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恋人捜しは騎士団で  作者: 如月美樹
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 ヴェルビエ伯爵家の馬車が騎士団本部の前へ着くと、同じような馬車が何台も順番待ちをしていた。

 花純たちは少し離れた場所で降り、歩くことにした。とはいっても、花純の荷物はもちろんカイトが持ち、そして手はいつものように直哉と繋がれている。カイトも負けじと反対の手を繋いできた。

 もの凄く目立っている。

 騎士候補生たちの白い目が痛い。

 歩いて門前まで行くと、明が腰に手を当て仁王立ちして待ち構えていた。

 入団試験を受けにきた人たちは、門前のど真ん中にいる明を避けるように分かれて入っていた。

「あ、花純ちゃ~んっ!」

 こちらに気付いた明はハートマークを一杯飛ばしながら、先程までの仏頂面はどこへやら両手を必死に振っている。

 ここでもまた、花純は注目の的だ。

「うわ・・・・・・、明さんだ」

「皆、避けているな」

 顔を手で隠したいところだけど、生憎とその両手は塞がれている。

 いつまでもここにいる訳にもいかないので、明が待つ門前へと赴いた。

「花純ちゃんの入団希望届を見て、団長絶句してたよ」

 満面の笑顔で明はそう告げた。

「団長にスカウトされたんだから、試験なんて受けなくてもいいのに。団長、絶対花純ちゃんを自分の秘書にするつもりだし。花純ちゃんの制服のデザインだって、何枚も描かせてたよ」

「・・・・・・・・・っ」

 何だか嫌な予感がひしひしとする。

「それに直哉。お前何事務方なんかに願書出してるんだよ。ここは俺の下を希望するのが常識だろうがっ!」

 ポカッと軽く直哉の頭を殴るふりをする明。

「僕・・・・・・明さんの下は嫌だ。絶対こき使われる」

「ははは、さすがは直哉。よく解かってるじゃん」

 一頻り笑った後、明は花純の手元を見た。

「んで、相変わらずお前ら・・・・・・手、繋いでるんだな」

 花純の頬が恥じらうように紅色に染まる。

「ん~・・・、やっぱり可愛い。花純ちゃん、俺の嫁さんになって」

「・・・・・・っ」

 カイトが胡乱な目を向けて、明に牽制をかける。

「アキラさん。俺たちこれから試験を受けるんだから、この辺で勘弁して下さい」

「どうせお前なんか、一番で受かるんだろう? 少しくらいプレッシャーかけさせろよ」

「・・・・・・・・・」

 カイトは何とも言えない顔で無言を貫く。

 今年はヴィートも受けるのだ。そう簡単には一番も取れないだろう。

 それが解かっているはずなのに、明はそんなことを言うのだ。

 カイトのじと目を受けて、明は両手を上げて降参したようにわざとらしく演技する。

「あ~あ、解かったよ。花純ちゃん、あとでお茶しようね。迎えに行くから」

 何がしたかったのか解からないが、明はスキップでもしそうな足取りで去って行った。

「・・・・・・何だろうね? あの人」

 直哉の言葉に、二人とも大きく頷いた。

 受付を済ませ、建物中に入っても女性と一人も擦れ違わない。

 やはり騎士団は男所帯のようだ。

 試験会場はいくつかに別れているようだ。

 カイトは騎士を希望しているので、違う部屋で試験が行われるようだ。

 掲示板に番号が書かれた紙があった。建物の見取り図もあって、何番から何番までこの部屋と詳しく書かれていた。

 花純と直哉は同じ部屋で試験が行われる。

 今日はすべての入団希望者が対象の筆記試験だ。これに受かれば面接が待ち構えている。騎士を希望する人たちはそれに加え、実技がある。

「終わったら門の前で」

「ああ、解かった」

 カイトが花純の荷物を直哉に渡しながらそう告げるのを、じっと見ている花純。

 その目の端に、ここにきて初めて女性の姿を目にした。

 彼女も花純たちが使う部屋へ入っていったので、事務課を希望しているようだ。

 何処を見ても男性しかいなかったので、あちらの方も花純に気付いてちらりと視線を向けたが興味もなかったのか何も言わずに中へと入って行った。

「花純? どうかした?」

「女の人がいた・・・」

「毎年何人かは受けているようだぞ」

 花純が茫然とした声を発すると、カイトが応えてくれる。

「そうなんだ・・・」

 彼女が受かれば、仲良くなりたいと思う花純だった。

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