第二章〜二日目
御早う御座います。書かせて頂きました。宜しく御願い申し上げます。
「ナベオカです。寄せ鍋のなべに、富士見ヶ丘のおかと書きます」
そんな声とともに、次の日の朝にもやって来たのがやはり、鍋丘だったの。
二日続けてのの登場よ。
そう。その日も、前の日にドアを開けてしまった手前、また開けて顔を合わせざるを得なかったわ。
鍋丘と名乗る男の顔は改めて観察すると、なにかとても浅黒く、どこか内蔵でも傷めてるのを思わせたわ。
眼は細く、何かを射抜こうとするかのようだった。唇は妙に厚くて、団子っ鼻も相俟って、とても好色そうな印象を醸し出していたの。
彼は低い声で言った。
「昨日のお土産はね、山梨から取り寄せたものでしてね。なんでも高級な貝を煮染めたものにね、濃いめの味付けをして保存食にしたものらしいのですわ。あれ、もう召し上がったかな?どうでしたかの?」
何だか一方的にお喋りになるので、
「あ、いえ。まだ」
と申すと、
「あ、そうでっか。なら、早くにお召し上がりになるのをオススメしますわ。いや、保存食と言ったって開封後はどのくらりゃー保つかはわかりませんしね。ね?なるべく早く」
などと仰りながら、また別の紙袋に入ったお土産らしいものを手渡してきますの。
なんだか渡し方も強引で、2日も続けて・・・と、非常に恐縮しながらも、受け取らざるを得なかったのどけれど。
そう。それご二日目の鍋丘さんの御様子だったの。
帰り際によくよけ見れば、歳の頃は五十程だと思えたわ。
以上、まあ二日目もさして、嫌な思いもせずに済んだのですけれども。
有り難う御座いました。




