旅人の辻
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商都タラリアの中心部は、常に人でごった返していた。
四方から街道が集まる大交差点。荷馬車が行き交い、行商人が声を張り上げ、子供たちが走り回る。どこを向いても人、人、人だ。
その真ん中に、それはあった。
白い大理石でできた玉座。
周りの喧騒とはまるで釣り合わない、荘厳で静かな存在感。しかし誰も気に留めない。荷馬車はその横を普通に通り過ぎ、子供たちはその周りを走り回っている。
「……ここが、旅人の辻か」
トオルが呟いた。
「そう」
リーゼロッテが頷いた。
「エルメシアの霊廟。他と比べると、随分と賑やかな場所だね」
「賑やかどころじゃないだろ。普通に街の真ん中じゃないか」
「エルメシアらしいよ」
リーゼロッテは玉座の前に立ちながら、続けた。
「旅人の英雄エルメシア。ひとところに留まらず、常にあちこち飛び回っている。そう簡単には出会えない厄介な人でね。次にここに現れるのは何年か経ってから、なんてことも──」
「今すぐってことも、あるよね」
声がした。
二人の間を、すり抜けるように。
気づいたときには、玉座に腰かけていた。
金髪に褐色の肌。羽のついた靴。そして、悪戯が成功したときのような笑み。
見た目は十代半ばほどの少女だった。しかし、その目だけが妙に老けていた。何百年も生きてきたような、深くて静かな目だった。
「久しぶりだね、リーゼロッテ」
「……相変わらず、どこから出てくるのか」
リーゼロッテがため息をついた。
「それがアタシだもの」
エルメシアは足を組んで、トオルをじろじろと見た。
「へえ。面白い子を連れてきたね。幽霊のくせに人の姿をしてる」
「……見えてるのか」
「アタシにはね」
エルメシアはにやりと笑って、すっと立ち上がった。
「アタシは手っ取り早いのが好きだ。結論からいこう」
その声が、不思議と広場に響いた。喧騒の中なのに、よく通る声だった。
「汝らに試練を言い渡す」
エルメシアは上を向いて、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「旅は道連れ、世は情け。『旅人よ、機を逃すな。宝を掴め!』」
次の瞬間、周囲がどっと湧いた。
「おっ! 久しぶりにエルメシア様の試練だ!」
「嬢ちゃんたち、頑張れよ!」
「去年の試練は三日かかったんだぞ!」
いつの間にか人だかりができていた。皆が楽しそうに声を上げている。まるで祭りのような雰囲気だった。
トオルとリーゼロッテは、呆気に取られてその様子を眺めていた。
「……あの、これは」
「さ、ほらほら」
気づいたら、エルメシアは後ろに回り込んでいた。
二人の背中を、ぽんと押す。
「もう試練は始まってるよ!」
振り返ったときには、もういなかった。
雑踏の中に、羽のついた靴が見えた。
次の瞬間、それも消えた。
「あ、逃げた!」
トオルは思わず叫んだ。
「追うよ!」
リーゼロッテが駆け出す。
二人は雑踏の中に飛び込んだ。
──つづく──
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