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魅墨の紹介の仕方が下手くそすぎて辛い

 魅墨との服装指導初日の事だ。一般生徒よりも早く登校しているはずの俺の視界の先、校門前に人影が一つ。


 先生は裏門だったはずなのだがと目を凝らしてよく見ると、魅墨が腕を組んで仁王立ちしていた。


 ……早すぎやしないですかね、魅墨さん。


 現在時刻は七時二十分。一般生徒の第一陣の到着まで二十分以上の余裕を持たせての到着なのに、魅墨はその上を軽く超えてきた。


 魅墨は俺の姿に気付くや否や、まだ二十メートル程離れているというのに全力で駆けてきた。


 なんだろう、魅墨の見えない尻尾がパタパタ振られてるような気がする。


「おはよう、蒼司! さあ、今日から私達二人での仕事だ! 親友同士のコンビネーションで任務を遂行しようか! なっ!」


 朝から魅墨はなんともテンションが高く、声がでかい。


 目がらんらんと輝いていて、ハッスルしているようだ。何が彼女のやる気になっているのかと考えれば、自分で言うのもおこがましいが、俺だろう。


「ああ、急いで鞄置いてくるから待ってて」


 俺はつとめてドライになり過ぎないよう、急いで戻るよとアピールして魅墨をいなした。


 魅墨は満足そうに頷いて、またダッシュで校門前に戻っていく。


 なんともまあ元気な事だ。と、ちょっとおっさんくさい事を考えながら俺は校門を潜り抜け、教室に鞄を置きに行った。


 そして、まったく走ったりする事なくのんびりと校門の方に戻っていくと、魅墨は俺に大きく手を振った。


「おーい! 蒼司、全然遅いじゃないかー!」


「ああ、魅墨悪いな。自分なりのマックススピードで来たんだけど」


 俺は叫ぶ魅墨に返事をしながら、のんびりと歩いて魅墨の元にたどり着いた。


 本当は水筒に入れたお茶でも飲もうと思ってたのに飲まずに来たのだから、()()()()()マックススピードと言えば、まあ嘘じゃないと言えば嘘ではないし。


「そうなのか? それはすまなかった。蒼司なりに急いでいたのに気付かないとは、親友失格だ……」


「いやいやいや、そんな落ち込むな。その程度で親友失格にならん」


 みるみる申し訳なさそうに肩を落とす魅墨に、俺は慌ててフォローをいれる。


 相変わらず面倒な親友だこと。


「本当か? なら、よかった。蒼司にまで嫌われてしまったらもう私は辛くて辛くて」


「だーかーらー、そう簡単に嫌わないっての」


「ふふふ、ありがとう。もっと親睦を深めような。家で私が片時も離れたくない男が出来たと話したら、お父さんに『一度連れてきなさい』と言われたんだ。これはもはや親公認の仲と言っても過言じゃないだろう。私としても紹介したいしな!」


 ……ああ、急に頭が痛くなってしまった。


 魅墨が嬉しそうに語った内容は、魅墨翻訳で言えば家族に親友が出来た報告をしたつもりなのだろう。


 ただ、その報告の仕方は魅墨に彼氏が出来たとしか聞こえない。片時も離れたくない男が出来ただなんて、熱烈な愛してる人がいるとしか聞こえないじゃないか。


「魅墨、ちなみに報告した時の魅墨の親父さんの様子はどうだったの?」


「ん? 感激して震えていたな。私からそんな報告した事ないからプルプル震えてたよ。声音も震えてたし、目も赤かったなあ。感動していたのかもしれん」


 めちゃくちゃ怒ってるじゃないですかー! やだー!


 目を血走らせながら、声が震える程怒りに震える強面のおっさんを想像して軽く身震いをしてしまう。


 魅墨の親父さんだ、きっと強面に違いない。


 魅墨と親父さんとの間で誤解し合っててそれがもうすれ違って明後日の方向に飛び散ってるのに、俺は会いたくない。


「……いつ行くかなんて決めてないよな」


「ん? 今日蒼司と一緒に帰ると言ったら、その時出迎えるって言ってたぞ」


 ……詰んだわ。


 魅墨はけろりと言ってるが、俺からすれば死活問題だ。


 魅墨からすれば友情がカンストしてる報告をしたんだろうけど、魅墨の親父さんからすれば魅墨は俺に対して愛情がカンストしてると思い込んでる。


 おそらく魅墨の説明から察するに、魅墨の親父さんの俺への好感度は最低方向にカンストしてしまってるだろう。


 そんな状態で会いたくないんだけど。今からでも、一緒に帰るって言ったのをやめようか。


 悪い考えが頭をよぎるが、昨日の魅墨の寂しげな表情を思い出して踏み止まる。


「……魅墨、今度から親父さんに俺の事を話す時は親友の蒼司と伝えてくれ」


「お? なんだ、蒼司は私のお父さんに親友と紹介して欲しいのか。まったく、どんだけ私との友情に敏感なんだ。ま、構わないぞ」


 魅墨はまんざらでもなさそうにニヤニヤと笑って、俺のお願いを了承した。


 まあ、魅墨との友情に敏感なのはあながち間違いではない。変な伝え方をされるよりも親友として伝えてもらった方がまだましと思ったからだ。


 とりあえず、今日送った時にでも親友だと紹介してもらおう。本人から親友だと紹介してもらえれば、多分誤解もとけるだろうし。


「まあ、今日の帰りお父さんに蒼司を紹介する時に伝えるよ。さて、それじゃ、第一陣が来たから始めようか」


 色々とやり取りをしている間に時間が相当経過したらしい。


 ちょうど魅墨の親父さんとの挨拶についてもまとまったしな。グッドタイミングだ。


 俺は問題が無事にとは言わないが、片付く目処が立った事にひとまず胸を撫で下ろした。



面白ければ

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よろしくお願いします


評価は下のスクロールしたところにありますので、面白ければぜひお願いします。


また、元作品になります。

よかったら読んでみてください

妹が兄を好きになってもいいと掲示板に書いてから、妹の様子がちょっとおかしいんだが

https://ncode.syosetu.com/n4803fl/

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