主は私たちを締め上げて、泣き付くのを待つつもりのようだ。

この町全体がそうなのだとしたら、これは結構大変な事態だろう。

いい性根をしている、どうやらここの領主はとても汚ならしい性格をしているみたいだ。


「果物の値段は10倍払う、私たちはここで買った事を一切口にしない、それでどう?」

「……………」


このおじさんは、以前マリーさんと買い物に来た時はとても朗らかな人だった。

それが今は領主との圧力の境目で、とても困った顔をしている。

このおじさんにこんな顔をさせるなんて、領主はやっぱり悪い奴だな。


「あ~、そういえば禁止されてるのは“売る事”だったな~。ほらっ、お嬢ちゃん、この果物はタダでやるよ。持っていきな!」


ニカッと笑って、おじさんは果物を1つ、私に差し出してきた。

売るんじゃなくて、あげるんだからセーフ!だとか言っちゃって。

やっぱりこのおじさんは良い人だ、それに屁理屈も上手い!


「おじさん、ありがとう! いつか恩返しもするよ!」

「いいって。それよりも、果物の事は黙っとけよ? あと悪いが、俺の所はもうアテにはしないでくれ……」


すまねぇ、と申し訳なく謝ってくるおじさん。

大丈夫、何度もおじさんの所を頼ってたら怪しまれちゃうもんね!

分かってるよ、おじさんにこれ以上迷惑は掛けないつもりだから。



お店を後にして、広場でお母さんと一緒に座る。

貰った果物を2つに分けて、お母さんと半分こ。

よかった、朝食はなんとかなったよ!


新鮮な果実の味がして、サッパリ美味しい。

お腹は少し満たせたから、次はギルドに行こう!



「ほっほっほ。お嬢ちゃん、待っておったぞ!」


顎髭のあるお爺ちゃんが、ギルドの入り口で私たちを待っていた。

今日はいつになく貫禄のあるオーラを解き放っている。

昨日は少し情けない姿を見せてた気がするけど、やっぱりこの人は此処のギルドマスターなだけあるのだろう。


「お爺ちゃん、ギルドの中に入ってもいい?」

「ほっほっ。実は領主から、お主ら2人は相手にしないように通達が来ててのぅ……」


顎髭を擦りながら暢気にそんな事を言うお爺ちゃん。

そんな事だろうと思ったよ、だって雰囲気がいつもと違うもんね。


「それで? どうするの? 私たちをここから追い出す?」


少しお爺ちゃんを挑発してみる。


「……いや、止めておこう。儂はこれでも歴戦の強者のつもりでのぅ、だからお嬢ちゃんの方が遥かに強い事ぐらい、儂には分かるのじゃ……」


……さすがギルマス。私の見た目には惑わされていないようだ。


「それに、長年の人生の勘が告げておる。領主を敵に回すよりも、お嬢ちゃんを敵に回す事の方が遥かにヤバイッ!とな」


そう言って立ち塞がっていた入り口から退き、道を開けるお爺ちゃん。

なかなか判断力のあるお爺ちゃんだ、その勘は正しいと思うよ?

私たちはお爺ちゃんの横を通り抜けていこうとする。


「──待てっ! そちらの方は、もしかして……? なるほど、そういう事か……。ようやく事件の全容が儂にも見えてきたわい!」


……このお爺ちゃん、ボケてるようでめちゃくちゃ鋭いね。

ほっほっほ、とか言いながら暢気に顎髭を擦っているけど、眼光が鋭いよ!

そして、全部分かった上で私たちを通してくれている…… 有難い事だ。


「お爺ちゃん、ありがとう! その判断、後悔はさせないよっ!」


私たちはギルドの中に入っていく。

向かう先は受付のカウンターだ。

少しやつれた感じのする受付嬢の二人が出迎えてくれる。


「「ようこそ、いらっしゃいました! 素材の換金は済んでおりますのでっ!!」」


おおっ、本当に一晩であの山盛りの素材を換金してくれたのか。

正直、かなりの無理を言ってしまったんじゃないかと思ってたんだけど。

受付嬢、2人の顔色を見てみる…… うーん。やっぱり、相当な無茶をしたんだろうな。


「二人は、私が領主に目を付けられてるのは知ってるよね? ……それでも、私の味方をしてくれるの?」


「「当たり前ですっ!! 私たちは、どんな時でも幼女ちゃんの味方ですっ!!」」


その二人の言葉に嬉しくなって、私はそのまま二人に飛び付いた。

ギューッて抱き締めると、2人はアタフタしながらもギュッと抱き締め返してくれた。

「苦労が報われた…」「ああ、幸せ…!」とかなんだと言ってるよ。


その時、扉がバーンと開いてマリーさんが大量の荷物と共に入ってきた。


「メアちゃん、食糧を今のうちに買えるだけ買ってきましたよっ! これで当分の間は大丈夫のはずですっ!!」


そして荷物の中から大量の食糧を見せてくるマリーさん。

おおっ、こういう時は初手の時間差が物を言うよね!

状況を見て、この初動の早さ! さすがはギルド職員なだけあるねっ!


「ほっほっ。このギルド内で、お嬢ちゃんと揉めようだなんて思う輩はおらぬよ。のう、みんな?」


「おお、嬢ちゃんと敵対しようだなんて恐れ多いぜっ!」

「領主がなんだ、俺たちゃ自由が売りの冒険者だぜ?」

「嬢ちゃんのお陰で俺は長年の怪我が治ったんだっ、この恩はなんとしても返さなくちゃいけねぇ!」

「今度オレたちとも一緒にダンジョンに行ってくれ、一緒にミノタウロスを倒そうぜっ!!」


ギルドのみんなが沸き立ち、私たちを大きく鼓舞して応援してくれる。

どうしよう、こんなにも優しくしてくれて。

なんだか私……、胸が熱くなりそうだよ!!


「ありがとう、みんな! 私達、領主には絶対に負けたりなんかしないからねっ……!」

今世の中で頑張ってる人達にも、大きな鼓舞を送りたいです……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ