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異世界転「生」できませんでした。-俺YOEEEけどたくましく生きて行きます。-  作者: 六六-B
詩人の湖畔・狩人の水面編

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白い迷宮

ブックマーク、レビューとかしていただけるとやる気に繋がります!本当にお願いします!やる気にね、繋がるんですよ!やる気はやっぱね、出たほうがいいですからね!ぜひね!お願いしますね!!



森を抜けた先に、それはあった。


丘の斜面に、白い柱が並んでいた。

大理石だ。風雨に晒されて表面は少し黒ずんでいるが、それでも白い。彫刻が施された柱頭、緩やかな段差を描く石畳の階段、左右対称に並ぶ柱の列。


パルテノン神殿、という言葉が頭に浮かんだ。


日本の高校生だった頃に、教科書で見た。世界史の、たしかギリシャのところだ。


(まさかこんなところで役に立つとは)


「……ここが、入口か」


「そう」


リーゼロッテが頷く。


「詩人の湖畔への迷宮。五層の最奥に、湖がある」


柱の間から、冷たい空気が漂ってきた。石の匂い。古い、静かな匂い。


入口は、柱の列の奥にあった。地面が、そのままぽっかりと口を開いている。縁も、やはり大理石で整えられていた。中は暗い。


俺は縁から覗いた。


階段があった。緩やかに、真っすぐ下へ続いている。


(行くか)


振り返ると、ニッグがすでに縁の隣に立っていた。いつの間に来たのか。ぼろぼろのローブが風に揺れている。


「お前も来るのか」


「ニ……グ」


「うん、ニッグ」


俺は前を向いた。


「行くぞ」


───────────────────


一層は、広かった。


天井が高い。柱が等間隔に並んでいる。床は石畳で、歩くたびに足音が響く。……リーゼロッテとニッグの足音が、か。俺には足がない。


松明はなかった。


それでも、壁が微かに光っていた。石そのものが、うっすらと白く発光している。昼の光を吸い込んで、ゆっくりと放出しているようだった。


(綺麗だな……)


思った瞬間、壁から何かが飛び出してきた。


「っ!」


とっさに後退した。壁と同化していたそれが、するりと動く。


石の色をした、大型のトカゲだった。


全長は二メートルほど。鱗が石畳と同じ色をしていて、動き出すまで完全に見えなかった。ステータスを確認する。


───────────────────

【ストーンリザード】

Lv:18

HP:???

MP:0

───────────────────


(物理系か……)


「トオル、下がって」


リーゼロッテが前に出た。ストーンリザードが低い姿勢のまま、じりじりと間合いを詰めてくる。


次の瞬間、飛びかかった。


リーゼロッテが正面から受け止めた。鎧がぎしりと軋む。しかし足は動かない。そのまま腕に力を込めて、トカゲを横へ投げ飛ばした。


壁に叩きつけられる鈍い音。


(今だ)


───────────────────

【スキル発動:《ダークボール(Lv7)》】

【MP:120 → 117】

───────────────────


黒い球体が直撃した。ストーンリザードが痙攣して、動かなくなった。


沈黙。


「……思ったより強いな、一層から」


「そりゃそうでしょ」


リーゼロッテが鎧の肩を回した。軋む音がする。


「舐めてかかると死ぬよ、このダンジョンは」


「わかってる」


わかってはいる。でも、改めて言われると少し胃が痛い。


(HP全快で良かった)


俺はニッグを見た。


ニッグは少し後ろで、壁を眺めていた。戦闘中もそこにいた。


(参加する気はないのか)


いや、違う。あいつなりに周囲を見ていたのかもしれない。初めての場所で、初めての相手。どう動くべきか、探っているのかもしれない。


まあ、いい。焦ることはない。


「次、行くか」


通路の奥へ、三人で進んだ。


───────────────────


一層の構造は単純だった。


真っすぐな通路が続き、時折交差する。曲がり角の先に、石柱が並ぶ広間がある。その繰り返し。迷子にはならない。


ただ、油断するとモンスターが出る。


ストーンリザードが三体。壁から剥がれるように現れた。


「散れ!」


リーゼロッテが叫ぶより先に、ニッグが動いた。


ぎしぎしとした普段の動きが、突然消えた。


一瞬だった。


錆びた長剣が唸りを上げて、一体の首を刎ねた。返す刃で二体目の腹を薙ぐ。


俺とリーゼロッテが固まった。


ニッグは三体目の前で立ち止まり、俺を振り返った。


(俺か?)


───────────────────

【スキル発動:《祟り》】

【MP:117 → 112】

───────────────────


祟りの波動が三体目を捉えた。ストーンリザードが苦悶してその場に倒れ込む。


沈黙。


「……」


俺はニッグを見た。ニッグは特に何も言わずに、長剣を鞘に収めた。


(コイツ……さっきと全然動きが違う)


ぎしぎした日常の動きと、あの剣筋。

まるで別の存在みたいだった。


「……行こう」


リーゼロッテが先に歩き出した。


俺はもう一秒だけニッグを見て、それから前を向いた。


───────────────────


一層の最奥に、二層への階段があった。


覗くと、下からは湿気を帯びた空気が上がってきた。一層とは空気が違う。


───────────────────

【執念深きトオル】

Lv:20

HP:60 → 60

MP:120 → 112

───────────────────


(MPの消費は抑えられた。でも、これが五層まで続くのか)


「……リズ、二層はどんな感じだ?」


リーゼロッテは少し間を置いた。


「湿地系。足場が悪い」


「モンスターは?」


「水辺のやつら。それと……昼と夜で変わる」


「昼と夜?」


「ダンジョンの中にも、昼夜の概念がある。下に行くほど、それがはっきりしてくる」


俺は階段の下を見た。暗い。静かだ。


(昼夜で変わる、か……)


「今は昼か?」


「まだね。でも二層に下りる頃には、どちらかに変わってるかもしれない」


俺は頷いた。


ニッグが階段の前に立っていた。特に何も言わず、ただそこにいる。


「行くか」


誰に言うでもなく、呟いた。


階段を下りていく。


白い石の壁が、ゆっくりと遠ざかっていった。


──つづく──

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