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この世界はなんかおかしい  作者: 16時間
戦士 ドレイク
67/78

守りたいから

ドレイクとエディル。

互いに睨み合う。

空気が張り詰める。


そして。

先に動いたのは――ドレイクだった。


「この人器で、お前を壊せるか……楽しみだなぁ!」

笑いながら、踏み込む。

拳が振り抜かれる。

確実に当たる一撃。


だが。

エディルも、引かない。


「俺だって――本気の喧嘩なんざ何百年ぶりだ!」

黒炎が拳に宿る。


「やってやらァ!!」

そのまま、顔面へ叩き込む。


ドンッ!!

鈍い衝撃。

互いに、一歩も引かない。

ただの殴り合い。

技も、駆け引きもない。

純粋な暴力のぶつかり合い。


壁が砕ける。

床に亀裂が走る。

収容所全体が揺れる。


それでも。

止まらない。

お構いなし。


そこにあるのは――

ただ、二人の男の意地。

拳と拳をぶつけ合い、

力でねじ伏せようとするだけの戦いだった。





その頃のユキノ。

「わっ……!」


轟音。

収容所全体が揺れる。

思わず、その場に座り込む。

床が軋み、天井から細かい砂が落ちてくる。


「……もしかして、これ……エディル?」

胸の奥に、不安が広がる。


だが。

足を止めるわけにはいかない。

ユキノは立ち上がり、収容所の中を進み続ける。



しばらく歩いた時だった。

人の声が聞こえる。

ざわめき。

怒号。


「……なに?」

息を潜め、角を曲がる。

そこで目にしたのは――


混乱に陥った収容所だった。

先ほどの衝撃で、収容部屋は崩壊している。


その隙を突き、逃げ出す人々。

ある者は、怒りのままに。

ある者は、復讐のために。


これまでの恨みを晴らすかのように、職員へ魔法を叩き込んでいた。

悲鳴。

怒号。

衝突音。


それに対し、職員も応戦する。

だが、統制は取れていない。

完全な混乱状態。

戦場だった。


(……巻き込まれないようにしないと)


ユキノは身を低くする。

視線を動かしながら、争いを避けるように進む。

物陰から物陰へ。

気配を殺し、足音を消す。

そのまま、一人。

探索を続けた。




再び、エディルとドレイク。

容赦のない殴り合いが続いている。

拳と拳がぶつかり合い、

鈍い音が何度も響く。


(何度も殴ってるのに……あの回復力か)

ドレイクは拳を振るいながら、エディルを睨む。

(やっぱり化け物だな)


確実に、人器で何発も叩き込んでいる。

それでも。

すぐに塞がる。

砕いたはずの肉が戻る。

完全に覚醒した魔族の再生能力。

一瞬、たじろぐ。


だが。

関係ない。

脳裏に浮かぶのは――


ノヴァ。

そして。

想いを告げることもなかった、アイリーン。


その二人を殺した男。

目の前にいる、この男。


(……潰す)

それだけを考えていた。 



しばらくして。

ドレイクがわずかに肩で息をしながら、口を開く。

「……お前、本当にしぶといな」

挑発。


それに対し、エディルは口元を歪めた。

「俺はしぶといのも長所なんだよ」


だが。

その動きは、わずかに鈍い。

回復速度も、落ちている。


周囲はすでに瓦礫だらけだった。

壁は崩れ、

天井は裂け、

収容所は原型を留めていない。


それでも。

二人の拳は止まらない。


「さっきまで魔力もねえ情けねえ魔族だったくせによぉ!」

ドレイクが踏み込み、拳を叩き込む。

ドンッ。

エディルの体が揺れる。


だが。

エディルは鼻で笑った。

「好きな女も守れねえで死ぬとか」

血を吐きながら。

「ダサすぎるだろ」

当然のように言い放つ。


そして。

間髪入れず、カウンターを叩き込む。

ドレイクの体がわずかにぶれる。



その瞬間。

思考が、引っかかる。

(……守る?)

(何を……?)

(俺は……)

拳を受けながら、ドレイクの意識が一瞬だけ揺らいだ。

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