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異世界転「生」できませんでした。-俺YOEEEけどたくましく生きて行きます。-  作者: 六六-B
詩人の湖畔・狩人の水面編

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二層:夜

ブックマーク、レビューとかしていただけるとやる気に繋がります!本当にお願いします!やる気にね、繋がるんですよ!やる気はやっぱね、出たほうがいいですからね!ぜひね!お願いしますね!!


青白い光が、通路を静かに満たしていた。

昼の白い光とは質が違う。冷たくて、薄くて、影が深い。

壁際に三人で背を預けたまま、じっとしていた。

何かが、いる。

はっきりとした気配ではない。でも、昼の間にはなかった何かが、暗がりの中に滲んでいる気がした。

「リズ」

「うん」

「夜のやつら、どんな動きをする」

「速い。それと——魔法を使う」

俺は少し黙った。

「魔法」

「ファイアボール系。当たったら全員ダメージがある」

(物理無効が意味をなさない、か)

自然と気が引き締まった。

「出てくる前に動いた方がいいか」

「引き寄せる。待つ方がいい」

「わかった」

決めた瞬間だった。

奥から、声がした。

笑い声に近かった。キキッという、細くて高い声。一つじゃない。複数が重なって、通路の奥からこだまするように響いてくる。

暗がりから、影が飛び出してきた。

小さかった。人の腰ほどの高さしかない。コウモリに似た翼、細長い手足、大きな耳。眼窩の奥に、赤い光が宿っている。

そして——速かった。

壁を蹴り、天井を走り、床を滑るように、一瞬で距離を詰めてくる。

鑑定を走らせる。

───────────────────

【インプ】

Lv:21

HP:???

MP:???

───────────────────

インプが口を開いた。小さな口の奥に、赤い光が集まっていく。

「散れ!」

三人が別々に飛び退いた瞬間、ファイアボールが通路を走った。壁に直撃して、石が焦げる音がした。

(速い——!)

体勢を立て直す間もなく、インプがまた動いた。天井を蹴って、リーゼロッテに向かって急降下する。

「っ——」

リーゼロッテが腕で受けた。直撃ではないが、魔力の余波だけで鎧が赤く軋んだ。

(ダークボールをまともに当てられるか……?)

あの速度では難しい。動き回っている間は当たらない。

(狙い目は——魔法を練る瞬間だ)

ファイアボールを撃つ直前、一瞬だけ動きが止まった。口の中に光を集める、その瞬間。

「リズ、もう一度前に出てくれ。気を引いてほしい」

「わかった」

リーゼロッテが前に出た。インプが反応して、また口に光を集め始める。

動きが——止まった。

「今だ!」

───────────────────

【スキル発動:《ダークボール(Lv7)》】

【MP:69 → 66】

───────────────────

詠唱の瞬間を狙って叩き込んだ。今度は当たった。インプが甲高い声を上げて、床に落ちた。

「よし——」

その時、奥からまたキキッという声がした。

今度は複数だった。

「……増えた」

「そうみたいだね」

リーゼロッテが静かに言った。

暗がりから二体が飛び出してくる。壁と天井、別々のルートから同時に。

「一体ずつ潰す。焦るな」

リーゼロッテが天井のインプに向かって腕を振り上げた。軌道を乱す。インプが体勢を崩した瞬間、ニッグの長剣が唸りを上げた。

一閃。

天井のインプが床に叩き落とされた。

「トオル!」

「もらった!」

───────────────────

【スキル発動:《ダークボール(Lv7)》】

【MP:66 → 63】

───────────────────

落下した瞬間を叩き込む。動きが止まっていた。外さない。

壁のインプが俺の隙を狙ってファイアボールを放った。

「っ」

───────────────────

【ダメージを受けました】

【HP:60 → 51】

───────────────────

霊体の中を熱が貫いた。痛いというより、存在が焦げるような感覚だった。

(魔法は本当に効く……!)

「トオル!」

「平気だ、続けるぞ!」

壁のインプが次の詠唱に入る。

「ニッグ!」

ニッグが跳んだ。壁を蹴って、インプとの距離を一気に詰める。インプが詠唱を止めて逃げようとした——遅かった。

錆びた剣が、インプを捉えた。

床に落ちてくる。

───────────────────

【スキル発動:《ダークボール(Lv7)》】

【MP:63 → 60】

───────────────────

仕留めた。

静寂が戻った。

「……パターンが見えてきたな」

俺は息をついた。

「詠唱の瞬間を狙う。ニッグが動きを止めて、俺が撃つ」

「そうだね」

リーゼロッテが頷いた。

「やれる」

───────────────────

夜は、長かった。

断続的にインプが来た。一体、また一体。時に二体同時。

パターンがわかってからは、落ち着いて対処できた。ニッグがインプの動きを止める。リーゼロッテが体を張って詠唱を妨害する。俺がダークボールで仕留める。

それでも、ファイアボールは完全には防げなかった。

一発目を躱した直後に二発目が来たり、ニッグを庇おうとして被弾したり。

───────────────────

【ダメージを受けました】

【HP:51 → 43】

───────────────────

熱が霊体を貫くたびに、存在が少しずつ薄くなっていく感覚があった。

(きつい……でも止まれない)

それでも足は動いた。

───────────────────

壁の光が変わり始めたのは、何体目を倒した頃だったか。

青白かった光が、じわりと白くなっていく。

奥からのキキッという声が、遠ざかっていく。

インプの気配が、薄れていく。

やがて——消えた。

「……終わったか」

俺は息をついた。

「終わったね」

リーゼロッテも、長く息を吐いた。

ニッグが剣を鞘に収めた。腕は——今回は落ちていなかった。

───────────────────

【執念深きトオル】

Lv:20

HP:43/60

MP:60/120

───────────────────

(HP43、MP60……削られた)

正直きつかった。速くて、魔法を使って、複数で来る。昼の連中とはまるで違う戦い方を要求してきた。

「3層に行く前に、少し休む」

リーゼロッテが言った。

「賛成だ」

通路が、昼の白い光に戻っていく。冷たかった空気が、少しだけ和らいでいく。

ニッグが壁際で、特に何をするでもなく立っていた。

「……ニッグ」

濁った眼が、こちらを向く。

「よくやった」

ニッグは何も言わなかった。

ただ、長剣の柄をぱたりと一度だけ叩いた。

(……そういうやつだな)

俺は苦笑した。

しばらくして、リーゼロッテが立ち上がった。

「行こうか」

「ああ」

3層への階段が、白い光の中に見えていた。

──つづく──

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