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異世界転「生」できませんでした。-俺YOEEEけどたくましく生きて行きます。-  作者: 六六-B
踊り子の泉編

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色欲のゼル

再開したけどみんなまた読んでくれるかな…

執筆最後まで続けるモチベください

評価とかコメントとか待ってまーす

「なっ──」

 ゼルの声が、動揺で裏返った。

 分身たちの動きが、ほんの一瞬、止まった。その隙を、全員が見逃さなかった。

「ベリル!」

「おうっ!」

 ベリルが地を蹴った。リーゼロッテのドロップキックで輪郭が浮かび上がった空間めがけて、炎を纏った斬撃を叩きつける。

「ヒートスラッシュ!」

 轟音と共に炎が弾けた。今度は手応えがあった。幻影ではない、確かな肉体を捉えた感触。ベリルの顔に、初めて確信の色が浮かんだ。

「アリア!」

「はいっ──ホーリーライト!」

 アリアの白い光が、続けざまに直撃する。今まで効かなかったその光が、今度は違った。ゼルの体が光を受けて、ぐらりと揺れた。

「くっ……!」

 ゼルが初めて、苦痛の声を漏らした。

 バッツがすでに動いていた。影から滑り出るように現れ、三本のナイフを指の間に挟んで構える。狙いを定める時間など一秒もなかった。感覚だけで投げた。

 三本とも、命中した。

「っ──あなたたち、やるじゃない……!」

 それでもゼルは嗤っていた。片膝をつきながら、口元の笑みだけは崩さない。赤黒い魔力が揺らめき、まだ分身たちが周囲に残っている。

 しかし。

 その笑みに、焦りが混じっていた。

 トオルは静かに前に出た。

 周囲の喧騒が、不思議と遠くなる感覚があった。分身たちの嗤い声も、泉の水音も、全部が遠ざかっていく。

 ゼルと、トオルだけが、その空間にいるような気がした。

「終わりだ」

 低く、静かに言った。

 霊体の手を、ゆっくりと伸ばす。

 ソウルタッチ。

 魔族の、核心へ。

 指先が触れた瞬間、ゼルの体が内側から光を帯びた。

「……っ──あ」

 ゼルの声から、妖艶さが消えた。

 残ったのは、ただの──驚きだった。

 十数体いた分身が、砂が風に散るように、一体また一体と消えていく。泉の周囲を埋め尽くしていた幻影の群れが、音もなく、跡形もなく、消えていく。

 最後に残ったゼル本体が、ゆっくりと仰向けに倒れていった。

 泉の岸に背中をつけ、空を見上げながら、それでも口元だけは笑っていた。

「……まさか、本当に見破るなんてね」

 かすれた声だった。

「透明化を見抜いたのは……初めてよ」

「俺も使えるからな」

 トオルは静かに答えた。

「……なるほど。そういうことね」

 ゼルは小さく笑った。今度は挑発でも妖艶さでもない、どこか純粋な、負けを認めた笑いだった。

「悔しいけど──きれいな負け方だったわ」

 その言葉を最後に、ゼルの体が光の粒子となって、泉の水面へと溶けていった。

 静寂が、戻ってきた。

 白く淡い光だけが、泉の水面から静かに立ち上っている。

 トオルはしばらく、その光を眺めていた。

 誰も、すぐには喋らなかった。

 ベリルが剣を鞘に収める音がした。アリアが深く息を吐く声がした。バッツが肩の力を抜いて座り込む気配がした。リーゼロッテが、静かにトオルの隣に立った。

 やがて。

 泉の中心から、水面を歩くように、アフロディオンがこちらへ向かってくる足音がした。

 トオルが振り返ると、美の英雄は穏やかな笑みを浮かべてそこに立っていた。

 そして、静かに両手を広げた。

「──合格だよ」

 その声は、戦いの前とは打って変わって、柔らかく、温かかった。

「偽物に惑わされず、真実に辿り着いた。それが僕の試練の、唯一の答えだ」

 アフロディオンがゆっくりとトオルに近づいてくる。

 その手が、トオルの霊体にそっと触れた。

 ──つづく──

再開したけどみんなまた読んでくれるかな…

執筆最後まで続けるモチベください

評価とかコメントとか待ってまーす

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