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別動隊と新兵器

海面をすぐ下に、低空で飛び続けるMUが12機いた。

先頭を進むMUは改修され、他の機体と大きく違う形状になっていた。

機種部分が大きく横幅が広く改修され、その上に類敵方の透明なコクピットキャノピーが取り付けられていた。

驚くことにキャノピーの中は無人で中に兎が一匹乗り込んでいた。

ふわふわのこげ茶の毛玉は

時速700kmの速度の中でも両前足を前方に伸ばして腹這いになってくつろいでいるようで緊張の欠片も感じない。

間もなく韓国沿岸が見えようという地点で、兎は二本足で立ちあがると周囲を見渡しながら耳を立て、鼻をひくつかせて辺りをうかがっていたが、すぐに飽きたのか、また元の俯せに戻っていた。

違うのは耳を立てたまま周囲の音を拾うようにいろいろな方向に向けていたぐらいである。

「アリス、弥生ちゃんに異常はない?」

「弥生は現在電波傍受を行っています。自己検診AIからは異常は伝えられていません」

「もうすぐ射出地点だから、伝えておいて。」

「了解しました。伝達完了」

春姐はるねぇ、もうすぐ出られる?」

すぐにスピーカーから流れてきたのは幼稚園ぐらいの男の子の声だった。

「ええ、地上からの確認よろしくね。」

「任せて、狸は全部皆殺して樽詰めにするから(笑)」

・・・

「戦闘車両は見つけ次第連絡して、目標用発進端子を打ち込むということです。」

「そうそう、そういいたかったの。」

喋っているのは言うまでもなく機首の兎であり、訂正しているのはアリスである。

外観は兎そっくりの4足歩行ロボット。最新鋭のアリスの情報収集端末である。

開発コードの三月兎マーチラビットから弥生という名前になった。

PAの電気収縮ワイヤーを動力として、時速100kmで移動できる。

速いようだが本物の野兎も70-80kmで移動するので、さほど奇異な感じはない。

彼はアリスとのインターフェイスに主なソースをさいているため、人間との言語表記は苦手である。

直接話すと気が狂ったような感じを受けるため、アリスが補正しなくてはならない。

だが、そのように設計したのチックである。

ヒューマンコミュニケーションとAIのデータ処理を並列で訓練するということで、このような形態になったらしい?

実はチックが遊んだだけともいわれているが・・・

ともあれ海岸線が近づいてきた。

「キャノピーオープンまであと20秒です準備願います。」

「YES I CAN」

「キャノピーオープン、弥生、発進願います。」

「OK、I CAN FLY---」

兎は謎の掛け声とともに飛び出していった。

「落下傘、展開確認、着陸、今、切り離し成功。移動開始しました。」

「・・・なんというか。疲れる子ね。」

「音声回路は設計で緊急時に備えて、そちらと直結の設計になっているので、いかんともしがたいです。」

「TALLYHO、チキンなタンク発見。マーキング完了!」

次から次へと報告が入ってくる。

「こっちはチンケなカーゴかい。齧っていい?」

「不許可です。あなたの任務は偵察で破壊工作ではありません。」

「しょうがないニンゲンなら齧っていいよね。」

「兎が齧っていいのはニンジンで人間ではありません。訂正を要求します。」

「じゃあ、ニンジンなら齧れるんだ。」

「あなたは私の分離端末で兎ではありません。偵察に集中しなさい。」

「えー、すごい不満・・・そのうち齧らせてね。」

「アリス、初期教育からこうだったの?」

思わずうららは尋ねたくなった。

「引き渡し直後はスラングと放送禁止用語のオンパレードでしたよ。この49時間48分の教育でようやく人間らしい言語になってきました。」

「チック、ストレス溜まってるんかしら?」

チックの精神状態を思いやったうららにすぐにスピーカーから男の子の声が流れでた。

「ストレス?スト・・・就業放棄・・・俺遊べる?」

「遊べるのはちゃんと任務を果たしてからです。うららも音声は双方向で流れているので不用意にしゃべらないでください。」

「あ、ごめんアリス。」

「アリス01よりシーガル全機へ兎はマーキング中。5分後に突入開始。」

「シーガル02 了解」

「シーガル09 受領」

「弥生、確認、PISSそろそろ切れる。2分繰り上げ可」

「マーキング車両35両、クラスターボムとFAEを推奨。爆撃地点指定します。」

「ヒャッホー、焼き兎は焼き鳥として売れるのかな?」

「あなたは範囲外に退避しなさい。ここにインドラはいませんよ。」

「焼いても機械の俺が食えるわけないじゃないか。アリスは馬鹿だねー」

「あ、あなたにだけは、そうは言われたくありません!」

「アリス落ち着いて、戦争中よ。弥生も煽らない。」

「春姐に従うね、安全地帯に撤退ーーー」

「・・・無意味に、計算領域を削られた気分です。・・・これが怒りというものなのでしょうか?」

「たぶんそうね・・・」

ここまで計算して弥生を設計したとしたらチックはすごすぎる。うららの気持ちにあのAIに対する感嘆が心に浮かんだ。

「3分経過、爆撃開始します。」

方漁津攻撃が開始された。








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