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異世界転「生」できませんでした。-俺YOEEEけどたくましく生きて行きます。-  作者: 六六-B
旅人の辻編

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追走

再開したけどみんなまた読んでくれるかな…


執筆最後まで続けるモチベください


ブックマークとか評価とかコメントとか待ってまーす


 雑踏の中を走った。

 羽のついた靴が見えた気がした。人波をかき分けて追いかける。しかし追いつけない。人が多すぎる。

「リズ、あっちだ!」

「わかった!」

 二人で路地に飛び込んだ。

 しかしそこには誰もいなかった。

 薄暗い路地の突き当たりに、古びた雑貨店があった。看板が傾いている。ドアが半開きになっていた。

「……入ったのか?」

「かもしれない」

 二人で中に入った。

 ベルが鳴った。

 店の中は、外観からは想像できないほど広かった。天井まで届く棚に、正体不明の瓶や箱や巻物が所狭しと並んでいる。どこかから時計の音がする。何かが光っている。

「……なんだここ」

「不思議な店だね」

 エルメシアの姿を探して、二人は棚の間をうろうろした。奥に進めば進むほど、棚が増える。右に曲がっても棚。左に曲がっても棚。

 奥の方で、白髪の老店主が何かをぶつぶつ言いながら棚を漁っていた。

「どこにいったんだ……たしかここらへんに……」

「……あの、エルメシアって人を見ませんでしたか?金髪の、羽のついた靴を履いた」

 老店主はちらりと振り返っただけで、また棚に向き直った。

「さあね。それよりこっちが大変でね……あの薬草、どこにしまったか……」

 独り言のように呟きながら、また棚を漁り始めた。

 どこかで見たような瓶を手に取ると、中で何かが動いた気がして慌てて戻した。

「こっちか?」

「違う、行き止まりだよ」

「じゃあこっち?」

「……また棚だね」

 気づけば入口がどこかわからなくなっていた。

 ようやく出口を見つけて店を出ると、また雑踏に放り出された。


 広場に出た。

 噴水を囲んで市民が集まっている。子供が走り回っている。屋台が並んでいる。

「いた!」

 噴水の縁に、金髪の人影が見えた。

 二人で駆け寄る。

「エルメシア!」

 人影が振り返った。

 悪戯っぽい笑みが、こちらを見た。

「お、なかなか早いね」

「捕まえた!」

 トオルが手を伸ばした瞬間。

「残念、ハズレ!」

 エルメシアの姿が、煙のように掻き消えた。

 手が、空を切った。

「……っ!」

「くっ……」

 二人して、噴水の前で立ち尽くした。

 周りの市民が、くすくすと笑っている。

「頑張れよ嬢ちゃんたち!」

「エルメシア様はそう簡単には捕まらんぞ!」

 温かい野次が飛んでくる。

 トオルは頭を抱えた。

「どうすりゃいいんだ……」

「とりあえず探し続けるしかないんじゃない?」

 噴水のそばで、カップルが言い争っていた。

「だから言ったでしょ! あっちの道の方が近いって!」

「いや、こっちで合ってる! 地図を見ろ!」

「その地図が古いって言ってるの!」

 二人とも、それをちらりと見たが、今はそれどころではなかった。

 リーゼロッテが言いかけた、その瞬間だった。

 広場の反対側に、また羽のついた靴が見えた。

「あっちだ!」

 二人で走り出す。人波に揉まれる。屋台の間を縫う。角を曲がる。


 気づいたとき、リーゼロッテの足音が聞こえなくなっていた。

 トオルは立ち止まって、振り返った。

 人、人、人。

 見知らぬ顔ばかりが流れていく。

「……リズ?」

 返事がない。

 もう一度振り返る。やはりいない。

 いつの間にか、はぐれていた。

 トオルは人波の中で、一人立ち尽くした。

 周りは普通に行き交っている。誰も気にしない。幽霊が一人、人型に変身して途方に暮れていても、誰も知らない。

 噴水のそばでは、まだカップルが言い争っていた。

「だから! あなたはいつもそうやって人の話を聞かないんだから!」

「聞いてる! 聞いてるけど、お前の言ってることが間違ってるんだ!」

(……道に迷ってんのか。俺と一緒だな)

 トオルはそれをぼんやりと眺めた。

 エルメシアの姿はもうどこにもない。リーゼロッテもいない。手がかりもない。

 酒場の方から、陽気な音楽が聞こえてくる。

 路地の奥で、猫が鳴いた。

 トオルはとりあえず、来た道を戻り始めた。

「……エルメシアはどこだ」

 誰に言うでもなく、呟いた。

 雑踏が、答えるわけもなく、流れていった。

 ──つづく──

再開したけどみんなまた読んでくれるかな…


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