九話 銀髪美少女②「昔のお話」
イリシアの昔話です(番外編)
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「イリシアさん、あなたは完璧なんです」
私は、その言葉にうんざりしていた。
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私は、皇帝と王女によって生まれた一人のエルフ族。
本当なら王女から生まれた子はみんな、王女の跡を継ぐはずだったのに私だけは違った。
「イリシアさんは特別、冒険家になるべきだ」
そうやっていつも他人と比べられながら、『イリシアは特別』と言われ続けていたのだ。
そして、それを言われ始めたきっかけは、まだ生まれて間もない一歳のころ......
「お父さん、この子がもう魔法を習得しましたわよ!?」
「な、なに!?それは本当か!?イリシアは、本当に天才なのか!」
母親が、遊びのつもりで魔法の呪文を教えてくれたのを私は一瞬で、全て暗記してしまったのだ。
今思えば、なんでこの時、暗記してしまったのだろうと後悔している......
そして、いつしか私だけが剣の練習をやらされていた。
「イリシアさん、また練習している」
「近づいちゃ、殺されちゃうかも」
「あの子って、天才らしいよ」
周囲の子たちは、私の横を通り過ぎるとひそひそ話をし始める。
私が練習している姿を恐れているのだ。
そのせいで、いつの間にか私に話しかけてくれる人が親以外ほとんどいなくなった......
「イリシア、あなたには他の子とは違うのです」
「お父さんは、お前の実力を認めてるんだぞ」
まただ......もうその話はしないで!
もういや、いや、いや、いや、いや、いや、いや.......
「もう私の自由にさせてよ!!!!!!」
「ちょ、どこ行くんだイリシア」
「ま、待ちなさい!イリシア」
気が付けば、私は知らない森に走り去っていた。
そして、顔に湿り気を感じながら......
「ここ、どこ......」
考えずに走ったせいで、私は迷子になってしまった。
そういえば、森には魔物が潜んでいるかもしれないから絶対に近づいてはいけないと母親に言われている気がする......
「きっと、探しに来てくれるよね......」
その頃の私は、多分助けに来てくれるのだろう......そう思っていた。
でも、一向に助けは来なかった......
そして、気が付いたら、二日もたっていた。
「おなか、すいた......」
今でも、その感覚を思い出す。
あの薄暗い森、食べ物もろくになくとてつもなく空腹で死のうとまで思った。
しかし、その気持ちは一瞬で消え失せた......
魔物が、私を襲ってきたのだ。
「お願い、こっちへ来ないで......」
確か、私を襲った魔物は、A級クラスの【ポイズンスネイク】......
昔、魔物の図鑑をたくさん読まされて、ほとんどの名前は暗記してるからよく知っていた。
ポイズンスネイクは、強烈な毒を持っていて、吐いた息すらも吸ってしまったら死んでしまう......
一瞬『勝てる』という言葉が頭の中に浮かんだ......
だけど、不運なことにその時私は、剣やほかの武器を何も持っていなかった。
捨てて行ってしまったのだ......
もう、『魔法を使うしかない』
そう思って、必死に魔法の暗唱をしたけれど、まだ8歳ぐらいだったから、唱える時間が長く、間に合うことができなかった......
「うっ......」
もう、駄目......
そう思った瞬間に彼は来た。
「イクスティング〈消滅〉!」
「えっ......」
彼は、魔法の暗唱をせずに魔法を使った。
しかも、その魔法を私は全然知らない.......
そして、目の前にいたはずの魔物はいつの間にか消えていた。
多分、彼が倒したのだ。
「お前も、ヘビが苦手なのか?」
「い、いや、別に......」
「そ、それより助けてくれてありがとう、命拾いしたわ」
「別にそのぐらいいいよ、たまたま通りかけただけだし」
私は、彼こそが天才だと思った。
私と同じ年齢で、この魔法......
「あ、あの、名前は何というのですか?」
「えっと......グレンだよ」
「そう、グレン......」
「___ありがとう、グレン......」
そう言って、私はその場から走り去った。
こんなに赤らめた顔を見せたくなかったからだ。
多分、過去一番でドキドキしている......
「何だったんだ、アイツ......」
~~~~~~~~~~
その日を境に私は変わった......
たまたま、お金を貯めるために魔物討伐のギルドに参加したところ......
ある冒険家たちに誘われ、一緒に冒険することになった。
「イリシアって、すごい強いな」
時々、パーティーリーダーにそう言われることがある。
でも、全然いやではなかった。
無理やり、私だけで戦わせようとせずにしてくれたからだ。
そして、初めて私のスキルがほめられているような感じがした。
このまま、冒険は続いていくんだろうな......
その頃の私は、そう思い続けていた......
【五層ダンジョン:四層目】
いつものように、依頼のダンジョン攻略をしようとしていた最中だ。
その時、悲劇は起きた......
「イリシア、お前をここで追放する......」
「えっ、な、なんで......」
私は、悲しくて仕方なかった。
これは、ドッキリではなく本当だということはリーダーの顔を見てすぐわかった。
そして何より、信頼していた人に裏切られるのはもう耐えられなかった。
「お願い、何でもするから、追放だけはしないでください」
「残念、もう遅かったわね。私のスキル「監獄」はもう発動したわよ」
すると、私の体をどんどん透明な何かが覆い始めた。
「やだ、お願い。まだやること_____っ!?」
すると、リーダーが私を殴り始めた。
私は、殴れるほどのことをいつしたのだろうか......
「いいよな、天才は!努力しなくても、天才でよ!」
「っ、や、やめ......」
言っている意味が分からなかった......
私だって、天才にはなりたくなかったのに。
「お、お願い、助け......」
「うるせえよ、イリシア」
そして、どんどん視界が真っ暗になる。
本当に、私は不幸の塊なのかもしれない......
「____お前も、ヘビが嫌いなのか?」
その瞬間、ふいにあのグレンという人の顔を思い出した。
走馬灯......なのかもしれない。
そして、気が付けばダンジョンには私だけしか残っていなかった。
「もし、あの人が来てくれるのなら......」
そう思いながら、私は深い眠りについた。
『ゴッドスキル【最愛】が発動しました」
意識がもうろうとしている中、突然何処からか声が聞こえた。
だけど、何を言っているのかが分からなかった。
『____あなたは、一年後、誰かに救われるでしょう』
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