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異世界転「生」できませんでした。-俺YOEEEけどたくましく生きて行きます。-  作者: 六六-B
囁きの森編

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VSニンゲン

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挿絵(By みてみん)


 ぬるりと空気が揺れた。


 木々の間を進んでいた俺は、不意に背筋をなでるような視線を感じ、すっと木陰に退く。


 足音は──一つ。だが、それが先遣隊なのか、はぐれ者か、あるいは他に何人いるのかは分からない。


 (人間か……?)


 木の隙間から見えるのは、一人の男。軽装の鎧に身を包み、剣を提げている。周囲を警戒しながら森を進んでいたが──


 「……火の玉?」


 こちらに気づいたようだった。剣を抜き、こちらに向かってくる。


 (……やるしかないか)


 ふよ、と浮上しながら、俺はゆっくりと身を潜める。


 ──人間を、殺す。


 その事実が、今さらのようにのしかかってくる。

 いや、俺はもう人間じゃない。魔物だ。


 それに、この男が何者かは分からないが──剣を抜いて近づいてくる時点で、俺にとっては“敵”だ。


 「……来るなよ」


 呟くと同時に、《影移動》で男の背後へと滑り込む。


 《祟り》、発動。


 「ッ……!?」


 突然、霊的な痛みに襲われた男が、苦悶の声を漏らす。


 (効いてる……!)


 さらに、左右へ《ダークボール》を1つずつ展開。逃げ道を塞ぐように。


 男は素早く距離を取り、剣を振りかざして構え直す。


 「物理が通らねえってことか……だったら」


 彼の剣が、赤く光を帯びる。


 《スキル:ヒートスラッシュ》


 剣が燃え上がり、轟音とともに振り下ろされる──!


 (まずい!)


 避けきれず、俺の左手に炎が直撃した。


 ──バチン!


 「ぐぅッ……!」


 左手が吹き飛ぶ。視界が赤く染まり、HPがゴッソリ削られた。


 ――――――――――

 【HP:6/20】

 ――――――――――


 (炎属性付き……物理じゃなく、魔法ダメージだ!)


 痛みと熱に耐えつつ、再び《影移動》。男の背後へと回り込むと、再度《祟り》を放つ。


 「ぐっ……またか……!」


 男が苦しげによろめいたその瞬間、俺は足元にダークボールを展開──。


 ズガァン!


 爆ぜる闇の衝撃波が男の足をすくい、彼は剣ごと地面に倒れた。


 もがきながら、男は呟いた。


 「……まさか、火の玉風情に……!」


 やがて彼の意識は遠のき、そのまま動かなくなった。



 ──終わった。


 人間との初めての戦闘。


 怖くなかったわけじゃない。

 でも、俺は……「今の俺」は、魔物として生きている。


 襲ってくる相手には、やり返すしかない。


 (もし、無関係の人間だったら……?)


 ちらりと、そんな考えが脳裏をよぎる。だが──戦いは、待ってくれない。


 静かにステータスを確認する。


 ――――――――――

 【レベル:4 → 5】

 【HP:20】

 【MP:54】

 【新スキル獲得:《透明化》】

 ――――――――――


 「……これは」


 新たなスキル、《透明化》。

 これまでの戦い方に、さらに選択肢が加わった。


 そして、戦闘中に仕掛けた影からの奇襲と霊的干渉──それこそが、このスキル獲得の“きっかけ”だったのかもしれない。


 (これが、人間との戦い……)


 俺は左手が徐々に再生していくのを確認しつつ、森の奥へと向かって浮かび始めた。


 新たな出会いと、より強い敵を求めて。


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