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異世界転「生」できませんでした。-俺YOEEEけどたくましく生きて行きます。-  作者: 六六-B
旅人の辻編

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魔族ガルム

ブックマーク、レビューとかしていただけるとやる気に繋がります!本当にお願いします!やる気にね、繋がるんですよ!やる気はやっぱね、出たほうがいいですからね!ぜひね!お願いしますね!!


 先に動いたのはリーゼロッテだった。

 地を蹴る音がした。白金の鎧が、一直線にガルムへ向かって突進する。重い金属の塊が、全速力で迫る。

 ガルムは動かなかった。

 直前、リーゼロッテの拳が炸裂した。

 ドゴンッ、という轟音が街道に響いた。

 しかし。

 リーゼロッテの体が、弾き飛ばされた。

「っ……!」

 鎧が地面を滑る。土煙が舞い上がる。

「リズ!」

「……平気」

 リーゼロッテがゆっくりと立ち上がった。右腕の鎧にひびが入っていた。

「見えなかった。壁がある」

 ガルムの周囲に、黒い魔力の膜が張っていた。薄い。しかし密度が高い。リーゼロッテの一撃を、完全に受け止めていた。

「魔力の障壁か……」

 トオルはダークボールを練り上げた。

―――――――――――

【スキル発動:《ダークボール(Lv7)》】

【MP:120 → 117】

―――――――――――

 黒い球体がガルムに直撃した。

 しかし。

 弾けて、消えた。

 まるで霧に溶けるように。跡形もなく。

「……魔法が効かない」

 ガルムが静かに言った。

「《魔法無効》。我の魔道だ。いかなる魔法も、我には届かない」

 トオルは歯を食いしばった。

 ダークボール、駄目。鬼火、駄目。祟り、駄目。ソウルタッチも、魔法扱いなら届かない。自分の攻撃スキルは全て魔法系だ。

 リーゼロッテの物理攻撃は、障壁に阻まれる。

(詰んでる……)

 ガルムが手を上げた。

 黒い魔力が集まり始めた。今度は攻撃だ。先ほどの比ではない規模で、魔力が膨らんでいく。

「散れ!」

 トオルが叫んだ瞬間、黒い奔流が迸った。

 二人が別々に飛び退く。しかし魔力は追いかけてきた。木々を薙ぎ倒しながら、街道を抉りながら、迫ってくる。

―――――――――――

【スキル発動:《影移動》】

【MP:117 → 107】

―――――――――――

 トオルは影に溶けて間一髪躱した。しかし奔流の端が掠めた。

―――――――――――

【ダメージを受けました】

【HP:60 → 48】

―――――――――――

(痛い……!掠っただけでこれか)

「くっ──!」

 リーゼロッテが正面から受け止めた。

 鎧が軋む。足が地面を削る。それでも踏ん張る。

「リズ!!」

「……平気、まだ……っ!」

 平気には見えなかった。

 自動修復があるとはいえ、このペースで攻撃を受け続ければ限界が来る。トオルには止める手段がない。

 もう一手打てないか。

 トオルは祟りを試みた。

―――――――――――

【スキル発動:《祟り》】

【MP:107 → 102】

―――――――――――

 しかし祟りの波動はガルムに触れた瞬間、霧散した。

 やはり魔法無効だ。

―――――――――――

【スキル無効】

【MP:102】

―――――――――――

(全部弾かれる……!)

 ガルムは余裕の表情のまま、次の魔力を練り始めていた。

(どうする……どうすれば)

 トオルは必死に頭を回した。

 魔法が効かない。物理は届かない。

 何か──何かあるはずだ。

 しかし答えが出る前に、ガルムが動いた。

 今度は魔力ではなく、直接だった。黒い障壁を纏ったまま、ガルムがリーゼロッテに向かって歩み寄る。

「騎士よ。その鎧は見事だが──」

 ガルムの手が伸びた。

 障壁ごとリーゼロッテの胸倉を掴んだ。

「っ──!」

「終わりだ」

 黒い魔力が、リーゼロッテの鎧に直接流れ込もうとした。

「やめろ!!」

 トオルが飛びかかった。ソウルタッチを無理矢理ガルムに叩き込む。

―――――――――――

【スキル発動:《ソウルタッチ》】

【MP:102 → 82】

―――――――――――

 やはり弾かれた。魔法無効。届かない。

―――――――――――

【スキル無効】

【MP:82】

―――――――――――

 ガルムがトオルを一瞥した。

「邪魔だ」

 空いた手が、トオルに向かって振り払われた。

 霊体に直接触れた衝撃が、全身を貫いた。

「がっ──!」

―――――――――――

【ダメージを受けました】

【HP:48 → 28】

―――――――――――

 トオルは街道の端まで吹き飛んだ。木に激突する。存在が、軋む。痛い、というより、消えそうな感覚だった。

(HP28……まずい。あと一発まともに喰らったら)

 体を起こそうとした。

 しかし足に力が入らなかった。

 ガルムがリーゼロッテを持ち上げたまま、黒い魔力を高めていく。

(リズ……)

 その時だった。

 木々の間から、音がした。

 ぎしぎし、という、関節の鳴る音。

 ぼろぼろのローブが、木々の間から現れた。

 土気色の肌。錆びついた長剣。濁った眼。

「ニ……」

 低く、呟いた。

「グ……」

 その眼が、ガルムを捉えていた。

 今まで見たことのない光が、その濁った眼の奥に宿っていた。

 怒りとも、悲しみとも違う。

 ただ、静かで、深い、何かだった。

 長剣が、ゆっくりと持ち上がった。


 ──つづく──

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