逃げ切れ!
(某所)
黒く
何もかもを吸い込むような深い森
澪たちの根城は、その中に静かに役目を終えたように佇んでいる古い洋館だった。
「寒いよ・・・。」
「こうしてたら暖かくなるかな・・・?」
地下の牢屋に小さな子どもたちが閉じ込められている。
本当はもっとたくさんの子どもたちがいた。
しかし、時間が経過するごとに1人また1人と姿を消していった。
子どもたちはいつも怯えていた。
牢屋の扉の向こうから聞こえてくる足音に・・・。
ギィ~・・・・・・・・・
ドアが開くと、そこには黒い仮面をした小さな男が立っていた。
「祈、湊・・・。今日は何しようか?」
無機質な仮面の下で、男の目が冷たく笑いながら見つめている。
子どもたちはわかっていた。
この男に逆らえば、殺されることを・・・。
「ね~。何して遊ぶ?」
「・・・絵本読みたい・・・。」
祈は、小さく震えるような声で男に伝えた。
「絵本?ちょっと待ってて!持ってくるよ。」
男はそういって扉の鍵を閉めずにその場所を後にした。
「祈・・・動けるか?」
湊は祈に確認すると、祈は静かにうなずいた・・・。
そして彼らは誰にも気づかれないよう牢の外に向かって歩き出した。
数分後
「祈、みな・・・と・・・」
男は、驚きのあまり手にしていた本を床に散らばらせた。
「どうして・・・ずっと一緒にって思ってたのに・・・。」
ドコイッタノ?
イノリ・・・
ミナト・・・
・・・
・・・
ホカノコトイッショナノ・・・?
(森の中)
「ここみたいね。」
霧乃宮は、古い屋敷を指差した。
そこは、悪魔たちの根城になっている古い屋敷だった・・・。
「よし・・・踏み込むか。」
朝比奈がみなに突入の合図を出そうとしていた・・・
そんな時だった・・・。
「ちょっと待って・・・。」
一馬は森の中の違和感に気づき、皆の足を止める。
「どうしたんだよ。一馬・・・。」
不動の問いに一馬はこう答えた。
「微かだけど・・・誰かがいるように感じるんだ。」
そういいながら一馬はその場で目を瞑り、静かにどこにいるのかを探し始めた・・・。
「こっち・・・」
一馬は勝手に歩き始めたため、ほかのメンバーも同じ方向に歩き始めると、大木の根の穴の中に小さな子どもたちが眠っていた。
「この子たち・・・。」
一馬と霧乃宮は絶句した。
彼らの様子を不振に感じた不動が一馬を問い詰める。
「・・・3番目の事件で行方不明になっていた子です・・・。」
一馬のその一言で朝比奈はとっさにこういった。
「一馬・・・お前この子達を抱えて逃げろ。」
一馬は、この子達の衰弱した顔を見て覚悟を決めた。
「わかりました。」
不動は、一馬の両肩を強く持つと
「この子たちの為に逃げ切れ。一馬。」
と一馬の目を見ながら強い口調で指示を出す。
一馬は子どもたちを両腕で抱えると術を唱える。
「黒雲影霧」
一馬たちの周囲を黒い霧が包みはじめ、やがて消えてしまった。
「お前ら、行くぞ。」
不動の合図で、屋敷のほうへ足を向け歩き始めた・・・。




