1月4日(金)
原案をぼやいた人:蒼風 雨静 書いた人;碧 銀魚
日が昇ると同時に、山へアグレスの大軍が迫ってきた。
今日、ゲックを仕留めて、勝負を決めにきたのだ。
ドラゴンたちにはゲックの護衛に専念するよう伝え、僕たちはパーティー三人のみで、アグレスに勝負を挑んだ。
相手はかなりの数だったが、戦闘力はドラゴンに比べれば大きく劣る。スレイトとの戦い比べれば、蹴散らすのは容易かった。
僕らの狙いはエレーナだ。
フォーレイにとって、王族の血は大切なものらしく、彼女に危害が及べば、必ず妨害してくるはずだ。
そこが勝負となる。
エレーナは、予想通り軍の最奥にいた。ローレンがいない今、アグレスの魔術面での大きな戦力はエレーナしかいないからだ。
だが、エレーナに迫ると、やはりフォーレイが現れた。
「レイト、よく聞きなさい。もし、私がいなくなれば、この国の民族は滅ぶわ。それは、このエレーナや、あなたが交流した街の人々や子供たち、そしてあなたと後ろにいる、ローレンも死ぬことを意味するのよ。」
それは、ゲックからきいていた。
そして、フォーレイに召喚された僕自身もどうなるかわからないことも。もしかしたら、禁術で召喚された僕は、死すら許されないかもしれないらしい。
それでも、僕たちはもう引き返せないのだ。
命を奪ってしまった、ドラゴンたちのために。
これ以上、他民族の命が奪われないために。
僕とローレンは、エレーナに全力で立ち向かうが、フォーレイとエレーナ自身の力で、跳ね返される。
だが
「今だ、クローディア!」
僕の合図で、軍の後ろに回りこんでいたクローディアが、フォーレイの背後から襲いかかった。その手には、クローディアの民族に伝わる神具が握られている。
エレーナを守ることに集中していたフォーレイは、一瞬反応が遅れた。
俊敏なクローディアの攻撃を躱すことができず、神具を叩きつけられる。
瞬間、クローディアの民族の守り神が現れ、同時に潜んでいたゲックも飛び出した。
二人は印を結ぶと、おぞましい檻のようなものが現れ、フォーレイを閉じこめた。
フォーレイの穏やかな表情が初めて消え、必死に檻から出ようと暴れだす。
だが、同格の守り神が二対一では流石に敵わないのか、フォーレイの抵抗虚しく、檻は地の底へと沈んでいく。
これは、封印らしい。
こうなると、民族は守り神の恩恵を受けられなくなるので、どう足掻いても数年のうちには滅ぶのだそうだ。
こうして、戦いは終わった。
エレーナはその場で崩れ落ちて、呆けたように空を見上げ、ゲックやドラゴンも、クローディアとその守り神も、唯々苦い表情でその様を見つめていた。
次の瞬間だった。
僕の足元に魔法陣のようなものが現れた。
それが光りだしたかと思うと、僕の体は少しずつ透け始めた。
ローレンとクローディアが駆け寄ってくる。
二人の目からは、大粒の涙が流れている。
「私はすぐこの世界からいなくなるから!そうしたら、必ずレイトの世界に生まれ変わるから!待ってて!」
ローレンは叫んだ。
「あたしは、おまえを引き戻す手段を絶対に見つけ出す!だから、待ってろ!」
クローディアも叫ぶ。
そんな二人の声に包まれながら、僕は「ありがとう」とだけ言って、この世界から消えた。




