表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら勇者になって、美少女とパーティー組んで、ドラゴンを倒しにいってきました ……という冬休み日記  作者: 蒼碧


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/17

1月3日(木)

原案をぼやいた人:蒼風 雨静  書いた人;碧 銀魚

この世界では、一つの民族につき、一人の守り神がついているそうだ。

アグレスの民にとっての守り神がフォーレイであり、ドラゴンたちにとっての守り神がゲックであるという。僕には他のドラゴンと区別がつかなったが、確かにフォーレイも大仰な翼がなければ、人間と区別がつかないかもしれない。

かつて、それぞれの民族は領土や物資を求め、争いを繰り返していた。

それは、僕が生きていた現世の歴史も変わらない。

だが、この世界の守り神たちは、自分を信仰する人々が死んでいくのが悲しんだ。

なので、守り神同士で話し合い、民族間で争いをしないよう、取り決めをしたそうだ。

だが、取り決めに従わない守り神がいた。

それがフォーレイだ。

彼女は取り決めの後も、他民族や他国への攻撃をやめず、時には今回のように直接手を下すこともあった。

ここ数十年は、この島にアグレスの民族ごと上陸し、ゲックの民族であるドラゴンを蹴散らしながら、国を大きくしてきた。

しかし、ドラゴンにはスレイトがいたため、流石のフォーレイといえども、簡単には攻略ができず、事態は一進一退のまま、数十年膠着状態となっていた。

だが先日、ついにドラゴンは国王と女王を倒し、一気にアグレスを弱体化させることに成功。ついにはゲック本人が最後の王族直系であるエレーナを襲撃するに至った。

これに焦ったフォーレイは、守り神の間で禁術とされる方法を用いた。

それは、この世界より文明が進んだ異世界から人間を召喚し、送りこむという方法だった。

それにたまたま選ばれたのが、藤嶺麗人……勇者レイトだったというわけだ。

しかもフォーレイは、僕に戦闘力というスキルまで与え、何も知らない僕はゲックを撃退してエレーナを助けてしまった。

そして、勢いそのままに、スレイトまでも倒してしまい、フォーレイはエレーナを使って、一気に畳みこもうとしている……というのが、今の状況だそうだ。

だが、ここで疑問が浮かんだ。

フォーレイは、スレイトを倒した僕達パーティーを圧倒するほどの力を持っている。ならば、単純に考えると、フォーレイはスレイトより強いから、わざわざリスクを冒して僕を召喚したり、パーティーを作って討伐に行くように仕向けなくても、自分で倒せたのではないかと思ったのだ。

だが、どうやら事はそんなに単純ではないらしい。

フォーレイは守り神なので、物理的な実体を持っていないため、強靭な肉体を持つスレイトと戦うとなると、かなり相性が悪かったらしい。

具体的には、フォーレイが得意とする魔法の類がスレイトには殆ど利かず、物理攻撃を仕掛けるには、脆弱な人間であるアグレス民をぶつけるしかない。尚且つ、フォーレイの強引なやり方は他の民族の守り神はよく思っておらず、協力してくれる者はいなかった。

「この苦境を脱するには、事情を知らない屈強な者を呼び出し、我等にぶつけるしかなかったのだ。」

ゲックにそう言われ、僕は自らの愚かさを呪った。

アグレスについて教えてもらったとき、この国の歴史に関することが、まるまる抜け落ちていた。アグレスの侵略と侵攻の歴史が明るみになってしまうからだ。

せめて、そこの違和感に気づくべきだった。

だが、それを僕より後悔していたのは、ローレンだった。

彼女はアグレスで生まれた、アグレスの民だ。

だから、アグレスの歴史についてはよく知っていた。わかっていて、僕へのレクチャーでは、隠していたのだ。

「ごめんなさい……」

ローレンは涙を流した。

この国で生まれ育った彼女にとって、自分たちの民族を守り、発展していくための侵略や侵攻は当たり前のことで、それを疑問に思ったことはなかったそうだ。

だが、他民族であるクローディアや、日本仕込みの平和ボケした思想を持つ僕と接していて、次第に感化されていったそうで、密かに苦悩していたらしい。

「でも最後の反抗は、レイトが姫様にとられちゃうと思ったら、居ても立ってもいられなくなっただけ。アグレスの女は、本当にダメだね。」

えっ、となった僕の隣で、クローディアがその十倍驚愕していた。

話がそれたが、結局、両者の均衡が破られた今、僕たちパーティーはどちらかに加担するしか、道が残されていなかった。

フォーレイの元に戻って、アグレスの侵略に手を貸すか。

ここに残って、フォーレイと対峙するか。

当然、僕たちの心は決まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ