表情
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ダンジョンを出ると、外の空気が肌に触れた。
昼の光が眩しい。石畳の冷たさとは違う、草と土の匂いがする。
三人で、しばらく黙って歩いた。
リーゼロッテが先頭を歩いている。ズンズンと、さっきと同じ歩幅で。鎧の軋みだけが規則正しく聞こえる。
俺はその背中を見ながら、ずっと気になっていたことを口にした。
「なあ、リズ」
「なに」
「セイクリッドフレアって……何なんだ。あんなに怒るくらいだから、ただのスキルじゃないだろ」
リーゼロッテは歩みを止めなかった。
少しの間があって。
「自爆技だよ」
明るい声だった。いつものリズの声だった。
「トオルにとってはね」
「……は?」
「内なる魔力を全て聖なる光に変換する神聖魔法。術者の魔力が尽きるまで、止まらない」
俺は足を止めた。
「…………」
「なんてもんよこすんだあのバカ女ァ!!」
鳥が飛び立つ音がした。
「声でかい」
「でかくもなるわ!!」
リーゼロッテが、振り返った。
「使わないでね、絶対に」
声は、いつもの調子だった。
だけど——
今ほどリーゼロッテがどんな表情をしているのか、気になったことはなかった。
首から上のない鎧が、こちらを見ている。
風が吹いた。
「……ああ」
俺は短く答えた。
リーゼロッテが前を向いて、また歩き出す。
俺とニッグが続く。
草と土の匂いの中を、三人で歩いた。
──つづく──
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