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異世界転「生」できませんでした。-俺YOEEEけどたくましく生きて行きます。-  作者: 六六-B
旅人の辻編

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旅は道連れ世は情け

再開したけどみんなまた読んでくれるかな…


執筆最後まで続けるモチベください


ブックマークとか評価とかコメントとか待ってまーす


 まず向かったのは、広場だった。

 噴水のそばに、カップルはまだいた。声はさっきより少し小さくなっていたが、二人とも腕を組んで、互いに背を向けて立っていた。完全に冷戦状態だった。

「……まだやってる」

 トオルが呟く。

「行こう」

 リーゼロッテが先に歩き出した。

 二人の前に立つ。カップルがぎょっとして振り返った。

「な、なんだ」

「ちょっといいですか」

 リーゼロッテが、腰に手を当てて言った。

「さっきからずっと言い争ってますよね。道に迷ってるんですか?」

「……まあ、そうだけど」

 男の方が、ばつが悪そうに答えた。女の方はまだ横を向いている。

「どこに行きたいんですか」

「西区の宿屋なんだが……地図が古くて、新しい道と合わなくて」

「私が案内しますよ」

 リーゼロッテはあっさりと言った。

 男が目を丸くした。女もそっと振り返った。

「え、いいのか?」

「いいですよ。この街は知ってます」

 リーゼロッテは二人の間に立って、それぞれの肩を軽く押した。

「ほら、二人とも並んで。喧嘩してる場合じゃないですよ。道に迷ったのは地図のせいで、お互いのせいじゃないでしょう」

 男と女は、しぶしぶ並んだ。

 リーゼロッテに先導されて、三人が歩き出す。

 トオルは隣を歩きながら、リーゼロッテの背中を見た。

(……こういうの、得意なんだな)

 自然だった。まるで昔からずっとやってきたことのように、淀みなかった。

 西区の路地の入口まで送り届けると、カップルは揃って頭を下げた。

「ありがとう、助かったよ」

「ええ、本当に。……あと、ごめんなさい」

 女が、男に向かって小さく言った。

 男も「俺もだ」と頷いた。

 リーゼロッテが、また腰に手を当てた。

「エルメシア様のこと、何か知りませんか。お気に入りの場所があるって聞いたんですが」

 カップルは顔を見合わせた。

「エルメシア様か……確か、この街の東の方に、古い路地があってね」

「そこに小さなカフェがあるって聞いたことがあるよ。あまり人が来ない、静かな場所らしい」

「東の路地のカフェ……」

「詳しい場所はわからないけど、参考になれば」

「十分です。ありがとうございます」


 次は路地だった。

 細い路地の奥、石壁の前で、小さな子供が泣いていた。膝を抱えて、しゃくりあげながら。

「迷子か……」

 トオルがしゃがみかけたとき、リーゼロッテが先に子供の前に屈んだ。

「どうした。お母さんは?」

 子供はリーゼロッテを見上げて、一瞬固まった。全身鎧の騎士が突然しゃがんできたのだ。普通に怖い。

 しかし次の瞬間、わっとまた泣き出した。よほど心細かったのか。

「お、おお、泣くな泣くな」

 リーゼロッテが少し慌てた。

「お母さんはどこで会えなくなったの?」

「…………いちば……」

「市場か。わかった」

 リーゼロッテはしゃがんだまま、子供を見た。それから、トオルを見た。

「肩車する」

「え」

「背が高い方が探しやすい」

 リーゼロッテはすっと立ち上がり、子供に背を向けてしゃがんだ。

「おいで」

 子供はおそるおそる、リーゼロッテの肩によじ登った。

 リーゼロッテがゆっくりと立ち上がる。子供の頭が、大人の身長の倍近い高さになった。

「見える? お母さんいるか?」

「……うん! あっち!」

「よし」

 リーゼロッテが歩き出す。

 トオルは隣を歩きながら、兜をちらりと見た。

「……兜、大丈夫か?」

「動かさないで」

「わかってる」

 子供がリーゼロッテの頭をつかもうとする。

「そこ触らないで」

「触らないように」

 二人で素早く子供の手を誘導した。

 市場の入口まで来ると、血相を変えた女が飛び出してきた。

「この子! どこ行ってたの!!」

 子供がリーゼロッテの肩から飛び降り、母親に抱きついた。

「すみません、迷子になっていたので」

「ありがとうございます……! 本当に、ありがとうございます……!」

 母親が深々と頭を下げた。

 それからはっと顔を上げて言った。

「あの、エルメシア様の試練の方ですよね? 見てましたよ、広場で」

「そうです」

「東区の路地に、カフェテラスがあるんです。エルメシア様がよくいらっしゃるって、この辺りじゃ有名で。石畳の細い路地を入って、二つ目の角を曲がったところです」

「……ありがとうございます」


 酒場は、大通り沿いの賑やかな店だった。

 昼間から酒を飲んでいる男たちが数人、入口近くのテーブルを占拠している。その隣のテーブルで、旅人風の男が困った顔をして縮こまっていた。

「なあなあ、一杯付き合えよ」

「いや、俺は……」

「いいじゃないかよ、なあ」

 絡まれていた。

「行こう」

 トオルが先に歩き出した。

 リーゼロッテと二人で、酔っ払いたちと旅人の間に入る。

「すみません、この人、私たちの連れなんですよ」

 トオルが笑顔で言った。

 酔っ払いたちがトオルを見た。リーゼロッテを見た。全身鎧の大柄な騎士に、一瞬ひるんだ。

 しかし酒が入っているせいか、すぐに目がトオルに戻った。

「……なんだ、連れって。可愛いじゃないか。まあ座れよ、酌してくれ」

 ニヤニヤしながら一人が言った。

 トオルは笑顔のまま、少しだけ顔を傾けた。

 《幽幻》を、顔だけ解いた。

 人の顔が、霧散した。

 代わりに現れたのは、青白い光を宿した、輪郭の曖昧な霊体の顔だった。眼窩の奥に、暗い光が灯っている。

「……酌は、できないんですよ」

 静かに言った。

 酔っ払いたちの顔から、笑みが消えた。

 椅子を引く音がした。

 数秒後、テーブルは空になっていた。

「……ありがとうございます」

 旅人が震える声で言った。

「いえ」

 トオルは顔を人型に戻しながら、さらりと答えた。

「エルメシア様のこと、何かご存じですか」

「え? あ、はい……東の方に、路地裏のカフェがあって……」


 最後に、雑貨店に戻った。

 ベルが鳴る。老店主はまだ棚を漁っていた。さっきと同じ場所で、さっきと同じようにぶつぶつ言っている。

「どこだ……どこにしまったんだ……」

「何を探してるんですか」

 トオルが声をかけた。

「薬草じゃよ。センタニアの葉っていうんだが……たしかこの棚のどこかに……」

「どんな見た目ですか?」

「青みがかった細長い葉で、束になっとる。少し光るんじゃが」

 トオルはリーゼロッテと顔を見合わせた。

 二人で棚を端から端まで見ていく。右の棚、左の棚、奥の棚。

「あ」

 トオルが天井近くの棚を見上げた。

 一番上の段、奥の方に、青白く光る葉の束が見えた。

「あそこだ」

「届かないね」

 リーゼロッテが腕を組む。トオルはにやりとした。

 《幽幻》を解いた。

 霊体に戻った瞬間、ふわりと浮き上がる。天井近くまで上がって、棚の奥に手を伸ばした。

 手がすり抜ける。

「……あ」

「……あ」

 老店主が見上げていた。

「……幽霊かい」

「そうです」

「なら、指差してくれ。わしが取る」

「あそこです」

 老店主が脚立を持ってきて、トオルが指差した場所から薬草を取り出した。

「あったあった! これじゃ!」

 老店主は薬草を抱えて、ほっとした顔をした。

「ありがとうよ。長いこと探してたんじゃ」

「よかったです」

「エルメシア様を探しとるんじゃろ。あのお方なら、東区の路地のカフェテラスにおると思うよ。この時間はだいたいそこでお茶しとる。石畳の細い路地を入って、二つ目の角を曲がったところじゃ」

「……ありがとうございます」


 店を出た。

 空が夕暮れに染まり始めていた。

「東区の路地のカフェテラス」

 トオルが呟いた。

「全員が同じ場所を言ってたね」

 リーゼロッテが頷く。

「行くか」

「行こう」

 二人は東区へ向かって歩き出した。

 ──つづく──

再開したけどみんなまた読んでくれるかな…


執筆最後まで続けるモチベください


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