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異世界転「生」できませんでした。-俺YOEEEけどたくましく生きて行きます。-  作者: 六六-B
死霊の寝床編

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死霊の寝床:踏破

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「……いなくなった、か」


長い戦いの末、悲しむジェンキンスは、静かに光へと還った。

あれだけの存在が消えたというのに、ダンジョンの空気は、どこか穏やかだった。


──静かすぎる。


まるで、もうこのダンジョンに“格上”の存在は残っていない、と言われているようで。


「……そっか。俺、このダンジョンじゃもう、最強クラスなのか」


ぽつりと呟いて、少しだけ自嘲気味に笑う。

だって、俺の姿は──火の玉に手が生えただけの、しょぼいゴーストなんだから。


それから数日、俺はダンジョンの探索を続けた。

まだ見つけていない通路がないか、隠された部屋がないか、せっせとダークボールで照らしながら。


でも結局、それらしいものは何もなかった。

「死霊の寝床」は、ジェンキンスを倒した時点で、もう俺にとって“制覇した”も同然だった。


ダンジョン内のモンスターたちも、俺の姿を見ると少し距離を取るようになった。

中には、俺の《祟り》を受けて消滅したやつもいたし──

《影移動》でいきなり背後を取られて驚いて、そのまま逃げ出したやつもいた。


そう、俺はこの戦いの中で、一つ気づいたことがある。


《祟り》というスキルは、どうやら「意識」や「精神」がある存在にしか効かないらしい。

ゾンビやスケルトンには通じなかったけど、ジェンキンスには大ダメージが通った。


……てことは、俺にも効くってことだよな?


「つまり、他の《祟り》持ちに襲われたら──けっこうヤバいのかもな」


思わず苦笑い。

俺、《物理無効》持ちだけど、霊的干渉には滅法弱いタイプです。よろしくお願いします。


やれやれ、まだまだ油断はできないらしい。


……と、そんなこんなでダンジョン探索も終わりが見えてきた。

ジェンキンスを倒して、死霊の寝床の最深部も踏破した。


あとは、もう──この場所を出るだけ。


浮遊しながら、俺はダンジョンの出口へと向かう。

風の通り道になっている、地上への裂け目。ほんのわずかに、陽の光が差し込んでいる。


──世界は、まだ広い。


地上には、もっとたくさんの魔物や、人間や、何かがいるはずだ。


ここから先に何があるかなんて、まったく分からない。

でも、不安よりもワクワクの方が大きい。


やがて、見慣れたダンジョン入口。空気が、外とつながっている。

その手前で、俺は一度だけ振り返った。


「……またな、ジェンキンス」


誰にともなく呟いて、外の世界へと浮かび上がる。


俺は火の玉になってから、こんなに遠くまで来たんだな。


こうして、俺のささやかな冒険は、次の舞台へ進もうとしていた。

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