表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世界はなんかおかしい  作者: 16時間
戦士 ドレイク
72/78

何を守ろうとした

そして、現在。


(……守る?)

(何を……?)


拳を受けながら。

ドレイクは、思考を巡らせる。


(俺は……何を守ろうとしてた)


浮かぶ顔。

弟や妹。

後輩。

アルザック。

孤児院の子供たち。

ノヴァ。

アイリーン。


――だが。

(……全部)

(守れてねえ)


弟や妹は、離れ離れになった。


後輩は、目の前で死んだ。


アルザックたちは――

「もう、ついていけない」

そう言って、去った。


ノヴァも。

アイリーンも。


(……俺に力があれば)

歯を食いしばる。


(あの場にいれば)

(全部、叩き潰せたかもしれねえのに)

拳に、力がこもる。


(なんでだよ)

(なんで俺は――)

胸の奥が、軋む。


(守れねえ)

呼吸が荒くなる。


(大事なもんを)

一瞬。

思考が、止まる。


(……じゃあ)

その奥。

もっと深いところ。



(俺が本当に守りてえのは――)



その瞬間。

鉄拳に、さらに魔力が集まる。

感情に呼応するように。

膨れ上がる。


「……俺だってなぁ!!」

叫ぶ。


「守りてえもんがあんだよ!!」

踏み込む。

拳に、全てを乗せる。

これで終わりにする。

そう決めた。


(これで――)

(終わらせる)

覚悟が、決まる。



それを。

エディルは、見ていた。

静かに。

そして――


「……なんだそれ」

低く呟く。

一歩、踏み出す。


「魔界滅ぼして」

睨みつける。


「この街の連中も、平気で殺して」

間。

「その上――ユキノまで手ぇ出そうとして」


一瞬の沈黙。

吐き捨てる。

「どの口で言ってんだよ」



「……っ!!」

ドレイクが吠える。

「黙れ!!」

拳が唸る。


だが。

それでも――

エディルは止まらない。


魔力が、溢れる。

さっきまでの疲労など、感じない。

怒り。

それだけで、身体が動く。


(負けられねえ)


魔界。

仲間。

そして――

ユキノ。

全部が、頭に浮かぶ。


「――魔具召喚」

空間が、歪む。

裂ける。


「ヘルファイア!!」

時空の裂け目から。

巨大な鎌が現れる。

黒炎を纏った。

禍々しい刃。


だが以前とは違う。

影ではない。

実体。

本物。

エディルは、それを握る。


「……やっと使えるようになった」

小さく笑う。


そして。

構える。

視線は、ただ一つ。

ドレイク。


「来いよ」

低く呟く。


次の瞬間。

地面を蹴る。

黒炎が、軌跡を描く。


エディルは――

一直線に、ドレイクへと突撃した。



ドレイクの鉄拳。

エディルのヘルファイア。

互いの一撃が――

ぶつかる、その瞬間。


エディルは、大きく息を吸い込む。

「――っ!」


そして。

黒炎を、吐き出す。

一直線に。

ドレイクへ。


――ゴォォッ!!


「……くっ!」

ドレイクが、僅かに怯む。

視界を焼く炎。


一瞬。

その動きが止まる。


――その隙。

エディルは、見逃さない。

踏み込む。

間合いを詰める。


「――貰ったぁ!!」


ヘルファイアが振り抜かれる。

黒炎を纏った刃が――

ドレイクの腹を、貫く。


「……ッ!!」

焼ける。

肉が焦げる。

黒炎が、内側から侵食する。


逃がさない。

エディルはそのまま――

さらに力を込める。

刃を、押し込む。


「喧嘩ってのはな」

ニヤリと笑う。

「なんでもアリだろ」


そのまま。

ヘルファイアを引き抜く。


そして――

間髪入れずに。

もう一撃。

黒炎が、軌跡を描く。


「――終わりだ」


振り下ろされる。

禍々しい刃が。

ドレイクを、完全に捉えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ