気になる木
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森の空気が変わった。
ひんやりと湿り気を帯び、静寂が重くのしかかる。囁きの森を進んでいたトオルは、不意に足を──いや、火の身体を止めた。
「……あれ、木か?」
前方に、一本だけ異様に目立つ樹木があった。
幹の節々はどす黒く盛り上がり、枝は異様に太く、根は地面を這うように広がっている。まるで……怪物が森の中に紛れているかのような不気味さだった。
《観察》を発動。
――――――――――
【名前】トレント
【種族】植物系魔物
【レベル】9
【HP】55/55
【スキル】枝打ち、締めツル、呪いの樹気
――――――――――
「通常個体のトレント……か。レベル高いし、嫌な予感しかしない」
まずは鬼火ハンドで様子を見る。手に宿した蒼白い炎を、燃えた手のままトレントの根に叩きつける。
ボウッと燃えたが──
「うわ、ちょっと焦げただけじゃん……魔法耐性、めっちゃ高いな」
続いて、《ダークボール》を1発。ふわりと飛んだ黒い玉が、トレントの胴へヒット──しかし鈍く弾けるだけ。
「ダークボールも効かねぇ……ってことは、魔法全般が通りづらい相手か」
すると──
ブンッ!!
トレントが太い枝を大きく振るってきた。慌てて浮かび上がり、それを回避。
「おーおー、そうくるか。物理攻撃は、効かないよ?」
調子に乗っていた矢先、地面を這うように伸びてきた蔦が、トオルの足元を締め上げようと襲ってくる。
「無理だってば、物理は当たらないって──」
ふと、木全体がわずかに震え、赤黒い霧がじわりと広がった。
「……ん?」
直後、体の芯がジワジワと削れるような、精神をじりじり焦がすような感覚。
【MP:41 → 39】
「これか……《呪いの樹気》……!」
物理攻撃も魔法攻撃も通じず、じわじわとMPを削られていく。まるで、精神そのものを食い潰されるような感覚。
「やっべぇ……! このままじゃ、消える!」
焦ったトオルは、すぐさま距離を取る。呪気の範囲を離れると、体がようやく軽くなった。
「……逃げるしかねぇな、こいつ。勝てるわけがない」
ふらりと浮かび直し、森の奥へと離脱する。背後では、トレントが再び動かなくなっていた。
「完全に“動かざる巨木”ってやつだな……」
そう呟きながら、トオルは森の静けさに再び溶けていった。
見たこともない木ですから…
さて、ここまで読んでくれたってことは
結構気に入ってるんじゃないかい?
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