第三章〜三日目
御早う御座います。宜しく御読みになって頂けましたら幸いです!
鍋岡さんがやって来て三日目は、二日目より若干遅い御時間に、だったわ。
朝八時近くになってからだった。
わたしが朝食の後片付けを終えて、務めている会社へ向かう準備をしている時だったわ。やっぱり玄関のチャイムが脈絡もなく鳴ったの。
そして、やっぱりわたしはお人好にもほいほいと、ドアを開けてしまったの。
そしたらそこに、どこかのサラリーマンさんみたいに紺色のスーツを着込んだ鍋丘さんがいらしたの。
そしていきなり、こう仰ったわ。
「奥さん・・・あ、いや。奥さんなんて言い方は失礼に当たるのかな。お見かけしたところ、まだお若くていらっしゃるようだ。まあ、居木さんとお呼びしたらいいかな?」
わたしは驚いてしまって一瞬、声も出なかったのよ。何故かって?
だってわたし、その時まだ鍋丘さんに自分の名前を教えた憶えがなかったのですもの。
いいえ。間違いない。まだ教えてはいなかった。
玄関スペースなどに表札を出さないのはもはや、都会に住む者の常識のようになっているのだから、わたしだってそんなもの、出してはいなかったから、表札を見て知ったなんてこともないでしょうし。
密かに驚くわたしなど尻目に、彼は続けたわ。
「居木さん、ここらはね、可燃ごみを出す日は月水金曜日、段ボールなど資源ごみは土曜日と決まっとるんですわあ。困りますな。昨日の夜、段ボール、ゴミ捨て場にだしてたでげしょ?」
「え?」
わたしはさらに驚いてしまった。だって、わたしが処理しきれない段ボール箱の殻を昨日の夜中に出そうとしたのは間違いないのだけれど、なんでそれを見て知ってるのかということ。
━━やだわ。このひと。
それがわたしがこの鍋丘という人が苦手になったそれが最初の瞬間だったの。
まあ、それで五分ほど注意されて、ゴミ出しのマナーの指導されたのが、色々ややこしいお話になるきっかけといえばきっかけだったのかもしれない。
有り難う御座いました!




