躊躇いの沼地
すみません仕事が忙しくて
連続で更新お休みしてました!
必要だなぁ!早め早めの行動!何にでも!
アセノポリスから続く街道を馬車で走り抜け、俺たちは沼に差し掛かっていた。
躊躇いの沼地──それは広大な湿地帯で、通行をためらうほどに足場が悪いことで名高い。
底なしの泥が広がり、水面には腐った草が浮き、カエルの鳴き声と虫の羽音が不気味に響いている。
ところどころから泡がぼこぼこと浮かび上がり、悪臭を伴った湿気が肌にまとわりつく。
人間の足では進むたびに膝まで沈み、馬車など到底通れるはずもない。
けれど、俺たちの馬車は進んでいた。
ぬかるみを蹴り、泥をはね上げながら、それでも力強く──確かに、前へと。
「すっげ……本当に走れてる……」
「カロンさんの加護のおかげだね。旅人の加護、だっけ?」
俺の隣でリーゼロッテが頷く。
御者席から振り返るカロンが、得意げに鼻を鳴らした。
「そーだとも! オレはな、英雄エルメシア様から直々に加護を受けてるんでね。どんな悪路でも馬は走る、って寸法よ」
なるほど。これがなきゃ、誤りの森まで何ヶ月も歩かにゃならんところだった。ありがてえ話だ。
それを聞いたリーゼロッテが感心する。
「いやぁ、まさか本当だったとは。エルメシアが…そうかぁ…意外だなぁ…。」
しかし、沼地の真ん中に差し掛かったとき──
「……止まれ! 何かいる!」
ベリルの叫びとともに、馬車が急停止する。
前方。ドロドロの泥の中から、ぬぅ……っと黒く巨大な影が立ち上がった。
「な、なんだあれは……!」
「スワンプゴーレム……だね」
リーゼロッテが呟いた。全身が沼のヘドロで構成された泥人形。
「くそっ、やるしかねえ!」
ベリルが剣を抜き、真っ直ぐに斬りかかる。
だが──
「……効いてねえ!?」
泥を切っても、傷一つつかない。
「どいてっ! 今度は私が!」
リーゼロッテが拳を叩き込むも、ぐにゃりと拳がめり込むだけで手応えはない。
「ダメだ……物理が効かない……!」
「じゃあ、これなら……《アイスバレット》!」
アリアの放った氷の魔弾がスワンプゴーレムの左腕に命中。
バキィィンと音を立てて、腕が砕け落ちた。
「効いた!? 氷属性なら……」
「いや!再生してる! 周囲のヘドロを取り込んで……!」
砕けた左腕は、すぐに近くの泥を吸い上げて復活する。
(この感じ……思い出す……)
以前のスライムドラゴン戦を思い出す。
そして、あの魔族ゴール。
そうだ……こいつも、どこかに核がある。
「……よし、《ソウルタッチ》発動!」
――――――――――
【スキル発動:《ソウルタッチ》】
【MP:93 → 73】
――――――――――
白いオーラを纏った右手を翳すと、スワンプゴーレムの中──頭部の奥に、白い炎のような光が見えた。
「いた……!」
俺は空中に浮かび上がる。
「《影移動》発動!」
――――――――――
【スキル発動:《影移動》】
【MP:73 → 65】
――――――――――
一瞬でスワンプゴーレムの背後へと回り込む。
そして、その白炎を鷲掴みにする!
ドロォ……っと、ゴーレムの身体が崩れかける。
「トオル!」
「まだだ……まだ、壊しきれてない……!」
そのとき──
「任せろ!」
バッツが叫び、俺の手元を狙ってナイフを鋭く投げた。
パキィィィン!!
ナイフが核に命中し、スワンプゴーレムの身体がドロドロに崩れ落ちる。
「やったか……!」
沼地に沈んでいく泥の残骸を見下ろしながら、全員が肩で息をつく。
「ふう……厄介なヤツだったね」
「けど、無事撃破だ」
――――――――――
【レベルアップ!】
【Lv:16 → 17】
【最大HP:42 → 43】
【最大MP:93 → 95】
――――――――――
「よしっ……先を急ごう。誤りの森はもうすぐだ」
再び馬車に乗り込み、俺たちはぬかるんだ地を走り抜ける。
暗い湿地の奥に、静かに新たな試練が待ち受けていることも知らずに──
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