超小規模節分
「これなーんだ」
ルイが左手でそれを持ち上げヒロマサに問いかけた
「四角枡」
「外じゃない、中を見ろ中を」
「え、豆?」
「そう、これ煎った豆だねこれ」
ルイが持っていたそれ…四角枡には煎り豆がなみなみと入っていた
そう、今日は毎年ちっちゃい子共に恐怖を植え付ける(と勝手に思っている)ので有名な節分である
「おー、こっちに節分あるんだ」
「いや無い」
「じゃあなんで節分してんだよ」
「これは一人でやってた」
「…」
「毎年この頃になると煎り豆用意して一人で「オニハーソトー、フクハーウチー」って棒読みで言いながら豆投げて投げ終わったら豆拾って食べてた」
「…むなし」
「でもなぁ!今年はヒロマサがいるからなぁ!こうならなくて済むぜぇ!」
「え、他の行事は広まってんのになんで節分を広めなかったの?」
「え、広まんなかったから」
「なんで」
「鬼とかいう概念が伝わんなかったわ」
「カルチャーショック…」
「文化の壁って分厚いんだな」
「ベルリンの壁ぐらい?」
「いや、ルッツォネ湖のダムぐらい」
「高すぎだろ」
「ともかく広まんなかった」
「そりゃご愁傷様ですわ」
「けどヒロマサがいるから安心だぜ」
「そりゃよかったな」
「というわけで早速豆まきしたいんだけどー…」
〜数分後〜
「なんでこうなるかなぁ?」
「薄々わかってたろ」
「わかってたけど!」
今どうなっているかというとヒロマサが鬼のお面とツノをつけて部屋の中を走り回っている
そしてそれをルイ追いかけている
ヒロマサを鬼役にして豆を投げているのだ
だけど豆の威力が尋常じゃないだけで
豆が壁に当たると豆が粉々になって弾け飛んでいるのだ
あと耳元を通ると豆が発してはいけない音が出ている
「だぁー!ちょっと待て!威力がー!」
「待てー」
〜しばらくして〜
「ヒロマサー、大丈夫そ?」
無事ヒロマサただの屍「になってねぇよ!」
「あ、生き返った」
「体中がいてぇ」
「何発喰らった?」
「5発ぐらい」
「あんま当たってないな」
「当たったらいてぇんだよ!なんであんな威力出てんだ!?」
「今までの恨みつらみかな」
「人の恨みって怖いな」
「よしこんなもんかなー、さて豆でも食b…」
とルイが言いかけた時後ろからものすごい殺気が出てきた
ルイは青ざめながらも後ろを振り向いた
殺気の出どころはもちろんヒロマサである
「ヒ、ヒロマサ…?」
「なんで終わろうとしてんの?」
「え、だって豆投げ終えたし…」
「俺投げ終わってないなー」
「あ」
「はいこれ」
ヒロマサが手に持っているのはさっき身につけていた鬼のお面とツノ
そして怖い目で「つけろ」と言っている
「え、えー」
「はい」
「いや、俺が鬼役なんてやりたk」
「やれ」
「はい…」
そうして渋々お面とツノをつけたルイ
とつけた瞬間ものすごい速さで豆が飛んできた
「…what?」
「はい次行くよー次ー」
「ちょまt」
「ドーン」
「なーー!」
そこからはさっきの立場が逆になって豆まきが始まった
たださっきと違うのは豆の威力が2、3倍になっているということだけ
結果的には一人の犠牲者を出して豆まきは終わった
めでたしめでたし
the end
◯者蘇生のカード
「はっ」
「あれ、勝手に生き返った」
「死んでねぇよ、瀕死だったけど…てかなにかが勝手に発動してんだけど」
「俺じゃないよ」
「じゃあ俺のケツイの力で蘇ったんだな」
「今の数秒で二つのネタぶっ込んでくるんじゃねぇ」
「わからないだろうからオゥケィ」
「良いのか?」
「で、蘇ったわけなので用意してたこれ食べますか」
「話の前後がぐちゃぐちゃだぁ」
ルイがキッチンの方から朝作ったアレを持ってきて机の上に置いた
「え、なにこれ」
「見たらわかるやろ、恵方巻き」
「いや、あのさぁ…」
机の上に置かれたのは普通の恵方巻き
ただ中身が少し特殊なだけで
「普通恵方巻きって中身普通かんぴょう、しいたけ、卵焼き、穴子、エビ、きゅうり、桜でんぶだけどさぁ」
「うん」
「なんで中身野菜ばっかなんだよ!ベジタリアンか俺ら!」
「海産物取りに行くのめんどくさいし、桜でんぶ原材料知らないし野菜しかないもん」
「しかも長ぇ」
「長い方がいいでしょ」
「良くない!…彩りねぇなー、この恵方巻き、いや野菜巻きか」
「まぁ恵方巻きだったらなんでも良いでしょ」
「よくないと思うけどなー」
「今年は適当にあっち向こうか」
「ちゃんと方角は決めるタイプね、適当だけど」
「それじゃあ黙食」
そうルイが言って二人は黙々と食べ始めた
知っているだろうが食べてる最中は黙りましょう
福が逃げてしまうので
…こんな野菜巻きに福はないだろうが
と言ってる側、ヒロマサは食べ終わったらしい、喋り始めた
「うん、普通の野菜巻きだな、普通だわ」
「なんだってー?」
「おい、食べてる最中だろ、喋るな」
「…」
「でもこれ食べてる最中は黙らないといけないしうるさい誰かさんが黙ってくれるから良いなこれ」
「(なんだってー?)」
「こいつ直接脳内に…!」
「ゴックン、どうだ食べきったぞ」
「キモい力身につけてんじゃねぇ」
「は?なんも喋ってねぇけど俺」
「え、さっき直接脳内に語りかけてきてたやん」
「んなことできるわけなかろう」
「んじゃさっきのは先入観か?」
ルイの謎(そんな物ない)が一つ深まった
ちなみに投げた豆は抜かりなく食べた
弾け飛んで跡形もなくなった豆が大半だったが…
豆は優しく投げましょう(てか豆投げる事自体そんな無いが)




