爆走、アセノポリス。
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白い光が弾けて、俺とリーゼロッテの体が転送魔法陣の上に現れる。
眩しさが消えた瞬間、俺たちはアセノポリスの街に戻ってきていた。
「……ふぅ。無事戻ってこれたな」
俺がそう呟くと、リーゼロッテも頷く。
「うん。ところで、次の目的地ってどこにあるんだ?」
「“踊り子の泉”は、この街から北にある“誤りの森”という場所にあるんだよ。地図上で見るとそう遠くはないように見えるけど、あの森の入り口まで徒歩で向かうとなると、何ヶ月もかかるって言われてる」
「え、何ヶ月!? マジでそんな遠いのかよ……」
「でも、まあ地道に進むしかないね。急ぎすぎても道はひらけないものさ」
そんな話をしながら、俺たちは知恵の塔の出入り口へと向かって歩いていった。
その時──
「ひ、ひいぃっ! で、出たぁああああああああっ!!」
突然、悲鳴が響いた。
振り返ると、そこには守衛が立ち尽くしていた。目をむき、指を震わせながら俺たちを指差している。
「おいおい……あれって……」
俺が言いかけた時、リーゼロッテが周囲を見回して言った。
「トオル、朝だ。もう夜が明けてるよ!」
「うわっ、マジかよ! もう朝か!」
「ど、ど、どうしよう……!」
「いや、もうここに用はないだろ! 強行突破でアセノポリスを脱出するぞ!」
「が、がってん! それが一番得意だ!!」
俺たちは目を合わせると、全速力で走り出した。守衛の叫び声が後方から響く。
「な、何なんだあいつらァァァァ!!」
リーゼロッテは先頭を切って駆け、ショルダータックルで守衛を弾き飛ばす。
「ぎゃあっ!」
「……本当、こういう力技だけは得意だな、コイツ……」
俺が呆れながらもついていく。
朝日が差し込む中、アセノポリスの街は徐々に活気を帯びていた。だが、首のない全身鎧と白い美少女幽霊が街中を爆走する光景に、市民たちは騒然とする。
「ぎゃあああっ!? な、何あれ!!」
「ひぃぃっ、化け物だあああ!!」
「く、くそっ……あまりにも居た堪れねえよ!」
「我慢して! もうすぐ門だよ!」
ようやく門が視界に入り、俺たちは全力で駆け抜ける。
「で、出たああああ!! ほら! 昨晩知恵の塔に出てきたお化けだよ!!」
門の前にいた守衛たちの中に、あの昨晩の守衛の姿もあった。
「う、うわっ……マジでごめん、おっさん……」
俺が申し訳なさを感じる中、リーゼロッテが叫んだ。
「スタン……インパクトォ!!」
拳を地面に叩きつけ、衝撃波が広がる。
――――――――――
【スキル発動:《スタンインパクト》】
【MP:38 → 28】
――――――――――
衝撃波を受け、守衛たちが一斉に硬直する。
「お勤めご苦労様!!」
その隙を縫って、リーゼロッテが守衛の間を突っ切る。
「本当にすまん……大人しく出てくから、追いかけないでくれよ……」
俺は申し訳なさそうに頭を下げながら、守衛たちをすり抜けていった。
こうして俺たちは、ほとんど逃走のような形でアセノポリスを後にした。
しばらくして街が遠ざかり、舗装された街道に出る。
「たしかに…俺たちには人の目を欺くスキルが必要だよな…。」
そう言いながら俺は一息つく、いや…ついたのはため息だな。
「一刻も早く、踊り子の泉に向かわないとね。北は…あっちだよ。」
俺たちは、北を向いて歩き出した。
「ああ、次の目的地は“踊り子の泉”……だな」
「うん。“誤りの森”を抜けて、踊り子の泉、そしてアフロディオンの霊廟へ──だね」
空はすっかり明るくなっていた。
こうして、俺たちの新たな旅が始まったのだった。
つづく
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