終焉へのカウントダウン
(弼・獅織・司)
弼は、獅織と司を助け出すと、その場に結界を張る。
「しばらく休んでろ。」
そういうと彼らの胸元に水色の札を貼って、再び戦いに向かっていった。
「そんなことしても無駄だのに。」
楓は、あきれたような物言いでそういった。
「は?てめぇには関係ねぇだろ。」
「だって、今から殺すから。お前らを。」
楓の雰囲気が変わっていた。
こどものような無邪気な雰囲気は消え、明らかな殺意しか表に出ていなかった。
「僕のすべてを壊したくせに…お前らがヘラヘラ笑いながら、のうのうと生活してんのが、許せねぇ!」
楓は怒り狂っていた。
黒く染まった風が、すべてを壊していく。
「死んじゃえ!死んじゃえ!みんな死んじゃえ!」
楓が手から出た白い糸が、黒い風と混ざることなく獅織達に襲いかかって来ようとしていた・・・。
「・・・戒めろ・・・荊・・・」
「包み込め・・・鬼灯・・・」
緑色の刺々しい蔦は、楓を締め上げ、楓の放った白い糸は、黄色い結界が防いでいた・・・
弼が振り向くと、そこには大きな枯れ木にもたれかかる獅織と司の姿だった。
「休むわけにいかないじゃん・・・弼。」
司は少し苦しそうだが笑いながらそういった。
「そうだよ。まだ休めないよ。」
獅織が、刃の折れた短刀を握り締めながら力強い目で弼を見つめてそういった。
「お前ら・・・」
楓は苦しみながらも弼達を睨みつけ必死に腕を伸ばそうとしていた。
「ぶっ殺してやる!」
そう言いながら、茨を掻き分け必死で手を伸ばし、白い糸を出し始めた。
「そうはさせるか!」
弼はそういうと、白い糸を切り裂きながら、徐々に楓のところへ向かっていく。
しかし、近づくのをゾンビが阻止しようとする。
「戒めよ、荊!」
今度は獅織が傷つけない程度にゾンビの動きを止め、それを骸と麟に回収させる。
その間に、司が結界を強めていく。
「観念しろ!楓!」
そういいながら弼は、楓に向かって刀を振り下ろした。
刀は、楓の腕に深く突き刺さり、多くの血が蔦の色を黒く染めていく。
「ぁあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
楓の断末魔が空間に響き渡る。
刀を抜くと楓は荊の中で意識を失っていった・・・。
獅織と司の身体に付けていた水色の札が、身体の中に消えていく。
すると、獅織と司の傷が少しずつ消えていき、力が戻ってくるように感じるようになった。
「回復って感じ?」
「そうだよ(怒)その札、身体の回復を外部から手伝う為のもんだから。」
「弼ごめんね。こいつ(=司)馬鹿で・・・」
「それより、休んどけって言ったじゃないですか(怒)」
彼らは、そういいながら楓に封印処置を施していった。




