第7話 家族と親戚総出のデレデレ甘やかし大作戦!(後編)
この度は数ある作品の中からこの作品を選んでいただきありがとうございます。
(えええええっ!? このおじ様……お兄様に抱っこされて廊下を通った時に肖像画で見たことある! この国のトップ、国王陛下じゃないのーーー!?)
豪快な笑い声をあげて部屋に踏み込んできたのは、なんとこの国の頂点に立つ国王陛下その人だった。
豪華な王冠を少し斜めに被り、上質なマントを羽織ったそのお姿はどこからどう見ても本物の王様だ。
「陛下……! 予告もなく、どのようなご用件でしょうか」
お父様が慌てて深々と頭を下げ、お兄様も不満そうに(でも礼儀正しく)頭を下げる。
しかし、国王陛下はそんな二人の挨拶など一秒でスルーし、真っ直ぐベッドの上の私へと一直線に駆け寄ってきた。
「かたいことを言うなオルランド! 今日は王として来たのではない、ルミィの『おじさん』として来たのだ! おお……! これが噂の……私の可愛い可愛い姪っ子か……!!」
ドバッと膝をついた国王おじ様は、私の顔を見るやいなや、その厳格そうな目元をデレデレに崩した。
「なんと可憐な……! まるで月明かりから生まれた宝物ではないか! ほらルミィ、親戚のおじさんだぞ〜! 国中から一番柔らかくて肌触りの良い『極上シルクのうさぎのぬいぐるみ』と、星の魔石が散りばめられたガラガラを持ってきたぞ〜!」
ドサドサッとベッドの脇に積み上げられる、超・高級なおもちゃの山!
「陛下! ルミィにそのような重たいものを近づけないでください!」
「そうだぞ陛下! 父親である私がまだ抱っこも済ませていないというのに、職権乱用だぞ!」
「あらあら、あなたたち……ルミィが驚いてしまうわよ?」
お父様とお兄様、そして国王おじ様の三人が、私の周りで「誰が一番ルミィに愛されているか」「誰のプレゼントが一番素晴らしいか」を巡って、大人のプライドをかけた不毛すぎる争いを始めてしまった。
(えええっ……! 国のトップと公爵家のトップと将来の覇王が、赤ちゃんの周りで何やってるの〜〜!?)
三人がわちゃわちゃと競い合う中、私のおててには国王おじ様からの「ふんわりうさぎ」、もう片手にはお父様が持ってきた「シルクのクッション」、そしてお胸の上にはお兄様が用意した「特製ミルク」が並べられる。
情報量が多すぎる。そして全員からの愛の圧力が強すぎる!
(あ、あかん……! みんなの愛が重すぎて、生後9ヶ月の体には受け止めきれない……っ!)
私は思わず
「ふにゃ〜〜……♪(みんな、ちょっと落ち着いて……!)」
と、困り顔で小さく声を漏らし、両手をパタパタと振ってみせた。
――その瞬間。
美の女神アミリア様のチート加護、『流麗なる白鳥』と『声帯の美調』が、本日最大の威力で同時爆発した!
私の困惑した吐息は、まるで天界の鐘が鳴り響くかのような可憐で儚い「天使の愛の囁き」へと変換。
さらには、困って眉を下げた私の顔は、加護の力によって「家族みんなの愛に包まれ、あまりの嬉しさに照れながら微笑む、奇跡の美少女」として全員の脳内に直接投影されたのである!
これを見た大人たちの反応は、劇的だった。
「「「「うぐっ……!!!(尊さの過剰摂取)」」」」
ドサササッ!!!
お父様、お兄様、そして国王おじ様が、同時に胸を押さえて床に膝をついた。
お母様までもが
「まあ……っ!」
と両頬を染め、あまりの愛らしさに涙を流して感動している。
「は、破壊力が……ルミィの笑顔の破壊力が凄まじすぎる……!」
「僕の……僕のルミィが、僕に向かって微笑んでくれた……(幻覚)」
「ぐぬぬ……仕事など放り出して、今日からこの部屋に住み込むぞ……!」
(住み込まないで陛下ーーー!? お仕事してーーー!!)
床に倒れ伏す大人たちを横目に、私の肩の上で姿を消していたピピが、呆れたように半目で呟いた。
「(ちょっとフラン……君の家族、全員重症だね。愛の重さで部屋が潰れそうだよ)」
「(ほんとだよ……! でも……)」
私は、床でゼィゼィ言いながらも幸せそうに私を見つめてくるお父様、お兄様、お母様、そして国王おじ様の顔を見渡した。
前世では一人ぼっちで、誰かにこんな風に愛されることなんてなかった。
筋肉トレーニングは過酷だし、ステータスはまだまだ弱いけれど。
(ふふ……こんなにも私を大切にしてくれる家族がいるんだもん。頑張って長生きしなきゃね)
心がじんわりと温かい幸福感で満たされていくのを感じながら、私は積み上げられたふわふわのぬいぐるみに埋もれて、静かに小さな欠伸をするのだった。
ご視聴いただきありがとうございました。本作の原作にあたる作品も、ぜひあわせてお読みいただけますと幸いです。
https://ncode.syosetu.com/n8541ml/




