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昨日投稿出来なかったので2話投稿します。
すみません
「アタシっていつの間にか汚れちゃってたのね。お給料にばかり気がいくなんて……」
先ほど見せられたネーポムクの純粋に魔法師としての腕を上げたいと願う姿にパウラの銭ゲバな心が溶けてしまったようです。
「私もマスターの為だと思うあまりいつの間にか魔法師としての自分の不甲斐なさから目を背けていたようだ」
何故かカールハインツが私達に加わりしみじみと一緒に食事を取っています。エアハルトだけがいつも通りで、さっと食事を済ませると周りにいるA級剣士に魔王の情報を仕入れに行っているようです。この中には魔王と直接対峙した経験があるものが同行しているそうです。
「魔王の情報は私のところにも上がってきている。
ある日、商人がいつも通りに数名のB級冒険者五名を護衛に山越えをしていた所、突然オークが襲いかかってきたそうだ。冒険者達はいつも用心して斥候を放っていたがその目をかい潜り直ぐ側に現れた。勿論奇襲とはいえB級冒険者も直ちに攻撃体制になり上手く立ち回っていたようだがそこへ見たことがない巨大な魔物が現れたそうだ」
斥候をかわしB級冒険者を退けた巨大な魔物。
商人の責任者だけをなんとか麓まで護りきったそうですが、冒険者は一人死亡、残りもかなりの重症を負ったそうです。同行していた商人の下男二人も行方知れず荷物も壊滅した大惨事にすぐさま地元の冒険者ギルドがA級冒険者を雇い情報収集にあたったそうそうですが、その間も二つの商隊が全滅させられたとか。
「じゃあここにいるA級冒険者の中に最初の隊の生き残りがいるのか。直接話が聞きたいな」
私がそう話しているとエアハルトが一人のガタイのいい冒険者を連れて戻って来ました。
「俺がそうだ。マスターと話せると聞いたが本当のようだな」
ちょっと偉そうな態度ですがなかなか強そうな男は名をハッサンという。黒髭が似合う悪人面です。
「儂がネーポムクだ」
同じ討伐隊で行動していますが、それぞれ別行動のような状態だったので今まで顔を合わせることがありませんでした。
「マスターは剣士にも話を通してくれると聞いている」
「魔王というとんでもない輩を相手にするのにお互いの連携が滞るのは愚策としか言いようがないからの。副騎士団長はローレンスか?」
ネーポムクの態度に少しピリついていたハッサンが気を緩めました。
「そうです。我々にご協力願えますか?」
態度を改めネーポムクの前に出るハッサン。副騎士団長ローレンスとは話が出来ているのか騎士団側の作戦を説明し始めました。
「魔王と呼ばれる魔物は今まで三回目撃されていますがそのどれも別の種類の強力な魔物を引き連れています。今回のことで王宮でも文献を探し調べた結果三百年前の魔王出現時の話と似通った所が合ったということでその再来ではないかと騒がれているのです」
「その話は既にマスターの耳に入れている」
カールハインツが自分だって知っていると言う風に面倒くさい横槍を入れてネーポムクに睨まれています。私はそれを無視して口をはさみました。
「お前は直接対決したんだろ?それで、どんな奴だった?」
ウザいやり取りはいいですから早く正体が知りたいです。
「お前は誰だ?」
ハッサンが胡散臭そうな目で私を見て言いました。
「こいつは俺達のパーティの魔法師です。怪しい奴じゃないんですよ」
エアハルトが慌てて間に入りました。パウラまで私の肩を抱いて引き寄せ愛想笑いをしています。そこまで媚びなくてもいいでしょうに。
「態度が悪すぎないか?」
「儂も一目置いておる。こういう奴だと容認してやれ」
ハッサンが睨んできましたがネーポムクの一言でハッと息を呑みました。
「マスターがそんな風に仰るとは……」
カールハインツまで驚いています。
エアハルトとパウラはそこで安心したようで私から離れました。
「もういいか?姿を教えて欲しいんだけど?」
私の話し方にそれでも何だかムッとしているようで、ネーポムクと私を交互に見てきます。
はぁ、ちょっとやっちゃいますか。
私はほんのりハッサンの足に拘束魔法をかけました。
「チッ、"拘束"……いい加減にしておけ。余計に面倒になる」
直ぐにネーポムクがそれに気づき詠唱を重ねるとパウラも素早く戻ってきて私の頬を両手で挟みました。
「駄目でしょ。魔王に負けちゃった可哀想な人なんだから優しくしてあげなきゃ!」
パウラの言葉にハッサンの頬が引きつりました。
パウラの方が危機的状況になりましたね。
ネーポムクが魔法を使うほど私を可愛がっているのかと思ったらしいハッサンはそこからは何事も無かったかのように話を進めてくれました。
「魔王はこれまで見たこともない姿の魔物だった」
「人型か?」
「いや、獣と言えるだろう」
獣型か……それならミノタウルスとかを見間違えているんじゃないのでしょうか?
「そいつは雄牛の頭を持ち……」
やっぱりそうでしょ!ミノタウルスの特徴じゃないですか。もしかしてこの時代にミノタウルスはいないのでしょうか?魔物を効率よく配置し、操作する為に指揮官として私が作り出した魔物で数頭しかいないから三百年前に勇者に殲滅されたのかもしれません。
「鎧のように硬い皮膚で覆われた体、鋭い爪には猛毒がありかすっただけで昏倒する。奴が吐き出す唾液にも毒が含まれるのか触れるだけで皮膚が爛れ体が麻痺する。勿論単純に力も強くそこらの岩石など軽く打ち砕く」
「……何だそれ?見たことないぞ、そんな奴」
思わず本音が口から零れ出ました。
「だから言っただろ」
ハッサンが嘆息して言いました。
いやいやいや……
「本当ね、聞いたことないわ」
「儂も想像もつかんな」
「体には剣が通らないそうだ」
違う違う違う違う。皆が知らない魔物だって驚くレベルじゃないんです。
だってこの世の魔物は全て魔王の管理下にあるはずですから私が知らないなんておかしいでしょう!理に反しています!!
予想外の情報にぐにゃりと視界が歪み気持ちの悪さに目を閉じ堪えました。私の慄き様にパウラが心配そうにぎゅっと手を繋ぎます。
「大丈夫よロータル。ここには強い人がいっぱいいるから」
真っ青な顔で全然大丈夫そうでない震えるパウラを見ているとなんだか冷静になってきました。
「あぁ、平気だ。ちょっと混乱しただけだ。それにしてもそれって新種の魔物じゃないか?見たことないぞ」
「かも知れんな」
ネーポムクが私を見極めるかのように慎重な視線を向けてきます。
本当は私がそいつを知っているのに知らないふりしてるんじゃないかという感じです。そんな面倒なことしませんよ。
それより気になるのは魔王ですよ。新種じゃ魔王と間違えられても仕方がありませんが人類文献はもう少し魔王の姿を忠実に残しておいてくれませんかね。
私はいつも見た目は人型の美人スタイルを保っていたのですから。




