1月2日(木)
原案をぼやいた人:蒼風 雨静 書いた人;碧 銀魚
エレーナが僕の頭に触れようとした、その時だった。
突然、窓が割れ、二つの影が部屋の中に飛びこんできた。
クローディアとローレンだ。
二人は僕とエレーナの間に割って入り、容赦なく攻撃を仕掛けたが、驚くべきことにエレーナはそれを難なく躱した。
尚も攻撃を仕掛けようとする二人だったが、不意に部屋の中にまばゆい光が現れたかと思うと、見えない拘束を受けたかのように、動けなくなった。
その光の中から現れたのは、僕がこの世界にくる前に出会った天使、フォーレイだった。
フォーレイは前と変わらず、優しく微笑んでいた。
だが、
「エレーナに従い、アグレスを強国にしなさい。」
口にした言葉は、強硬な命令だった。
僕は何が何だかわからなかったが、直感的にこの場でフォーレイやエレーナに従ってはいけないとだけは思った。
だが、相手は明らかに格が違う。スレイトを倒した僕たちパーティーが、手も足を出ないのだ。
だが、僕たちの命運はまだ尽きてはいなかった。
不意に轟音とも雄叫びとも思える音が響き渡り、壁の一部が吹っ飛んだ。
現れたのは一頭のドラゴンだった。
その前足は片方がなく、腹には大きな傷がある。明らかに僕が最初に撃退したドラゴンだ。
だが、ドラゴンは僕たちパーティーではなく、フォーレイとエレーナに攻撃を仕掛けた。
攻撃自体はフォーレイが難なく防いだが、こちらへの意識がそれたせいか、拘束が弱まった。
その隙をローレンは逃さず、一気に拘束を破り、ドラゴンのほうへ駆けだした。
僕とクローディアは一瞬迷ったが、ローレンの呼びかけに呼応して、ドラゴンにしがみついた。
すると、ドラゴンは城から離脱し、僕たちを乗せたまま、山のほうへ移動した。
ドラゴンが僕たちを連れて来たのは、スレイトがいたカルデラだった。
スレイトの死骸はなくなっていたが、今回討伐対象にならなかった小型のドラゴンたちが、何かを偲ぶように、そこに集まっていた。
僕たちを救ってくれたドラゴンは、言葉を話すことができた。
名をゲックというそうだ。
ゲックは僕と戦って負傷した後、ずっとこの山に隠れていたらしい。
そしてスレイトが倒されたことを知り、アグレスの様子を伺っていたようなのだが、そこで僕の危機を察知し、国の中で自由に動けるローレンに、魔術でそれを伝えて嗾けたそうだ。
ちなみに、クローディアが同時に駆けつけたのは、野性の勘だった、とのこと。
ところが、フォーレイが現れ、事態が急変したため、強硬手段で僕たちを助けてくれたということだった。
とりあえず一休み後、ゲックは状況を話してくれるそうだ。




