第5話 ズリバイ特訓と、魅惑の離乳食
この度は数ある作品の中からこの作品を選んでいただきありがとうございます。
「いいか、フラン! 寝返りの次は『ズリバイ』だ! 両腕で床を引っ張り、つま先で押し出す! 腹筋と背筋を連動させて前へ進め!!」
生後4ヶ月を迎えた私の部屋では、相変わらずピピによるスパルタ指導が繰り広げられていた。
ズリバイ(腹ばい移動)は、赤ちゃんの背筋と腕の力を極限まで鍛え上げる超ハードなトレーニングだ。脳内(アラサー女子)では「腕が千切れるーー!!」と悲鳴をあげながら、私は必死にベッドの上を這い進む。
しかし、例によってアミリア様の加護『流麗なる白鳥』が発動。
お兄様の目には、私が"シーツの海を滑るように優雅にたゆたい、可憐にたわむれる天女"にしか見えていないようだった。
「ああ……ルミィがシーツの上を舞うように動いている……! 録画魔導具のレンズが足りない、もっと持ってこい……!」
お兄様が感動のあまり連写しまくる横で、私は地道にインナーマッスルを鍛え続けたのだった。
◇
そして――生後6ヶ月。
地道なトレーニングの成果がついに実を結び、私は自分の力で背筋をピンと伸ばし、ちょこんとベッドの上に『おすわり』できるまでに成長していた!
(やった……! ついに自力で座れたわ……!!)
「ふふ、ルミィ。今日はおすわりができた記念に、僕が作った特製の離乳食ペーストですよ。さあ、あーんです」
お部屋にやってきたお兄様が、愛おしさに目を細めながら銀のスプーンを差し出してきた。
中に入っているのは、厳選された最高級の素材と魔力をじっくり煮込んだ特製ペーストだ。病弱な私でも消化しやすいよう、お兄様が手作業で極限までなめらかにすり潰してくれたらしい。
(美味しそう……! それに、私にはアミリア様からいただいた加護がある……!)
加護『美の食事効率』――摂取した栄養が100%完璧なバランスで骨肉に変換され、最強の体幹と美肌を作るチート能力だ。
私はお兄様のスプーンから、パクリと離乳食を口に含んだ。
(んんっ……!? 美味しい……! 優しい甘みが広がる……!)
その瞬間、私の体の中でチート加護が凄まじい勢いで覚醒した。
ゴォォォ……! と脳内で神秘的な効果音が鳴り響く。
摂取した栄養と魔力が、一滴も無駄にされることなく全身の細胞へと行き渡っていく。
生まれたての赤ちゃんとして、元々シワひとつないプリプリのもち肌だった私の皮膚が――さらに次元を超えた "超絶もっちもちツヤツヤの極上ダイヤモンド美肌" へと進化を遂げたのだ!
まるで内側から光を放つ真珠のように肌が輝き、ほっぺたのプリプリ感は触れた瞬間に吸い付くような究極の弾力を手に入れた。
「っっ……!? ろ、録音魔導具……いや、触診……! ルミィのほっぺが、なんという極上の柔らかさ……! 神の領域に達している……!!」
あまりの肌のプリプリさに、お兄様が自分の頬を押さえて尊さの限界突破を起こしている。
私はこっそりと、視界の端でステータス画面を開いてみた。
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・体力(HP): 12 → 35
・筋力: 0.5 → 2.0
・持久力: 0.05 → 1.0(お兄様がいない場合の生存時間:約24時間)
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(伸びてる……! ステータスが爆上がりしてるーーー!!)
なんと、お兄様がいないと3時間で死んでいた私が、自力で『24時間』も生きられるまでに進化していた! 筋力『2.0』になれば、軽いおもちゃくらいなら自分の力で持てるかもしれない!
(食事効率、すごすぎる……! これなら本当に、いつか自分の足で立って歩ける日が来るわ……!)
プリプリに輝くほっぺを膨らませながら、私はお兄様が差し出す2口目のスプーンを「あーん!」と全力でねだるのだった。
ご視聴いただきありがとうございました。本作の原作にあたる作品も、ぜひあわせてお読みいただけますと幸いです。
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