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モンブラン編 終章:狼たちの誓い

激闘の夜が明け、アストリア山脈にまぶしい朝日が差し込んでいた。


朝靄に包まれたモンブラン山城の広場には、ジョアン率いる赤狼騎士団と、レーク侯爵家の精鋭たちが整列している。


城のバルコニーには、城主である『白嶺伯』オズヴァルト・モンブラン、大将軍ジョアン、そしてレイリアたちの姿があった。


「ジョアン・ルブラルプス、そして若き勇士たちよ」


モンブラン伯爵が、手に掲げた血染めの羊皮紙――皇帝ライオスの悪事を証する『先帝暗殺の密約書』を高く示してみせた。


「我が領地を救い、真義を示したことに感謝する。……ライオスは遠からず、我らを『反逆者』として帝国中に触れ回るだろう。平穏な道など、もはやどこにもない」


ジョアンは一歩前へ歩み出ると、朝日に照らされた大剣を高く掲げた。

赤狼の毛皮が、山頂の清冽な風を受けて力強くたなびく。


「逃げ場など、最初から探してはいない! 誇りを捨て、偽りの平穏に怯えて生きる道など俺にはない、いや、"俺たち"にはない!」


大将軍ジョアン・ルブラルプスの腹の底からの声が、山脈全体に力強く響き渡る。


「皆の者、聞け! 俺たちは今日から『反逆者』などではない! 帝国の誇りを取り戻す『奪還軍』だ! ライオスの不義を討ち、この手で真の平和を掴み取るぞ!」


「「「オオオオオオッ―――――!!」」」


地鳴りのような歓声が広場を埋め尽くし、山々の岩壁に反響した。


「背後の憂いは断ちましたわ」


レイリアが剣を抜き、胸の前で掲げる。碧の瞳に勝気で気高い光を宿していた。


「どこまでもお供いたします、ジョアン大将軍。わたくしの剣で、帝都への道を切り開いてみせますわ!」


「姫様……またそのように先陣を切ろうとされる」


老騎士ガルドが苦笑を浮かべつつも、その眼差しには深い忠誠と覚悟が宿っていた。

「ですが、お供いたしますぞ。この老躯、果てるまで守り抜いてみせます」



「姫、このシャルクめ……も。どれほど理不尽な不運が襲おうと、俺の槍でねじ伏せて見せますよ」

シャルクが重槍を担ぎ直し、頼もしく口元を緩める。



「おいおい。頼もしい限りだな……ふっ、俺の出番など無い方がいいのだがな」

アルティスが黄金の剣に手を置き、軽やかにつぶやいた。


「そんなことはありませんわ、アルティス。本当の戦いは、これからですもの」

レイリアが振り返り、頼もしい相棒へ微笑みかける。


脇では、傭兵隊長レヴンが深々と煙草の煙を吐き出し、強弓のディムースが黙って弓の弦を確かめていた。


叩き上げの大将軍ジョアン。

気高く凛とした天才女騎士レイリア。

黄金の剣を携えた相棒アルティス。

不運を技でねじ伏せる騎士シャルク。

忠義の老将ガルド。

そして、確かな腕を持つ傭兵たち。


南方の「灰の伯爵」との不戦条約により、背後を侵される恐れはない。

いまや全員の目指す先はひとつ――ライオスの待つ、帝都セントラル。


「出陣だ!」


ジョアンの大剣が天空を指し、幾百の刃が一斉に朝日に煌めいた。

帝国の未来を取り戻すための激闘へ向け、奪還軍は力強く歩み出したのだった。



モンブラン編・完結。


次話より、湖水地方に迫るライオスの精鋭たちとの戦いに続きます。

そして、レオンハルト皇子との再会も。


引き続き、よろしくお願いいたします~☆

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