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異世界転「生」できませんでした。-俺YOEEEけどたくましく生きて行きます。-  作者: 六六-B
旅人の辻編

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出会い

再開したけどみんなまた読んでくれるかな…


執筆最後まで続けるモチベください


ブックマークとか評価とかコメントとか待ってまーす


 来た道を戻りながら、トオルは考えていた。

 エルメシアを捕まえる。それが試練のはずだ。しかし捕まえようとすると消える。追いかけると迷う。どこを探しても見つからない。

 そもそも、どうやって捕まえるんだ。

(わからん)

 噴水の前まで戻ってきた。カップルはまだ言い争っていた。さっきより声が大きくなっている気がした。

 トオルは噴水の縁に腰を下ろした。

 腰を下ろした、というより、座った姿に変身した。実際には石には触れていない。それでも、なんとなくそういう気分だった。


 雑踏が流れていく。

 誰も気にしない。

(リズは今どこにいるんだ……)

 その時だった。

 隣に、人の気配がした。

 ゆっくりと視線を向けると、噴水の縁に腰かけた金髪の少女がいた。羽のついた靴を、ぶらぶらと揺らしている。

「一人は心細いかい?」

 エルメシアだった。

 悪戯っぽい笑みは消えていた。ただ静かに、トオルの隣に座っていた。

「……どうせ偽物なんだろ」

 トオルは前を向いたまま言った。

「まあね」

 エルメシアはあっさりと認めた。

 しばらく、二人とも黙っていた。雑踏の音だけが続いている。

「出会いはね、人を救うんだよ」

 エルメシアが、静かに言った。

「君はリーゼロッテと出会って、二人で旅をしてきた。君は彼女の存在に救われたよね」

 トオルは答えなかった。

「彼女もまた、君との出会いに救われたんだ」

 風が吹いた。

 噴水の水面が揺れた。

 トオルは少し間を置いてから、前を向いたまま言った。

「……そうだな」

 不貞腐れたような声だった。しかし否定はしなかった。

「仲良くしてやってね」

 エルメシアがそう言った瞬間、隣の気配が消えた。

 振り返ると、誰もいなかった。噴水の縁に、羽のついた靴の跡さえなかった。

 トオルはしばらくその場に座っていた。


 雑踏が流れていく。カップルがまだ言い争っている。子供が走り回っている。

 そこへ。

 見慣れた白金の鎧が、人波の中から現れた。

「あ」

「あ」

 二人の声が、同時に重なった。

 リーゼロッテがトオルの前まで来て、腰に手を当てた。

「……どこ行ってたの」

「それはこっちのセリフだ」

「迷子になってたんだよ、アタシが」

 リーゼロッテが自信満々に親指を自分に向ける。

「俺もだ」

 少し間があった。

 それから二人して、同時に息をついた。

 リーゼロッテが噴水の縁に並んで立った。

「で、どうする。エルメシアは?」

「捕まらない」

「だね」

「追いかけても無駄だった」

「うん」

 トオルは腕を組んだ。

 雑踏の中で、男たちが集まって何か話していた。一人が上着のポケットをごそごそと探っている。タバコを取り出した。しかし火がつかない。マッチを探しているようだった。

「ないな……」

「誰か持ってないか?」

「俺も切らしてて……」

 トオルはその様子をぼんやりと眺めた。

 それから、何の気なしに立ち上がった。

 男たちに近づいて、指先に小さな鬼火を灯した。

「どうぞ」

 男たちが目を丸くした。しかしタバコの先を差し出してきた。

 鬼火が、タバコに触れた。

 ぽっ、と火がついた。

「ありがとう、嬢ちゃん。魔法使いか?」

「まあ、そんなところです」

「助かったよ」

 男の一人が煙を吐き出しながら、ふと言った。

「そういえば、エルメシア様を探してるんだろ? 試練の子たちだよな」

 トオルは少し目を丸くした。

「……わかりますか?」

「この街じゃ有名だからな。さっき広場でハズレ引いてたろ、見てたぞ」

 男は笑いながら続けた。

「エルメシア様にはな、この町のどこかにお気に入りの場所があるって聞いたぞ。地元の人間しか知らないような、奥まった場所らしいが」

 トオルは振り返った。

 リーゼロッテを見た。

 リーゼロッテもトオルを見た。

 二人とも、しばらく黙っていた。

「……ありがとうございます」

「いいってことよ」

 トオルは男たちに頭を下げて、リーゼロッテのところへ戻った。

「ねえ」

「うん」

「今、火を貸したから、教えてもらえたよね」

「そうだね」

「思い返すと困ってる人たちが多かったよな・・・

 雑貨店の老店主も、広場のカップルも」

「困ってたね」

「俺たち、完全に素通りしてた」

「してたね」

 二人は顔を見合わせた。

「……戻るか」

「戻ろう」

 トオルとリーゼロッテは、来た道を引き返し始めた。


 ──つづく──

再開したけどみんなまた読んでくれるかな…


執筆最後まで続けるモチベください


ブックマークとか評価とかコメントとか待ってまーす

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